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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第二章、『かえってきた救世ちゅ』
116/116

第116話、もしかしなくとも、最後に残された12人目としての資格は十分



SIDE:ラル



「ええっ!? 召喚術士の大会に出るんですか? 一体全体どうしてそんなことに」

「敵方の本陣へ乗り込む勢いだったのにの。流石の救世ちゅ様といったところか」

「きゃっきゃっ、ままちゅ」


それなりの時間、夢にまで見たもふもふを堪能して。

尚且つ、これからしばらくもふもふできる権を得たラルは。

その見返り(あくまでもラルの認識です)として、いくつかの約束事を交わすこととなった。

 

その内の一つが、『闇の一族』この『ヴォクージュ』国、その大陸でも残党が悪さを続けていると言う事で。

そんな彼らを捕らえる手助けをするというもので。

 

もう一つは、『ヴォクージュ』の王と謁見するために、召喚術士の腕を競う大会に出て。

成績上位になってその権利を得る、といったものだった。

何でも『ヴォクージュ』の王は、ずっと王城の誰も入れない場所に引きこもっていて。

王としての仕事や、外部とのやりとりは全て、召喚獣に任せきりで。

そんな王が望むのはとにかく優れた召喚術士の存在であるから、とのことらしい。

 



かつて、『夜を駆けるもの』などと名乗り、仮面とマントの怪人めいた、何でも屋に身を窶していたラルにとってみれば。

当初こっそり忍び込んで、そんな王に会いに行く、何てことも考えていたわけだが。

その事に対して釘を刺された形でもあって。



「何じゃ。うちのととさま以上の出不精か。ここの王とやらは」

「『闇の一族』と呼ばれる方たちとは違うんですヨね。陽の当たらない部屋に閉じこもるのはワタシもキライではないですが」

「それを言っちゃったらやっぱりレミって【エクゼリオ】属性の子らしくないよね」

「何をいう。いやじゃ言うとるのにウルが陽のもとに連れ出すからじゃろうが。この光の聖女め。おかげで太陽が気にならん闇の眷族になってしまったではないか」


もしかしなくとも太陽を克服してしまっているであろうレミラではないけれど。

異世界からやってきたと言う『ヴォクージュ』の王は、陽の光を浴びるのはあまりよろしくない体質なのかもしれない。

ならば、ミスミセンター長との約束通り、会える時に会うべきなのだろうと判断して。


ラルたち一行は、魔導船の管理を変わらずここまでついてきてもらっていた船長船員に任せて。

(何かあった時は、すぐに連絡をリーヴァの【リヴァ】魔にて知らせる事になっている)

いつでももふもふできるように……じゃなかった、この街、国で行動がしやすいようにと。

ミスミセンター長の好意で貸してもらう事にあった、『ヴォクージュ』でのホームとなる建物へと向かっていた。




「本当に女性ばかりなんですね。センター所有の寮が空いていて良かったです。なにせ基本、外国の方を受け入れられる場所ってありませんでしたから。……その事実を知って愕然としましたけど」

「ぴぴ」

「未だに少し信じられませんが。外交なくともこの国、大陸は回っていたというわけなのですね。所謂ところの鎖国状態と言う訳ですか」

「ふむ。この頂いた地図によると、召喚センターってここの他に6つもこの大陸にあるんですね」

「あ、それならギルドの依頼書のとこでも見たよ。全部のセンターを回ってそこのセンター長をやっつければここの王様に挑戦権を得られるかもしれないって」


その際にこの大陸を股にかけて冒険ができるし、ラルとしても大会に出るよりそっちの方がいいかも、なんて思いつつも。

ホームとなった寮とやらまでの案内というか、専属でついてくれることとなったソフィアは。

『ヴォクージュ』センターの受付嬢になって、未だ数ヶ月、とのことらしい。


ウルガヴ】の回復魔法に長けたブラウニーの一種らしいキミリスと偶然ながらも召喚契約できたことで、受付嬢に抜擢された、とのことだが。

リーヴァが言うように、『ヴォクージュ』の国、大陸が広いけれど狭い……

ある意味身内だけで回っている事にも、ラルたちがやって来るまで気付けなかったそうで。



これから外国、ラルたちとの橋渡しの仲介役といった、結構重い任を負ってしまったようだけど。

それでも溌剌としているのは。

癒し手のキミリスがそばにいてくれるから、と言う事と。

驚くべきことに、ラルを含めてほとんど自覚はないようなのだが。

ラルたちと一緒にこうして行動しているだけで、眼福……やる気も出ようというもの、とのことらしい。




そんな、ソフィアとキミリスに案内されてやってきたのは。

センター勤めの者達のための寮、とのことであったが。

お屋敷と言ってもいい建物であった。


生まれながらにしての女神……姫であるラルやアイたちが、寮にしては大きに過ぎる建物に違和感を持たないのは。

まぁ仕方のない事と言えば仕方のない事なのかもしれない。


『ヴォクージュ』召喚センターの受付嬢は5人しかいない、とのことで。

部屋は余りに余っている、そう言いつつも正しく我が家を案内するがごとくのソフィアも。

良家の出身なのだろうが、その事を特にラルなどが気づけるはずもなく。


ここを拠点にしての、今後の行動指針について。

一端それぞれにあてがわれた部屋に向かってから。

改めて寮のサロン、食堂に集まって話し合う事にして……。



    (第117話につづく)







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