4月6日(金) で2
取材班班長の猿渡が開口一番に言う。紫には一体何の事かさっぱり分からなかった。
「私が書くのですか? 無理ですよ…。だって、私はこれまでずっと総務畑で来た人間ですよ」
「そんな事、分かっていますよ。だから、文章はこちらできちんと整えます。しかし、レーシック体験をかけるのは、実際にレーシックをしたことのある桜田さんだけなんです」
猿渡がそう言うと、牧本と稲森も後ろでウンウン頷いている。そして、読者アンケートの結果を見せて来た。
「紫さん、これを見て下さい。まだ、五月号を発行する前ですが、最近のレーシックブームを受けて、レーシックへの関心が高まっているようです。」
稲森が読者アンケートを見せながら言う。それにしても、いつの間にレーシックブームなどが来たのか? 紫は読者アンケートを見ながら、しばし考え込んでいた。
【レーシックを実際にやった人の手記とか見ながら、じっくりとレーシックについて考えてみたいのですが、そのような特集は予定されていないのですか?】
実を言うと紫は中学一年生の時から、ほぼ毎日欠かす事なく日記を書いている。そうは言っても、書かない日もあるし、一週間ほど書きためてから休みの日に一気に書く事も多かった。
それでも、十三歳の時から約二〇年も日記を書き続けると、完全に生活の一部となっているから、しばらく書きためると何か気持ち悪くなる。
特に武下定秋に一方的に別れを告げられた日からレーシック手術をすることになった過程については、きちんと書き記さないと歳を取ってから後悔すると思っていたので、いつになくしっかりと書き記していた。
つまり、日記帳をそのまま渡してしまえば、後は取材班の三人に都合良く編集してもらえばいい。
しかし、まさかこのようなことになるとは思ってもいなかったので、やけくそになって自転車窃盗してしまい、危うくご用になりかけた事とかもそのまま書かれている。それをそのまま渡す事はやはりできない。




