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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』
46/116

第46話、示し合わせたわけでもないのに、何だかんだで考えることは同じ




SIDE:サーロ



俺の糾弾やら折檻やら色々あって(未遂)、一度グレアムさんの屋敷から抜け出して。

それも、ラルちゃんの女神のごとき慈悲深さで一件落着となったから。

それぞれの意味合いをもって、グレアムさんちに舞い戻ってきたわけだけど。


イゼリちゃんの勘違いからの依頼の土壇場キャンセルの件は、俺が変わりに体験……こなしてみせたこともあって、グレアムさんも元よりそんなに気にしていなかったというか、タナカさん率いるホムンクルス&魔道人形オートマタが町に繰り出してまで彼女を探していたのも、『健康診断』の情報や権利がいたずらに外に出ないように、といった意味合いもあったとはいえ、そもそもはグレアムさん自身の偽悪的な行動のせいで逃げ出し、いなくなってしまったという負い目があったらしく。


こうして元気に帰ってきてくれた時点でほっとした、よかったと笑う父性抜群なグレアムさんに。

イゼリちゃんの方もすっかり毒気が抜けてしまったらしく、結果的に勘違いも解消されてこちらも一安心、である。




一方、俺という障害を乗り越え見事ラルちゃんと運命的な契約を交わすこととなったノアレさん。


始めは、運命の相手を決めた流れでその相手と一緒に駆け落ち……ではなく、同行することに対してやっぱり父性を爆発させていきり立っていたグレアムさんだったけれど。


魔王云々(きっと、それだけ優れた魔力とその知識の持ち主って意味合いもあるんだろう)だけでなく、ラルちゃんそのものに……俺を含めたここにいる皆が惚れてしまったのと同様に、タナカさんとリーヴァさんが手づから作ったというごちそうを堪能している中で、すっかりグレアムさんもラルちゃんに感じ入って気に入ってしまったらしく。


さすがは我輩の娘、見る目があるではないかと言わんばかりにあっさりラルちゃんとの契約&同行を、実に満足そうに認めてしまったから。

逆に拍子抜けというか、グレアムさんとある意味親子らしいやりとりをするつもりだっただろうノアレさんの、無表情ながらも少し残念そうというか、拍子抜けしていた様子が何だか印象的だったけれど。



そんな中、いつの間にやらタナカさんとも仲良くなって、皆がごちそうを堪能するのを微笑ましげに見守っていたリーヴァさん。

イゼリちゃんのことをドジッ娘だ、勘違いしぃだ、猪突猛進だと心配? していた彼女であったが。


実は彼女だって、最近村が街に変わってしまうくらい急激に発展してきた『ウエンピ』と、その代表であるグレアムさんを訝しがってここまで来たのを俺は知っている。


タナカさんと顔を突き合わせて一緒になってグレアムさんを折檻? していたところを見るに、満足したというか、彼女自身も勘違いに気付いたのだろう。

訝しがっていたのが嘘のような溶け込みっぷりではあるが、そこを突っつくと怒られそうなので、結構学習能力の低くない俺としては、華麗に流すことにしていて。



そんな彼女も、アイちゃんを故郷へ送っていく気満々なラルちゃんにちゃっかりついていく気らしい。

ギルドの受付の仕事はいいのかなと思ったけれど。


後々聞くところによると、受付嬢の仕事の方が足かけというかあるいはノアレさんと同じように、専属になってもいいと思えるくらいの人材を探していたらしい。


その目的はBランクの冒険者として一緒に冒険したい……だけではなく。

いずれ来る世界の危機(俺自身その話は初耳で、俄かには信じがたかったが)のために、十二の魔力を極めし存在を一堂に会する必要がある、とのことで。

リーヴァさんを含め、現在5人の美少女たちが集まってきていることをみるに。

もしかしなくてもあと7人増えるのだろうかと、喜んでいいのやら、ワクドキしていいのやら、複雑な気持ちでいたけれど。



……それより何よりも。

紆余曲折、大分寄り道していたような気がしなくもないが、ようやく故郷に帰れる目途が立ちそうだ、といったところでのアイちゃんの元気のなさである。


どうやら、グレアムさんやリーヴァさんのやり取りを聞くに、アイちゃんの故郷……『ブラシュ』で何やらキナ臭そうな問題が発生しているようだ。

急ぎの旅ではないと、魔法学園都市『ヴァレンティア』へと向かいゆっくりしようといった流れになって、その話題は続くことはなかったけれど。


グレアムさんちの、すごい効果を発揮するというマジックアイテムを扱う商船でなければ向かえない、なんてことを聞けば、戦争か……それに類するようなゴタゴタが起きているんだろうと、容易に想像できて。



すぐには帰らなくて済むこととなって。

分かりやすすぎるくらいには安心した様子でイゼリちゃんたちとのおしゃべりに興じ、ようやくごちそうを堪能し始めたアイちゃんにほっこりしつつも。


こうしてゆっくりしているうちに、一体『ブラシュ』で何が起きているというのか、調べる必要があるな、なんて考えている俺がいて……。



 (第47話につづく)








次回は、2月26日更新予定です。

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