二十二話・光と闇の交差《2/2》
【T市・廃墟街】──別動隊──竜崎side──
竜崎は一人、雪がしんしんと降るだれも居ない住宅街を歩きながら思考していた。
(本部からの援軍によって俺らの戦力は上がっているものの…この作戦はあまりに無謀だ。)
(ホロス…。もしアイツがいるのなら──この作戦は───いや…そんなことを考えている暇はない。今はナノの救出が───)
『ま、マインドウォーカー!?何でこんなとこに!?ホ、ホーライさんたちを呼ばなきゃ…。』
「ちッ!!バレたかッ。」
その時、驚いたような声が脳内に響き渡る。いわばテレパシーである。
そしてそんな驚いた男の声はどうやら“マインドウォーカー”に怯えているようだった。
(居るんだなホーライ。俺はお前を追い続けるぞ。お前を消すまで──)
「…おい。こんなもんか?教会ってのは。」
竜崎は声をだして挑発、そして威嚇する。
右手からは心剣の能力により光の剣を出し、辺りに光を巻き散らかすように光らせた。
『……あぁ?』
すると先程の声とは全く違う声色で脳内に直接語りつけてくる。
さっきの声と同じはずなのに…怒りの感情に溢れているかのようなそんな声であった。
だが…そんな声に負けず劣らずに竜崎は挑発を続ける。
「場所を教えろ。俺がお前らエゴロスト…いや。教会を──」
その瞬間、竜崎の心にはあの赤い眼をした男が見えていたのだ。
燃え滾る闘志はいつもそこから来ていた。誰かの為ではなくあくまで自分自身の為。ここにやってきて初めて心が躍ったのだ。あの男の腹心まで届いたのだと───。
(…私を殺したいのですか…?消したいのですか?)
そして…目の前にあの男が現れ、自分自身に語り掛けるように近づいてくる。
「───潰す。」
…と、思ったのもつかの間であった。
「俺様は此処だァァ!!!【破砕・暴】ッ!!」
「…くッ!?」
前には憎きホーライではなく、両拳を真下に振り下ろす髪色が黄色のエゴロスト、“アルゼル”であった。その刹那、地面が揺れ、自分の体制を崩しそうになる。
「ま、幻…だと?」
一瞬垣間見えたホーライの姿。それは竜崎自身の復讐心により幻のような物が見えていただけだったのだ。そしてまた、竜崎は驚く間もなく縛られたように体が動かなくなる。
その直後、真下に放たれた拳により、辺りに紫の光の様な粒ががそこらを舞い始める。
そんな中、アルゼルは笑いながら声を出す。
「派生能力【狂乱舞】ッ!!!!!!!」
アルゼルがそう叫ぶと、先ほど舞ったはずの紫の光の粒がある辺りの廃墟の一部のコンクリート等の建材が飛び交い、まるで物が意思を持っているかのように暴れまわる。
「俺様に挑発したことを深く後悔しろ…ッ。そして死ねェ!!!」
──その声と共に、飛び交う建材は、動けない竜崎に向け突撃していく。
◆◇◆
【同時刻・廃墟街】─別動隊─影山side─
「…竜崎さん…行っちゃいましたね。オレ達も後に続きましょう!!」
九鬼は派手なそのパーカーについているチャックを上に引き直し、前を向く。
それに呼応するように影山は返答しようとした。
「あぁ…もちろ───ッ!?」
(嫌だ…こんなことをするなんて間違ってる。早く逃げなきゃ──)
だが、影山に眠るナニカが、そう答えようとしなかった。
自身の体がひどく痛み、疼く。そして思うように動かない。
何故か自分意志とは真逆の行動をしてしまう。
その時、また自分の声が聞こえる。
(僕は…ッ。君とは違うんだッ!)
闇に溶けた様な、心を締め付けるような声。
そんな声に脳みそが震え、痛みを伴っていく──。
「痛ッ…くそ…。」
倒れそうになる影山を金崎が支え、声を掛ける。
「だ、大丈夫スか!?ッ!?…あぁ…アレはッ…。」
「ははは…まじかよ…。」
金崎と九鬼が同時に指をある方向に指す。
そしてその方向に影山は目線を移した──。
◆◇◆
「ふふふ…。彼の中にあるものは成長中ですね。彼自身の成長に期待です。」
「…いつまでお前はあの男に魅了されているのか分からないが、長く持たないらしいぞ。ホロス曰く、な。」
「あぁそれは残念です。致し方ないですが“処分”させて頂きます。【炎斬・暴】。」
「ハハハ…案外すんなり受け入れるのだな。なら我はもう二匹をいただこうか。【影蛇・暴】ッ。」
◆◇◆
見えた二つの存在の一つは、右手から炎を放出しており、もう一つの方からは地面から黒いものがうごめいているように見えた──。




