表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/45

決戦

殺し屋、鮫。彼は今、デニーズでチーズケーキを食べている。

「ふむ。そろそろ時間か」

 

 もう五分は過ぎた。ルーカスは国境を無くすという戯言を諦めてくれるだろうか。

 まぁ、諦めなければ殺すまで、そう思い彼は席を立つ。


「あ、さっきの人のお釣りって貰えたりしますか?」

「いえ、それは、ちょっと……」

 

 残念な事に、ルーカスのお釣りは貰えないらしい。

 まぁ、仕方ないと鮫は店を出る。

「さて、王子はどこだ? ミッチー」

 

 鮫の足元に彼が飼っているハムスターのミッチーが摺り寄ってくる。

 彼は何時もハムスターに自分のターゲットの追跡をやらせていた。  

 ハムスター、ミッチーは、こっちだよと言わんばかりに鮫を誘導する。

 

 それに着いて行く鮫。

 店の裏手にルーカスは居た。

「では、頼んだぞ。美穂!」 

「分かりました」

 

 ルーカスは美穂と別れ、一人になる。 

「さて、王子、答えは決まったか?」

 鮫はルーカスに問いかける。

 ルーカスは無言で走り出した。

「追いかけっこか。負けはしない」

 

 鮫はルーカスを追いかける。

 ルーカスは、どんどん人が居ない方へと走って行く。

 これは自分にとって好都合。鮫はそうおもった。

 人の居ない方、居ない方へと走れば、ルーカスを殺すのも楽になる。

 

 そのままだ。そのまま行け。

 ルーカスはどんどん人の居ない方へと走り、とうとう、建物と建物の間の一方道へと入った。

 その一本道は人が一人通れるかどうかの狭い一本道。  

 

 ルーカスと鮫以外人はいなく、周囲にも人はいない。

 そこでルーカスは立ち止まった。  

 この道ならルーカスの事を追い詰めたも同然だ。

 鮫は、そう思った。


「どうした? 追いかけっこは終わりか?」

 ルーカスに鮫は問いかける。  

 ルーカスは、ここなら十分だろうと思った。「あぁ、ここなら、君を倒すのに十分だ」

「ふん。はったりか? 王子」


 いや、そうではない。ルーカスは、そう思い臨戦態勢に入る。

「ここは日本だ。君から来てくれないか」

「ははは。面白い。やれるなら、やってみろ」


 鮫はパンチを繰り出した。それを瞬時に避けるルーカス。

 ルーカスの反撃の一撃。

 鮫はそれを避ける。

 

 ルーカスは続けざまに、もう一発。  

 鮫は、それを再び避けた。

「ははは。その程度か。王子! その程度で俺を倒せると思ったのか?」

 

 ルーカスの素早い蹴り。鮫の頬を、その蹴りが掠めた。

「これでも私は王宮で護衛術を一通り習っている。油断はしない事だな」

「ふん。やるね〜」

 

 ルーカスと鮫の一心一体の攻防が続く。   しかし、やはり相手はプロ。ルーカスは段々と追い詰められてしまっていた。

「どうした? 王子。もう終わりか?」

「くっ、まだだ」

 

 ルーカスも渾身のパンチを繰り出す。しかし、それを避ける鮫。

 鮫のパンチ。ルーカスはもろにくらい、地面に膝を着いた。


「かはっ」

「残念だったな、王子。これで終わりだ」


 鮫は、王子の首に両手を伸ばした。そして思い切り絞めあげる。

「かっ」

 息が出来ず苦しい。このままでは本当に死んでしまう。


「両手を使えば、お前を殺せる。さて、どうする? 王子」

「私を殺せば、け、警察が来るぞ」

「ははは。残念だが、王子。日本の警察は事件が起こらなければ動かないんだ。お前を殺した後で死体を始末すれば、どうにでもなるんだよ」

 

 相手はプロの殺し屋。死体を隠す方法は熟知している。

 万事休すのルーカス。

「さて、王子、最後の質問だ」

「な、なんだ?」

「国境を無くすという、愚かな夢を諦めるか? 辞めるなら助けてやっても良い」

 

 鮫はルーカスに問いかける。

 国境を無くすという夢を諦める?

 それは母の大事な夢でルーカスの夢だ。

 しかし、このままでは自分は死んでしまう。

 周囲に人が居ない以上、助けは来ない。

 このまま、この男に助けをこうか。


「勿論、答えは……」

 ルーカスは鮫に答えた。

「Noだ。私は国境を無くしてみせる。それが私の願いだ」

 答えはNoだ。こんな男に屈する訳には行かない。

 ルーカスは自分の首を絞められながらも、そう答える。


「そうか。残念だ。王子。ならば、ここで死ね」

 鮫はルーカスの首を絞める力を強くする。

 このままでは自分は死ぬだろう。しかし次の瞬間。


「そこの君、何をやってんの!」

 鮫の動きが止まる。そして彼は後ろを振り向いた。  

 ルーカスも視線を向ける。そこには警察と美穂が立っていた。

「な、何故だ? 周りに交番なんて無いはず。何故、この場所に警察が来る?」


「み、美穂に頼んでいたんだ」

「何?」 

「君は私と美穂が別れたと思っただろう。だが違う。美穂は警察に襲われている人がいるから助けてくれって、頼みにいっていたのさ」

 

 鮫は苦虫を噛み潰した表情になる。

 両手が緩んだ。その隙を狙いルーカスは鮫の両手を振りほどいた。

「おまわりさん。そいつは私の事を殺そうとしました。後は頼みましたよ!」

 

 警察に捕まると、この後の観光が出来なくなる恐れがある。

 ルーカスは全力疾走で鮫から逃げた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ