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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第2部 福岡編 第5章 新天地
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113/150

4月9日(月)   ち1

 この日は、学習教材担当の新人バイトの川端和男と言う二〇歳の男性の初出勤日であった。


 朝から、学習教材担当の河浦が川端を朝礼で紹介した後、瀬々串専務から採用通知書を手渡された。その後、専務と河浦と紫の三人で会社のオリエンテーションと採用にあたり必要な書類の確認を行った。


 ここで専務は別件があり、席を外した。引き続き、河浦が学習教材担当についての業務と、紫から会社全体の仕組みについて説明した。


 川端和男は思ったよりも小柄な男で、このような男に倉庫番ができるのか? まあ、専務と河浦がこの男を採用したのだから、大丈夫なのだろう。


 一通り、説明が終わってからは早速、川端は河浦に倉庫へと誘われた。昼からは倉庫番として早速学習教材の在庫整理をすることになる。


 川端和男はこの春、専門学校を出たばかりの新卒である。まあ、半年契約のバイト扱いではあるが、契約は更新できる上に勤務実績が良好であれば、正社員としての採用もあるとのこと。時給八五〇円からのスタートとなる。


 二ヶ月の試用期間が終われば、時給九百円だ。それにしても、いつになれば景気が良くなるだろうか…。


 昼から紫は川端和男の書類手続きを進めていた。それにしても、日本では一回新卒一括採用の流れから外れてしまうと、バイトから正社員を目指していかないといけない。


 その時の採用状況がよければ正社員になれて、そうでなければフリーター生活を余儀なくされるとは何とも理不尽な話である。


 紫はちょうど団塊の世代の大量退職と重なったため、ここ最近では正社員採用の多い年だった。しかし、あと二年早くても遅くても採用数は極端に少なかったはずだ。


 生まれた年で就職状況が極端に変わる制度はすぐにでも変えて欲しいものである。それこそ、欧米のように各個人と各企業が必要に応じていつでも就職活動ができる制度に改めるべきだろう。


 そのためには、国や地方自治体がマッチングに積極的に関与する必要がある。紫は次の編集会議にこの件を企画してもらえるよう、提案してみるのも悪くないなと感じた。


 しかし、このところビオランテ出版での企画物はレーシックやコンタクトレンズに関する物ばかりである。もちろん、それも悪くはないが、それよりも取材することはたくさんあると思うのだが…。


 エスペランサ出版のように総務だから蚊帳の外であれば、何もやぎもぎすることはない。ビオランテ出版では総務なのに、企画に中途半端に関われるからやぎもぎするのである。


 まあ、確かにコンタクトレンズも使い方を誤れば、潰瘍性角膜炎や角膜血管新生と言った症状が表れる。角膜血管新生とは本来角膜には血管がないのに、コンタクトレンズで酸素不足になった角膜が酸素を求めて、角膜に血管を作り出す状態である。


 軽症であれば、コンタクトレンズの装着中止で治るが、重症になると角膜に血管が残ってしまう。そうなると、視力低下や失明の原因となる。


 あまりにも手軽に使われているから忘れがちだが、コンタクトレンズは医療機器であり、使い方を誤ると実は危険である。


 そして、ほとんどニュースにならないが、毎年コンタクトレンズの誤った使用法により失明している人が何名かいる。そのことをほとんどの人が知らない。それが一番の問題かもしれない。

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