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ファミレスへ行こう

 翌朝、ルーカスと美穂、二人は近くにあったファミレス。『デニーズ』へと足を運んだ。

「お待たせ致しました。ハンバーグです〜」

 

 席に座ったルーカスの前にハンバーグが運ばれて来る。

「おぉ〜、これが日本のハンバーグか。美味そうだな」

「朝からハンバーグなんてルーカスさん。元気ですね」

 

 そういう美穂の前には彼女が頼んだパンケーキが運ばれて来た。

「まぁ、こんな機会は中々無いからな。どうせだったらハンバーグが食べたかったのだ」

 日本のファミレスに寄る機会など滅多にあるものでは無い。

 

 こういう時にパンケーキとか朝食っぽいものを食べても後々後悔する可能性がある。

 そう思ったルーカスはハンバーグを注文したのだった。

「では、頂くとするぞ」

 

 ルーカスは早速、運ばれて来たハンバーグにナイフを入れる。

 ハンバーグの中から肉汁が溢れて来た。

 ルーカスはハンバーグを一切れ切って、それをフォークに指し口へと運ぶ。

 む、美味い! 

 

 ハンバーグは一口食べると舌に肉汁が溢れ出し、牛肉の旨味を存分に発揮している。

 こんな美味しいハンバーグは、あまり食べた事が無い。

 それを、この価格で出せるなんて。

 ルーカスは素直にそう思った。


「美味い! 美味いぞ。このハンバーグ」

「それは良かったです」

 美穂も、美味しそうにパンケーキを食べている。

 どうやら、この朝食は成功だったみたいだ。

「こんなに美味しいハンバーグをファミレスで出せるなんて、日本は凄いな、美穂」

「メルベールには無いんですか?」


「こういったチェーン店は無いな。お店に行けば、食べられるが、結構高いんだ」

「王族だから、いつでも食べられるんじゃないですか?」

「王族が、店に出入りするとなると色々大変でな。偶にしか食べられないんだよ」


「そ、そうなんですか……。結構シビアなんですね」

「ハンバーグは日本のファミレスの方が美味いぞ。美穂!」

「それは良かったです」

 意外とシビアな王族事情を話しつつ。ハンバーグをルーカスはハンバーグを平らげた。


「ふぅ、満腹だ。私は満足だぞ。美穂」 

「ふふふ。ルーカスさんに満足してもらえて良かったです」

 ルーカスはハンバーグを食べ終えた。

 底しれぬ満足感が彼を包み込んでいる。

「あ、すいません。私トイレに行っても良いですか?」

「あぁ、構わないぞ。ここで待ってる」  


  美穂は立ち上がりトイレへと向かう。 

 その間、ルーカスはスマホで他のメニューを確認する事にした。

「ふむふむ。チキンステーキか。色々あるな。日本のファミレスは」


 ファミレスのメニューを確認しながら、美穂の帰りを待つルーカス。

「ちょっと宜しいかな?」

 そこに一人の謎の男が現れ、ルーカスの対面に座った。

 男はtシャツにgジャンを着ていて、帽子を深く被っている。

 男はチーズケーキが乗っている皿を手にしていた。


「いや、そこは美穂が座っていた席だ。そこに座るのは止めてくれ」

 なんだ、この男は?と思うルーカス。

 その席は美穂が座っていた席。当然、座られるのは良い気はしない。  


「退いてくれないか。でないと店員を呼ぶぞ」

「まぁ、少し話をしましょう。ルーカス王子」

「私の正体を知っているのか」

「そんな伊達眼鏡では直ぐに分かりますよ」

「そうか。で? 話は、それだけか?」


「王子、貴方は国境を無くしたいそうですね」

「そうだが、君には関係無い話ではないか」

「それは、悪い考えだと思います」

「? さっきからなんだ。君は。もう良い店員を呼ぶ」

 このまま、この男と話しても良い気分にはならないだろう。

 ルーカスは店員を呼ぼうと手を上げようとした、その時。


「それは、辞めといた方が良いぞ。死人が出る」

 男の口調は凄く冷淡だった。そして男はルーカスの事を睨みつける。

 ルーカスは、この目と同じものを見た事があった。

 男と全く同じではないが、それはルーカスが父上に連れられ、メルベール王国の軍隊を見学しに行った時。  

 軍人の一人が同じ目をしていた。


 これは、人を殺したくてしょうがない男のする目だ。

「死人が出る? どういう意味だ」

「まぁ、話は最後まで聞け」

 男は皿に乗っているチーズケーキを口へと運ぶ。

「ルーカス王子、お前は国境を無くしたい。それは間違っている」

「何故だ? 国境をなくせば、多くの人間が救われる。私はそう信じている」

「それが分かっていないというんだ」

「?」


「確かに領域国民国家、国家は、人間から金を奪い、幸せを奪い、命を奪う。人間は国境という檻に閉じ込められ、自由はない」

「それのどこが、良いんだ?」

「それでも国民は国家に尽くさなければならない」

「は?」


「国民とは、国家の奴隷なんだよ。使えない奴隷は、ゴミ箱に捨てるだけ。素晴しい事ではないか」

「な、何を言っているんだ? 君は」  

 訳が分からない。だが、この男は本気で言っている。


 ルーカスは背筋がゾクッとなるのを感じた。

「国民は無条件で国家に奉仕する奴隷。それの何が悪い?」

「君は、それを本気で言っているのか?」

「あぁ、勿論だとも。使えない奴隷は俺が殺す」


 男はチーズケーキに深くフォークを突き刺した。

「ルーカス王子、貴方は国境を無くしたがっている。だが、そんな事は俺が許さない」

「……」


「選べ。国境をなくすという絵空事を止めるというのならば、見逃してやる。でなければ、お前を殺す」

 この男は本気だ。本気で自分の事を殺すつもりだ。

「五分だけ待ってやる。その間に、選べ」


 男は腕時計を見ながら言った。

 早く、ここから逃げないと。ルーカスは直感で、そう感じた。

「お待たせしました。あれ? ルーカスさん。その人、誰です?」

 美穂が帰って来た。ルーカスはその腕を引っ張り、店を出る。


「釣りは要らない。済まない。美穂、こっちだ」

 ルーカスはレジに食べた分のお金を放り投げ、美穂を引っ張り店を出た。


 美穂と一緒に店の外へと出たルーカス。

「ルーカスさん。どうしたんです?」

「済まない。美穂。ここでお別れだ」

「へ? な、なんでですか?」


「さっき君の席に座っていた男が居るだろう?」

「はい」

「あの男は私の命を狙っている」

「え……」

「あの男と同じような目をしている奴を私は軍隊で見た事がある。あれは人を殺したくてしょうがない者のする目だ」


「そんな、ルーカスさん。なんで?」

「私の国境を無くしたいという夢を気にくわないと思っている連中は多い。だが、まさか日本にまで刺客を向けてくるとは……」

「私……」


「美穂、このままでは君に危害が及ぶ可能性がある。だから君は安全な場所に……」

「嫌です!」

「へ?」

 ルーカスは美穂の事を思い安全な場所に隠れるよう指示をしようとした。

 しかし、美穂はそれを拒否した。

 え? なんで?


「ルーカスさんが危険な目にあっているのに、私だけ安全な場所になんて考えられません!」

「いや、このままでは君に危険が及ぶ可能性が……」

「私なら大丈夫です。足手まといにはなりません。だから一緒に居させて下さい」

 

 美穂は、どうやら引くつもりはないらしい。

「……分かった。では、あの男をやり過ごす。私に協力してくれるか?」

「はい!」


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