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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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45/116

第45話、あても目的もない羽休めなのだから、ゆっくり行こう



SIDE:ラル



「さて、ひと心地ついたところで本題へ参ろうかと思いますが、よろしいですかな?」



タナカとリーヴァが腕によりをかけたであろう(ノアレは、グレアムさんにうだうだ言われるのが面倒で一緒についていっただけで、味見役だったらしい)ごちそうを堪能して。

ラルとしても何だか久しぶりな幸福感……もうしばらくは動きたくないな、なんて思っていると。


本題……アイを故郷に連れて行く方法、順路などについてグレアムが効率的な手段があると言うことで。

宴もたけなわ、とばかりに穏やかな表情でそう問いかけてくる。



ラルや、恐らくサーロも気にはなってはいたのだが。

食事中ずっといつもに増して大人しいというか、ここにきて帰れる算段がついてきたことであるいは今現在のラルのように、帰りたい気分でなくなってしまったのか。

何だか元気がないようにも見えるアイについて、グレアム自身も当然気づいていたようなのだが。


それでもそう問いかけてくるということは。

そんなアイの事情、素性を少なからず知っているからなのだろう。


そのタイミングでアイの方を見やれば。

食事中隣で正に従者か執事のごとく甲斐甲斐しくお世話(実はちょっと羨ましいだなんて感情は死んでも表に出したくないラルである)していたサーロが。

それとともにあやし心落ち着かせてくれていたのか、戸惑いつつも頷いてくれたので、ラルもそれに合わせて大仰に頷きグレアムを促す。



「アイ殿の故郷、『ブラシュ』へ向かう方法としては、大まかに言えば二つあります。一つは、『フーデ』へと真っ直ぐに向かい、そこから船を使う方法ですな。その際の船は、我が家で所持するものをお譲りいたしますので、ご安心ください」

「『フーデ』っ! ボクの、ボクの故郷だよっ、色々案内できるよ、おいしいものとかっ」



救世主であり魔王であるラルのために準備は万端ですぞ、とばかりに。

爪の尖った指を一本立てたグレアムの言葉に、すかさず反応したのはイゼリであった。


流石にイゼリもアイが帰りたくなさそうなのには気づいていたらしく、勢い込んでアピールをしていたが、残念その話題はイゼリに化けたサーロが語ってしまっていたので訴えかけるものは少ない、などとは言えず。

どうフォローすべきかとラルが悩みこんでいると。

その辺りの事情も知らないであろうリーヴァが、二人のやり取りを聞いていて何かを思い出したらしく、

軽く手を挙げすみませんと一声かけてから、口を開く。



「船、ですか。確か『ブラシュ』行きの船は、現在制限がかかっていたと思われるのですが」

「うむ、流石に情報がお早いですなぁ。現状、『ブラシュ』行きの船は、我が家のような商船等々に限られ、観光旅行船などは動いておりません。ですから、こちらのルートを選択した場合、ちと手狭ではありますが、我が家自慢の商品を肴に、夜のお供に、といった形になりますな」



えぇ、そんなのやだよぉ、とばかりに。

それまで乗り気であったイゼリがいやな顔をしているのをみるに。

この一つ目の提案は、グレアムとしてもおすすめはできないのだろう。


しかし、この方法なら、急ぎ向かうのであればありかな、なんてラルは内心で思っていた。

加えて町のマジックショップで見つけた、あの凄いマジックアイテムがついてくる(どさくさに紛れてもらう気満々)なら尚良し、じゃぁないかと。


だが、アイの様子を伺うに、今すぐにでも帰りたいといった感じはなく。

むしろ、できるならば引き伸ばしたいといった雰囲気をひしひしと感じていたので。

現在アイの故郷の『ブラシュ』は、観光や冒険で船で乗り付けられないくらいの何かが起こっているのだろうと判断して。

ラルはもう一つの選択肢は? とばかりに首を傾げ、続きを促す。



「もう一つは、魔法学園都市『ヴァレンティア』へと向かい、そこからの山越えですな。こちらを選択した場合、その山……ヴァレス山自体が学園の敷地であるが故、学園に許可を取るか、学園に所属する必要がありますが……これも魔王様のお導き、なのでしょうな。ちょうど今、我が妻ともう一人の娘が入学の手続きを終えたところでして。先触れを出しておきますので、二人にお会いいただければ問題なく目的地へと向かえるでしょう。こちらの場合、多少時間はかかるかもしれませぬが……特に急ぎの旅、というわけでもないのでしょう?」

「……お母サマとお姉さま、デスネ。改めましテご挨拶しておきたカッタところです。是非にそうしまショウ」

「んもう、そういうことなら、仕方ないなぁ。ボクのふるさと自慢は、次の機会にね」



恐らく、この話を切り出したその瞬間から。

グレアムとしては、そのつもりだったのだろう。

アイが少なくともすぐに帰りたいとは思っていないことを察しての提案だったのに違いない。



アイが、故郷に帰りたくない理由。

今、その故郷……『ブラシュ』で起きていること。

きっとグレアムが、多少なりとも事情を知っているだろうから。

明らかにホッとした様子でグレアムに頭を下げて、イゼリにまたおねがいしますと笑うアイを見守りつつ。

サーロが楽しんだという、『健康診断』なんぞ体験して『ゆっくり』しつつ、色々知らなくちゃ、なんて思っていて……。


SIDEOUT


   

      (第46話につづく)








次回は、2月23日更新予定です。

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