4月8日(日) よ3
一気に一冊の本を読み終えた頃、ふと時計を見ると、五時前にさしかかっていた。日が暮れると急に寒くなって来たので、上にカーディガンを羽織ってから、洗濯物を部屋に取り込む。
まだ、乾いているものは畳み、乾いていないものは引き続きベランダに干しておく。すると、急に携帯が鳴った。稲森美和からであった。
「もしもし、紫ちゃん。ありがとう! さっそく、友丘先生に挨拶して来たんよ。そしたら、早速明日、友丘先生が編集班のためにレーシックの仕組みについてレクチャーをしてくれるってさ」
「美和ちゃん、もしかして今、天神にいるの?」
「そうなんよ。紫ちゃん、今どこ? 家?」
「そうよ」
「今から天神に出てこようとは思わないよね…」
「そうね。明日からまた仕事だし…」
「分かった。それなら、福大の近くの食堂に行きましょうか? 安くていいお店があるんよ。六時半に七隈駅前のコンビニの前に集合でよか?」
「じゃあ、それでお願いします。じゃあ、六時半ね」
そんな訳で紫は七隈駅前のコンビニへと向かう準備をした。日が暮れるとさらに冷え込みが強くなり、紫はもう着ないだろうと思って押し入れにしまい込んだ冬物のコートを引っ張り出した。
ラジオで明日は強い寒気が流れ込むと言っていたな…。東日本では季節外れの雪が降るかもしれないらしい。さすがに九州では雪はふらないようだが、遅霜に注意するように言っていた。
コンビニに着くと、まだ稲森美和は来ていなかったので、紫は週刊誌を立ち読みしながら待つことにした。
「紫ちゃん、お待たせ〜。遅くなってごめんね…」
「いやいや、気にしなくていいから。さあ、稲森先生お勧めのお店に行きましょう!」
そのまま、稲森美和のお勧めの店に連れて行ってもらった。七隈食堂は福岡大学の近くにある福大生御用達のお店である。早速、美和お勧めのチキン南蛮を二人分頼む。日曜日の夜だからか、学生よりも近隣の住民の方が多いようだ。
「紫さん、本当にありがとう。おかげでレーシックについていい記事が書けそうです」
「いやいや、私は紹介しただけだから…」
「早速、明日、取材班の三人で福岡天神レーシッククリニックにて、取材させてもらえることになったの。今日は挨拶がてら、レーシックの簡単な仕組みについて教えてもらったんよ」
「へえ〜」
美和はさっそく、レーシックの簡単な原理について説明を始めた。彼女自身、メガネとコンタクトを併用した生活をしており、個人的にレーシックに興味を持っているようだ。紫は三ヶ月ほど前にしたレーシックのことを思い出していた。




