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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第2章 変化
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39/150

2月12日(日)  √2

この場面でラジオから流れて来る曲です。

聞きながら読むと臨場感が増します。


【シンデレラ/奥華子】

http://www.youtube.com/watch?v=_nsK_g-EiFE

 ラジオから流れる奥華子の「シンデレラ」に対して、妙に感情移入してしまい、紫はまたしてもラジオ聞きながら感極まってしまった。


 さすがにこの曲のように「別れたくない」の言葉が聞きたいがために「別れよう」なんて言っていないが、相手を試すようなことを数えきれないほどやっていた。まだ、付き合っていた頃に…。もしかしたら、その積み重ねが武下定秋を知らず知らずの間に追いつめていたのかもしれない。


 そして、そのタイミングで水戸あおいが泥棒猫のような行動に出たのだろう。本当は誰よりも信じていたのに…。それがうまく伝えられなかった。もし、うまく伝えられていたら、また違った今を生きていられたかもしれない。


 「魔法がとけたシンデレラ」か…、うまい表現だなと感じた。もちろん、今はまだ思い出にしたくない。これは思い出ではなく、紛れも無く現在進行形の出来事である。少なくても、紫はそう思った。過去の思い出と認めてしまえば、ただの負け犬になる。水戸あおいなんかに負けるものか…。しばらく、気が済むまで泣き続けた。この前、泣けなかった分まで…。


 ふと、時計を見ると、もうすぐ三時になろうとしている。あ、バレンタインデーのチョコを買うのをすっかり忘れていた。紫は慌てて外に出る支度をして、仙石駅前商店街へ向かう。バレンタインデーなんか無くなればいいのに…。本命を送る相手がいれば、楽しいだろうけど、相手がいなければ、実に面倒な行事である。少なくても総務一班の男性達と課長には付き合いで渡さないといけないだろう…。


 付き合いでもらう方も面倒に違いない。一ヶ月後にもらった物と同額か、もしくは高めのお返しをしないといけないのだから…。男性だって、もらって嬉しいのは本命だけではないのか?


 こんな行事、「チョコレート みんなで渡さなければ 怖くない」で無くしてしまえばいい。日本人の気質として、一人では止めたくても、止められない。だから、誰かが音頭をとって、チョコレート不買運動やってくれないかな…。紫は実にくだらないことを考えながら、自転車をこぎ続ける。


 まあ、そんなことを始めても、誰も得しない。それどころか、小売業界は損するから、そんな運動が起こるはずも無い。どうにかして売り上げを増やそうと「逆チョコ」だの…「友チョコ」だの…と新しいスタイルを提案し続けるぐらいである。


 それに乗せられている消費者もどうかとは思うが…。確かに安っぽいお祭りに乗せられている時は、何も難しいことを考えなくてもいいし、気軽でいられるからいいだろうけど…。しかし、ふと素の自分に戻った時に、何かしらのむなしさを覚えるのは気のせいではないだろう。


 最近では節分に恵方巻を食べさせようとしたり、節分を年に四回させようとしたり、と小売業界は無理矢理変な習慣を作ろうとしている。売り上げを増やすためとは言え、さすがにやり過ぎではないか。確かに節分に豆をまく習慣は全国にある。しかし、恵方巻を節分に食べるのは本来、大阪近辺だけの習慣である。大阪の人だけがやればいい。全国で恵方巻を丸かぶりする必要はない。


 また、節分は立春、立夏、立秋、立冬の前日のことだから、確かに暦の上では節分は年に四回ある。ただ、なぜ立春の前日以外の節分の習慣が廃れてしまったのかを、小売業界は全く考えていない。


 ただ、暦の上では節分が四回あるから、何も考えずに売り上げに利用しようと言うのは安直すぎるだろう。紫はインターネットの受け売りではあったが、この考えにもっと多くの人々が賛同すべきだと強く思った。そうすれば、義理チョコなんか買わなくてもいいのに…。


 ふと、三月で東京を離れるので、不動産屋に行ってから契約解除をしないといけないことを思い出す。紫は商店街へ向かう途中で舞鶴不動産へ寄ることにした。何事も面倒だけど、やっておかないといけないことはさっさと片付けるに限る。

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