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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第2章 変化
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2月16日(木) ⇔1

 朝、紫は羽田空港へ向かう。朝九時二〇分発、福岡行きスターフライ四三号に乗るため、いつもよりも早く家を出た。スーツケースがあるので、バスで駅へと向かう。


 駅からうまいこと乗り継いで、羽田空港に着いたのは八時半だった。それから急いで、搭乗手続きやら身体検査やらを済ませて、九時前にようやく一息つく暇ができた。


 紫は売店に行って、朝食のサンドイッチとビオランテ出版への手土産として人形焼きを買う。それから、搭乗口前のいすに座って、サンドイッチを頬張りながら、どんな挨拶をしようかなどと考えあぐねていた。


 かつて、二週間も会社を離れる出張などあっただろうか…。最高でも三日が限度だったと思う。だいたい、総務課にいて、出張が必要になることはほとんどない。だから、今回のように二週間の出張に紫は新鮮さすら感じている。もちろん、総務課の他の人々にとっても同じだ。


 ただし、人が一人いなくなったからと言って、仕事が回らなくなることはない。エスペランサ出版で扱う仕事の量が昔に比べて減っているし、三月で会社を離れる紫が新規の仕事に関わることは無いからである。一人ぐらいいなくなっても、何も問題ない。紫は窓から雲を見下ろしながら、早く福岡に着かないかな…と思った。


 定刻よりも五分遅れて、十一時二〇分、ようやく福岡に着いた。預けた荷物の受け取りに時間がかかり、空港を出られたのは十二時前である。予定では空港出口でビオランテ出版の瀬々串専務が迎えに来ることになっていたが、なかなかビオランテ出版と書かれた営業車を見つけられずにいた。


「もしかして、桜田さんじゃなかですか?」


「はい、エスペランサ出版の桜田と申します。二週間の間、よろしくお願い申し上げます」


「申し遅れました。ビオランテ出版専務の瀬々串です。さあ、どうぞこちらへ…」


 どうやら、車で空港の前まで来ることができずに、近くの駐車場に止めてあるらしい。それは見つからないはずである。一応、こちらは赤のスーツケースとパンツスーツで行くように伝えていたので、瀬々串専務は紫を見つけることができた。


 スーツケースを引きながらしばらく歩くと、「ビオランテ出版」と書かれた車の所にたどり着く。スーツケースを乗せてから、二人は営業車に乗り込む。まず、初めに出版社から歩いて五分ほどの所にあるホテルへと向かう。空港から車で十分ほど行くと博多駅が見えてきた。九州の中心駅で新宿ほどではないが、たくさんの人々が行き来している。


「博多駅は一年前の九州新幹線全線開業に合わせて、リニューアルしたとですよ」


「へえ、そうなんですか…」


「もうすぐホテルに着きますよ」


「この辺りは会社の事務所とか営業所とか多いんですか?」


「そうですよ。この辺りはビジネス街ですけんね…。我が社もこの近くですたい」

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