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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第2章 変化
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2月16日(木) ⇔3

「桜田さん、この後、軽めにどうですか? 有志で桜田さんの歓迎会をやろうと思うのですが…。桜田さんのご都合はどぎゃんですかね…」


「ホテルに戻ったら、特に何もすることが無いので、むしろ助かります。福岡と言えば、おいしい食べ物がたくさんありますよね。もつ鍋とか…」


「確かに今日は寒かけん、もつ鍋とかよかですね。どなたか、よかもつ鍋屋とか知らんですか?」


 専務が他の社員に声をかけると、ビオランテ出版では唯一の女性社員である取材班の稲森美和が


「この前行ったもつ鍋専門店がおいしかったですよ」

と言う。それが合図になって、他の社員も「俺も行くばい!」とか「すみません…。今日はちょっと無理ですね…」とか声を掛け合うことになった。いろんなやり取りの末に七時半から「鍋どころ一番街」で始めることと決まった。


 その後、紫は一回ホテルに戻ってから、軽く荷物整理して、シャワーを浴びた。少し休んだところで、専務から電話がかかってくる。


「下で待っているけん、おりて来なっせ!」


と言われて、紫は慌てて一階ロビーに降りた。本当は会社で待っておこうと思ったが、専務が旅の疲れが溜まっているだろうから少し休めと、気を遣ってくれたのである。紫はその好意に甘えることにした。


 外に出ると、六時でもまだ暗くなり出したぐらいで、完全に暗くなっていないことに驚いた。そりゃ、福岡は東京よりも西にあるから、日の出も日の入りも遅くなる。頭では分かっているのと、体で実感するのは全く別物である…と紫は感じた。


 七時半、まだ専務、稲森、紫の三人しかいなかった。他の人達はまだ仕事が終わらないようである。この日、来るのは紫を除いて六人の予定であった。他の四人は予定がつかずに来られないらしい。その後、八時までには残りの四人もそろったので、ようやく六人で乾杯をして始めることにした。


 それにしても本場のもつ鍋は実においしかった。やはり、もつの鮮度が違うのだろうか…。東京ではこんなにおいしい店が無いのではないかとさえ思えた。それともしょうゆやだしが違うからだろうか。


 そんな話をしたところ、とても盛り上がった。やはり、食べ物の話は簡単にみんなで盛り上がることができるからいい。こんな所で仕事の話をするのは野暮である。まあ、二週間もいれば、いずれ飲み会でも仕事の話が出て来るだろうけど、さすがに初日ぐらいは仕事抜きにおいしい物を食べたいものだ。


 アットホーム的ないい雰囲気の会社だな…。紫は、ここを出向先に選んでくれた沢木部長にほんの少しだけ感謝する。

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