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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第3章 決着
69/150

3月3日(土)  ☆2☆

「武下さんはおいくつなの?」


「確か三つ下だから、二九だよ」


「だから、年下は止めなさいと言ったのよ。男は相手が同級生か年下でないと責任を取らないんだから…。五年も付き合った相手とか関係ないの…。よし、こうなったら仕方ない…。気分転換にいい話があるから、それを進めましょう!」


 出た…。どんだけ、縁談を抱えているんだよ。母は仕事上、かつての同僚や教え子などからよく見合い話を引き受けるらしい。また、母がそう言うの好きだから、よく仲人を引き受けている。


「話は変わるけどさ…」


「紫は見合い話になると、すぐ逃げる…」


「だって見合いなんかしたくないもん。いや、できないんだって…。私、四月から福岡のビオランテ出版って所に出向することが決まったから…。福岡でいい男見つけて来るから…」


「えっ、何ですって! ちょっと紫、なんでそんな大切なことを最初に言わないの?」


「だって、母さんが一方的にしゃべるから…」


「転勤はあっても関東一円だって言っていたのに…。出向だなんて…。近くにいても、忙しさにかまけて全く帰ってこないのに…。福岡なんかに行ったら、益々会えなくなるでしょう?」


「……」


 母が時折見せる弱々しい姿に、紫は無性に申し訳なく思った。確かにお見合いなんか大嫌いだけど、一回ぐらいは母の顔を立ててもいいかなとも感じる。福岡に行く前に…。


「母さん、久々にそっちへ遊びに行くから…。それと一回ぐらいだったら、お見合いしてもいいかな…」


「まあ…。そうね。来るなら夕方にいらっしゃい。おいしいご飯と素敵な縁談を用意しておくから。それにしても珍しいね。紫から遊びに来ると言うなんて…」


「たまにはいいでしょう。何か特別な理由がないと実家に戻れないとでもいうの?」


「いやいや…」


「とくかく、夕方に行くからね」


 結局、電話で三〇分以上話していた。母も心得ているのか、休日昼前にのんびり起きて、朝風呂に入って、ふとん干すと洗濯をしながらブランチを食べ終わった頃をねらって電話をかけてくる。母曰く、その頃に電話すると一番よく出るらしい。それでも三割ぐらいの確立らしいけど…。


 時計を見ると、もうすでに二時前であった。もうしばらくしたら、ベランダに干したふとんと洗濯物を入れよう。とりあえず、まずは念入りに掃除する。


 二月は結局まともに掃除することができなかったので、部屋の隅々まで掃除機をかけ、さらに丁寧にぞうきんがけをした。掃除もしっかりはまってやるとなかなか楽しい。気がつくと三時過ぎまで掃除していた。

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