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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第2部 福岡編 第5章 新天地
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107/150

4月7日(土)   す1

この場面でラジオから流れる曲


宇多田ヒカル「日曜の朝」http://www.youtube.com/watch?v=uW_WcTch3lw

【注】歌っているのは宇多田ヒカル本人ではありません。

 福岡で新生活を始めてから、ちょうど一週間が経った。やっと来た週末。ビオランテ出版での最初の一週間は実に波乱に満ちていた。


 初日の予算承認会議から始まって、まさかのレーシック体験記騒動…。さらには前総務主任の井出からの来年度予算編成についての研修…。はあ、いくつになっても新生活は慣れないことが多くて疲れる。


 この日は朝十時に起きた。休みの日の朝はラジオでも聞きながら、ゆったりとするに限る。いつもならインスタントコーヒーですませるけど、休みの日は丁寧にグアテマラ産とホンジュラス産の高級コーヒー豆をブレンドされた物をいれる。


 それから、ふあふあのフレンチトーストを作る。そして、焼きたてのあつあつのフレンチトーストとコーヒーをブランチとして頂く。至高の時間である。


 FMラジオから音楽が流れる。当然のことながら、東京と福岡のラジオは放送内容がことなる。全国ネットでなければ、福岡で作られた番組だ。それにしても、福岡のラジオ番組は音楽番組が多いし、トーク番組も面白い物ばかりである。ラジオ好きにはたまらない。


 ふと、宇多田ヒカリの『日曜の朝』が流れて来た。友達の延長のような恋愛…。変にベタベタしてなくて、あっさりとしていながら、お互いに深い愛情で結ばれている恋愛…。


 こういう恋愛いいよな…。別に恋愛だけのために生きている訳でもない。仕事をしていれば、締め切りや納期に追われる。身内や友人などとの人間関係だっておろそかにできない。それでも、時には全てが面倒で嫌になる時もある。全てが嫌になったら、寝てしまえばいい。


 代表的な歌よりも、アーティストの意外な一面が見られる歌の方が紫は好きだ。アルバム収録曲の方がアーティストの素顔が伝わるような気がする。


 ブランチを食べたら、ゆったりと朝風呂に入ろう。もちろん、ラジオは浴室の前に置いて、ラジオをゆったりと聞きながら…。外の天気は春のポカポカ陽気だ。毎日がこんな感じだったらいいのに…。熱めのシャワーを浴びた後に、少しぬるめの湯船にゆっかりとつかる。これぞ最高の幸せだ。


 風呂から上がると、ぶらりと家の周りを散歩してみる。福岡に移ってまだ一週間。忙しくてろくに家の周りも探索できずにいた。近所の公園は桜がもう半分ほど散っていた。時折ふく突風が桜吹雪となる。はかないからこそ美しい。ソメイヨシノは散り際こそが一番輝く。


 花が咲くわずか二週間足らずのために、夏は毛虫が発生しやすく、冬は枝だけになる木を日本の至る所に植えているのだ。その上、木としての強度は弱く、また全てが同じ遺伝子を持っているために病気にも大変弱い。


 それでも、日本人は本当に桜の花が好きなのだろう。夏に毛虫が出るから桜の木が嫌いだなどと言う人に、紫は未だかつて会ったことがない。


 三〇分ほどのんびりと家の周りを歩いた後、紫は家へと戻った。それからかつての同僚である久留米陽美に電話をかける。

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