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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第2章 変化
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2月16日(木) ⇔2

 専務の博多弁を聞いていると、ああ福岡に来たんだな…と実感する。ホテルに着くと、専務を車に待たせて、紫は急いで荷物を置いた。


 それから、すぐに入り口の目の前の営業車へと戻った。休む暇もなく、この近くにあるビオランテ出版の事務所へと向かう。ホテルから二つ目の交差点を右に曲がって、すぐの所にある。確かにこれなら歩いて行ける距離だ。


「えー、本日から総務の引き継ぎのため、エスペランサ出版の桜田紫さんが二週間こちらで仕事をなさいます。四月から我が社の総務主任として、頑張って頂きます」


 瀬々串専務の紹介を受けて、紫は一言「よろしくお願いします」と挨拶する。九人の社員から歓迎の拍手を受ける。なお、社長は東京出張のため、来週の水曜まで留守にしているらしい。それ一人社員の数が足りないのかと紫は思った。その後、瀬々串専務と現総務主任の井出との三人で今後の打ち合わせを行う。


 井出は今年定年を迎えるので、ビオランテ出版ではどうしても即戦力が必要だった。一応、それに備えて、四年前に新卒の女性を採用したらしいが、三ヶ月前に寿退社したとのこと。当然、半年足らずで新人が育てられるはずも無く、紫に白羽の矢が立ったことを、この日初めて知らされる。


 紫はただ総務主任の仕事をするだけでなく、将来の次期総務主任となる新人の育成もする必要があるらしい。それよりも寿退社した女性が何年かして落ち着いたところで、再び雇う方が楽なのではないかと紫は思ったが、さすがに初日なので黙っておくことにする。


 夕方、ようやく打ち合わせが終わり、井出が賃貸対照表を見せてくれた。白髪混じりの彼が表を見ながら、紫に一つずつ丁寧に説明する。紫は賃貸対照表を見て、ビオランテ出版が健全運営であることを感心させられた。何より、基本的に無借金経営であることが素晴らしい。説明が一通り終わると、六時を少し回った所であった。

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