4月8日(日) よ1
日曜日の朝、布団の中でのんびりと二度寝をしていると、突然電話がかかって来た。桜田紫は慌てて、布団から飛び起きる。
それから急いで携帯画面を見る。携帯画面には福岡からの見慣れない番号が表示されていた。一体、誰だろうか?
「おはようございます。お休みのところ、朝早くから申し訳ありません。桜田様でいらっしゃいますか?」
「はい…」
紫は見知らぬ男性からの声に、突然起こされた苛立ちを感じていた。こいつは一体誰なんだ…。
「私、福岡天神レーシッククリニックの友丘友蔵と申します。」
「はあ…」
「私、江角眼科クリニックの江角先生から紹介を受けまして、このたびの取材の協力をすることになりました」
寝ぼけた頭のせいで、紫は一体何のことかさっぱり分からなかった…。紫がぼんやりしていたので、電話の主は引き続き話し続ける。
「江角先生は大学時代の先輩でして…。彼女には昔から全く頭が上がらないんですよ。今回も、東京から福岡の出版社に何度も顔を出すのは大変なので、私がビオランテ出版に関わるように言われました」
あっ、やっと思い出した。そう言えば、昨日、紫は久留米陽美に江角眼科クリニックの江角先生とビオランテ出版を取り持ってもらうように頼んだ。
ところが、江角先生は忙しいようで、大学時代の後輩の友丘友蔵に代役を頼んだようである。ようやく、頭が目覚めた紫は全てを理解した。
「友丘様、お忙しい中、ビオランテ出版のレーシック体験記へのご協力ありがとうございます」
「いえいえ、こちらもいい宣伝になりますので助かりますよ。私は四月からようやく地元福岡で独立開業したものの、まだまだ知られていないために閑古鳥がないている状態です。ですので、何卒よろしくお願い致します」
これは渡りに船である。お互いの利害が一致しているから実にやりやすい。どうして、江角眼科クリニックの江角先生が友丘友蔵に監修者の話を譲ったのか分かった。福岡で独立開業したばかりの友丘にまさに適任の仕事だ。
「友丘様、私はレーシック体験記の担当ではありませんが、かつて江角先生にレーシックして頂いたご縁がありましたので、このたびご連絡させて頂きました。早速ですが、担当の稲森から連絡させますので、番号を教えて頂けますか?」
「桜田様の携帯に表示されている番号に、そのまま折り返して頂ければ大丈夫ですよ」
「かしこまりました。念のため、川端様の携帯番号も教えて頂けますか?」
「携帯番号は〇九〇ー☆☆☆☆ー●●●●です」
「かしこまりました。わざわざ、ありがとうございます。それでは今日中に担当の稲森に連絡させますので、よろしくお願い致します」
「桜田様、こちらこそ、よろしくお願い致します。それでは失礼致します」
さすがは久留米陽美である。仕事が早い! 紫も陽美のように早く仕事をこなさなくては…。
その前に、朝の身支度でもしよう。それとコーヒーをいれる。コーヒーを一杯飲んでから、稲森美和に連絡することにしよう。日曜日の朝ぐらいはのんびりしたい…。




