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第10話 私の部屋に4人

 テスト前の部活動休止期間に入った初日。私は小景こかげの頼みで勉強会を開くことになった。


 なぜか優里ゆうりも誘ってほしいと小景に言われ、優里も呼ぶことになった。だけどそれでは小景が気まずいのでは?と思い「小景の友達でも呼んだら?」と提案して小景の友達の美華みかちゃんもこの場に参加することとなった。美華ちゃんと合流している小景は先に校門で待っているらしい。優里は少し遅れて合流するらしいからひとまず私は待っている小景達のもとへ向かった。


 下駄箱を出て校門に視線を送るとすぐにふたりを見つけることができた。私は少し駆け足でふたりのもとへ向かう。


「小景、お待たせ!ごめんね待たせちゃって」

「ううん、気にしないで!私たちも今来たところ」

「初めまして!小池美華です。小景とはいつも仲良くさせてもらってます!」

「小景の姉の林日向ひなたです。今日は来てくれてありがとね」

「いえいえ、むしろありがとうございます!お姉さんの話は小景からたくさん聞いて気になってましたから!」


 軽く挨拶を交わして私たちは自宅に向かう。私の家は学校から歩いていける距離で、3人で雑談をしながらだとあっという間だった。私は玄関の扉を開け、大げさに招き入れるポーズをとった。小景が一番手に玄関をくぐる。続いて美華ちゃん。最後に私が入り扉を閉じる。


「「おじゃまします」」


 声をそろえた小景達に思わず笑みがこぼれる。部活に入っていない私にとって後輩というものは今まで無縁の存在だったので、今の状況はちょっとこそばゆい。でも案外悪くない。


「ごめんね、4人だと窮屈かもだけど、適当に座ってて」


 私はふたりを部屋の真ん中にあるテーブルに誘導しながら、冷蔵庫を開ける――しまった。なんにも入ってない。とはいえこの子達を置いて買い出しっていうのも悪いな……そうだ!優里が到着したら優里にこの子達の面倒を見てもらおう。優里は面倒見がいいからきっと任せても大丈夫だろう。


「ごめんね、ジュースとか用意しようと思ったんだけど忘れてた。優里が来てから買いに行くから、ちょっと待っててね」

「いやそんな悪いよお姉ちゃん。私たち気にしないから」

「そうですよお姉さん。別にお菓子食べに来たわけじゃないんですから」

「招待した側としての最低限のおもてなしをしたいだけなんだから気にしないで、っていっても用意できてなかったんだけどね」


 私は自虐的に笑いながら、気を遣うふたりを制して床に腰を下ろす。


「美華ちゃんは勉強得意な方?」

「お姉ちゃんなんで私には聞いてくれないの?」

「小景の学力は大体知ってるよ」

「そうですね、私もあまり勉強は得意じゃないです」

「『も』ってどういうこと?美華?」


 どうやらふたり共あまり勉強は得意な方ではないらしい。私だって別に特別賢いわけじゃないけど、流石に1年の範囲くらいは見てあげられるだろう。いそいそとそれぞれの教科書を広げ勉強の準備をしているとインターホンが鳴った。玄関を開けると優里が立っていた。


「あんた今ドアスコープ覗かないで開けたでしょ。気をつけなさいよ一人暮らしなんだから」

「ごめんごめん。ささっ入って入って」

「はぁ。お邪魔します」


 これで4人揃った。やっぱりワンルームにこの人数は少し窮屈だけど少し浮かれてしまう。後輩たちと優里の自己紹介を軽く済ませ優里に買い出しに行くからと留守を頼んだ。優里も後輩たちも代わりに行こうとしてくれるのはありがたいが、これくらいはさせてほしい。それに多分小景も優里と話がしたかったんだろうし、きっと丁度いいはず。とはいえ今日の目的は勉強なんだからなるべく急いで戻ろう。


 私は軽い足取りで最寄りのスーパーに向かう。片道5分くらいと改めて今の自宅の立地の良さに感動する。あの安さでこの立地はもう見つからないと確信できる。私は過去の運の良さに感謝しながら、適当に手の汚れにくいお菓子とジュースを数種類カゴに突っ込む。普段はお菓子とかジュースとか買わないし、来客っていってもこれまで優里くらいしか来たことがなかったから用意を忘れてしまっていた。優里はそういうとこ私に気を遣わせないようにむしろ気を遣ってくれる。


 会計を済ませ、重くなったマイバッグを抱えた私は行きよりもさらに軽い足取りで自宅に戻る道の途中、私はふと白い部屋でのことを思い出す。あれが何だったのか私には結局わからないけど、それは今の私にとってはそれほど重要じゃないみたいで、不思議と追及する気になれなかった。


 玄関を開けると、3人がこちらを振り向く。私のせいで会話が途切れてしまったみたいだ。


「ただいま!みんな何してたの?」

「優里先輩とお話ししてたの。もっと仲良くなりたくて連絡先教えてください!って言ってたとこ」


 小景がこうして私の友達とも仲良くなろうとしてくれていることは純粋にうれしい。小景がわざわざ呼んだくらいだ、この前の仲直りの時にいつもみたいに世話を焼いてくれたんだろう。


「そっか優里はどう?」

「まぁ、別にいいわよ」


 優里はどこか観念したように小景と連絡先を交換した。私はそれを見届けてから席を立ち紙コップに飲み物を注ぎ、お菓子をお皿に並べてテーブルの上に置いた。


「よし!それじゃあ勉強会始めよっか!」

「「お~!」」

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