表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/45

とある文房具屋


「うーん。ここに便箋はあるだろうか?」

 原宿の町を探す事、30分。二人は一軒の文房具屋の前に来ていた。

 

 その店は『白鳳堂』と書かれた店で、そんなに人は入れない程の小さな店だった。


「あ、でも、便箋らしきものありますよ」

 美穂がガラス越しに見える店内を指差す。

 確かに、そこには便箋があった。


「おぉ、中に入ってみるぞ。美穂」

「はい」

 二人は恋が叶う便箋を探して店の中へと入る。

 店の中は町の小さな文房具屋という感じで、えんぴつ、ノート、消しゴムなど、文房具として必要な物は一通り揃っている。

 

 人が通るスペースは狭く、一列にならないと店の中はまわれない。

 よく店の切り盛りが出来るなとルーカスはおもった。


「あ、あそこです」

 美穂は店の一角にある便箋コーナーを指さした。

 二人は、揃って、そのコーナーに行く。

「ん〜、これか?藤本が言っていた。恋が叶う便箋というのは?」


 便箋コーナーには様々な便箋が置かれている。  

 その中の一つに二人は目がいった。

「え、五万……」


 便箋の一つに値段が一枚、五万円と書かれた便箋が置かれている。

 いや、高過ぎだろ。


「高すぎるな。どんな高級品だよ……」

「おや、お客さんかい?」

 店の中から六十代位の老婆が出てきた。

 腰が曲がっていて、初夏なのに灰色のセーターを着込んでいる。


「あ、おばぁちゃん。この便箋……」

「その便箋はね。恋が叶う便箋と言われているんだ」

「!」


 来たぞ。これが藤本の言っていた恋が叶うラブレターだ。

「おぉ、この便箋がそうなのか。しかし、高いな」


「くっくっく。お客さん。商売舐めてもらっちゃ困

るよ。この便箋はうちの看板商品、五万でも売れるのさ」

「ぬぐぐ。しかし、五万なんて払える額じゃないぞ」


 流石のルーカスでも五万はポンと払える額ではない。

 同年代の藤本も難しいだろう。


「オバァちゃん。何とか安くならないんですか?」

 美穂が店主のオバァちゃんに問いかける。

 店主は、少しの間考えた後。


「良いだろう。安くしてやっても構わない」

「何? 本当か」

「ただし、うちの息子達と三番勝負をしてもらう」

「は?」


「もし、お前さん達が全ての勝負に勝ったら、その便箋を無料でやろう」

「いや、ちょっと待て。なんで急に三番勝負なんだ? それに、いきなり無料なんて、大丈夫なのか?」


「息子達は勝負に飢えておるんじゃよ」

「いや、そういう問題か?」

「なぁに、自慢の息子達だ。三回負ける事なんて有り得ん。故に絶対、安くはならんよ」


 店主は勝負に絶対の自信があるらしく、余裕の表情を見せている。

「ルーカスさん。どうしましょう?」

「いや、ここは受けるしかないだろう」

 ルーカス達は『白鳳堂』の店主の息子達との三番勝負を受ける事になった。


「申し訳ないっす。俺のラブレター作りを手伝わせてしまって」

 藤本も呼び、店の前の通路で息子達との三番勝負をする事になった、ルーカス達。


「気にするな。ここまできたら一連託生だ」

「ありがたいっす!」

 店の中から店主に連れられ、息子達がぞろぞろと出て来る。


「さぁ、お前達、勝負の時間だよ! 負けるんじゃないよ!」

 出てきた息子達は二人、二人ともタンクトップを着ていて、筋肉隆々、二人共目が血走っていた。


「プシュー、分かりました。マイマザー」

「全員、タオス」

 二人共、歴戦の猛者という感じの風貌。

 これは勝てるのだろうか?


「ううう。勝てるか不安っす」

「ま、まぁ、肝心なのは勝負内容だ。気にするな」

 三番勝負と言ったが、一体どんな勝負を仕掛けて来るのだろう?


「先ずは、一つ目の勝負。海鮮丼、早食いだよ!」

 そう言って店主は巨大な山盛り海鮮丼を出してテーブルの上に置く。

「な、なんだ、この海鮮丼。滅茶苦茶デカイぞ」


「見た事ないっす」

「この海鮮丼わね。重さ五キロの超山盛りの海鮮丼。これを二人一組で先に食べ切った方が勝ちだよ」


 二人一組。ならば私と藤本が出るしかないか。

「ううう。俺、チョモランマバーガー食べたばっかりっす。行けるかな?」


「なんだ? チョモランマバーガーって」

「若者に大人気のハンバーガーっす。かなりの重量っす」

「そんなものを食べないでくれ……」


 とはいえ、この山盛りの海鮮丼を美穂に食べさせる訳には行かない。

 結局、ルーカスと藤本が出る事になった。


「さぁ、長男、次男、行きな!」

「絶対、タベル」

「お前らをブチノメス」


 一人物騒なのがいるが、これは海鮮丼をどちらが早く食べきれるかの勝負。

 勝機はあるだろう。

「では、勝負開始!」


 店主の合図で海鮮丼、早食い対決が開始する。

「うぉおお!食べるっす。食べるっす!」  

 先ずは藤本が海鮮丼に食らいつく。


 流石に同年代だけあって、勢いは凄い。

「良いぞ。その調子だ。藤本」

「頑張って下さい」

 

 ルーカスと美穂は藤本を応援する。

 応援のお陰もあってか藤本の食べるペースは早い。


 一方の店主チームは。

「ううう。俺、マグロニガテ」

 まさかの長男、マグロが苦手。

 海鮮丼は一向に減らず、そのままの状態が続いていた。


「何やってんだ。サブロー兄さん、ハヤクシロ」

「ううう。マグロ、ナマグサイ」

 店主チームの海鮮丼は一向に減らない。

 なんで海鮮丼勝負にしたんだろう?


「えぇい、選手コウタイダ」

 ここで店主チーム、長男から次男に選手交代。

「うぉおお! 俺は絶対にマケナイ」

 次男の方はマグロが大丈夫なのか、海鮮丼がみるみるうちに減っている。

 

 不味い。これは追いつかれるぞ。

「藤本、このままでは追いつかれる。大丈夫か?」

 ルーカスは藤本に問いかける。


 藤本は海鮮丼を平らげるペースが明らかに遅くなっていた。

「ううう。やっぱりチョモランマバーガー、くるっす」


 なんでチョモランマバーガーなんて食べたんだ!

 ルーカスチーム。明らかにペースが失速し、海鮮丼は中々減っていない。


「フフフ。チャンスダ」

 これはチャンスとばかりに次男がみるみる追い上げて来た。

 不味い。これは追いつかれるぞ。


「藤本、大丈夫か? 交代するか?」

「ううう。ルーカスさん。後は頼んだっす」

 ここで選手交代。藤本からルーカスに。


 ルーカスはスプーンを海鮮丼に入れ、一口すくい、口へと運んだ。

「む、これは美味い」

 海鮮丼の味付けは素晴らしく、新鮮な海の幸の素晴しい味が口一杯に広がった。

 これなら食べられるぞ。


「うぉおおお! 一気食いだ」

 ルーカスは残りの海鮮丼を平らげるべく、次から次へと海鮮丼を口へと運んだ。


「うぉおおお! 俺、マケナイ」

 次男も負けずと海鮮丼を口へと運ぶ。

 さて、勝負はどうなる?


「ピピー、そこまで!」

 店主が終了のホイッスルを鳴らした。

 さて、勝ったのは、どちらだ。


「ううん。空っぽだね。勝者、藤本チーム!」

 すんでの差ではあったがルーカスが次男より早く海鮮丼を食べ切った。  

 勝者は藤本チーム。ルーカスは勝利した。


「凄いです。ルーカスさん。良く食べきりましたね」

「フフフ、まぁ、美味しかったからな。何とか食べ切れたよ」

 一回戦目の勝負は勝利した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ