表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/45

ラブレターを探して

 

「いや〜、疲れたな。ちょっと休憩していくか」

「そうですね」

 

 しばらく竹下通りを観光した後、疲れたルーカスと美穂は、表参道にあったガードレールに腰を落ち着かせた。


「いや、原宿も楽しいものだな」  

「気に入ったみたいで良かったです」  

 正直、朝の件を忘れる位楽しい。 


「あ、ルーカスさん。口に、ちょっと生クリームが着いてますよ」

 そう言って美穂はハンカチを取り出しルーカスの頬を拭いた。


「む、そうか。自分で、取れるのだがな……」

 なんだか恥ずかしい。早く拭き取ってくれ。

「もうルーカスさんは、子供っぽいですね」

 美穂は、そう言う。


「む、それは心外だぞ。私は美穂と同じ十七だ。子供では無い」

「でも、公務を放って抜け出して来たじゃないですか」


「あれは仕方のなかった事なのだ。美穂も、あの場に居たら、逃げ出したと思うぞ」

 そう言うと美穂はふっと微笑んだ。


 美しい。なんと美しい女性だろうか。

 ルーカスは素直にそう思う。

 なんだか甘い時間が流れている気がする。  なんだ? この空気。

 流れる甘い空気に戸惑うルーカス。そこに。


「ちょ、ちょっと良いですか?」

 一人の男子高校生がルーカスと美穂に声をかけて来た。

「む、な、なんだ?」


「俺、藤本剛〈ふじもと・たけし〉って言います。ちょっと話を聞いてくれないっすか?」

「た、大丈夫か? 美穂」

「えぇ、私は大丈夫です」


 ルーカスと美穂、二人は藤本の話を聞く事にした。

「で? 藤本。私達に何の話だ?」 


「実は俺、サッカー部なんすけど、マネージャーの事を好きになってしまったんです」

「ふむふむ」


「告白したいんすけど、中々勇気が出ないんです」

「なるほど」

「どうやったら告白出来ますかね?」

 ん〜、これは……。


「まさかの私達に恋の相談か!? 何故?」

 ルーカスは、性格もあって、この方、色々な相談に乗って来てはいる。

 しかし、恋の相談というのは初めてだ。

 何故、私なのだ?


「初対面なのにすいません。でも、お二人は凄く仲の良さそうなカップルに見えたんです。だから、なんか良いアドバイスくれるんじゃないかと思って、いってもたってもいられなくて……」


「なるほど、私達がカップルに見えたのか……。え?」

「え? 違うんです?」

「ちちちちちち違うぞ。なぁ、美穂!」

「えぇ、そうです」


「そんなはずありませんよ。端から見たら凄く仲の良さそうなカップルですよ」

 それは間違った認識だ。といっても強く否定する気にはなれない。


「と、兎に角。私達はカップルではない。しかし、君の相談については考えてみるとしよう」

 ルーカスは初めて受ける恋の相談について考えてみる。

 つまり藤本は、告白したいが、中々勇気が出ないでいる。


 うーん。これはどうしたものだろうか?

「美穂、なんか良いアイデアはあるか?」

「へ?」

「美穂、話聞いてたか?」


「すいません。カップルのくだりから、あまり頭回らなくて……」

 美穂は耳を真っ赤にしている。

 なんだか、こちらの恥ずかしさも、ぶり返して来たぞ。


「あ、もしかして、今日告白する予定のカップルでしたか? だとしたらすいません。変な邪魔してしまって……」

「違う! 違うから、安心してくれ」

 兎に角、話を元に戻そう。


 藤本の告白を成功させる方法。う〜ん。

「駄目だ。何も思いつかない」

「私もです……」

 ルーカスは人の恋のキューピットになった事はない。

 やった事のない相談は難しいものだ。


「そうですか。お二人ならなんか良いアドバイス貰えそうだと思ったんっすけど」

「うーん。未経験の事は中々難しいものだな……」

 ならば経験者の声は、どうだろうか?

 ルーカスは自分の周りで恋の経験がある者を思い浮かべてみる。

 

 そういえば自分の執事であるビッシュは既婚者であった。

 彼は、どうやって妻をゲットしたんだっけ? あ、そういえば。


「そういえば、ビッシュの奴はラブレターを書いて、今の奥さんをゲットしたと言っていたな」

「ビッシュさん?」


「あぁ、私の執事だ。彼は断られても断られてとラブレターを送り続けたらしい」

「へぇ~、そうなんですか」

 ビッシュはラブレターを送り続けて今の奥さんをゲットした。


 しかし、この話、役に立つだろうか。

「それだ!」

 藤本が、思い立ったように、立ち上がった。 ん? 何かひらめいたのか?


「それです。ルーカスさん」

「それですって、ラブレターから何か良いアイデアを閃いたのか?」

「そうなんです。実は、この原宿には、恋が叶うラブレターってのがあるらしいんです」


「恋が叶うラブレター?」

「はい。何でも、その便箋に恋の願いを書くと、その恋は成就すると言われています。それだ。その手があった!」


「つまり、君は、その便箋にラブレターを書き相手に渡したい。そう言いたいんだな」

「そうです。その手なら俺の恋も叶うかもしれないっす」


 なるほど、それは良いアイデアだ。

「で、肝心の恋が叶う便箋はどこで売っているんです?」


「ん〜、原宿のどこかにあると言われているらしいんですけど、どこだろう?」

 原宿のどこかにあるのか、よし。


「ならば、その便箋を探す手伝いをしよう」

「え? 本当ですか?」


「あぁ、原宿のどこかに売っているんだろう?」

「えぇ、そうです」

「君の恋が叶うように、手伝いをさせてくれ。大丈夫か。美穂?」

「はい。私は大丈夫です」

 こうして、ルーカスと美穂、二人は恋が叶うラブレターを探し、原宿の町を探す事にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ