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ルーカスを探して(ビッシュとトーマスの冒険)4

「いや〜、助かったぜ。あんた達のお陰で演目は大成功だ。有り難うな」

 演目が終わり、東洋館の出口にて。

 玄秀はビッシュとトーマスにお礼を言った。

「そんな事は、どうでも良い、さっさと王子の居場所を教えろ」

「おお、そうだった。そうだった」

 一刻も早くルーカスの居場所を知りたい、ビッシュは玄秀に話を促す。

「あそこに浅草六区通りって、通りがあるだろう」

 玄秀は、 交番と  通りを指差す。ビッシュとトーマスは、そこに視線を向けた。

「あの通りのど真ん中で寿司屋を開いている奴がいる。その寿司屋の主人が王子らしき人物を見たって言ってたな」 

「道のど真ん中で寿司屋をやっているのか……」

「まぁ、あいつは変わった奴だ。会ってみると良い」

 これでルーカスの居場所の手がかりらしきものが手に入った。

 ビッシュとトーマス、二人は玄秀に別れを告げ、寿司屋がある浅草六区通りに入って行く。


「あぁ、この人ですか。自分見た事ありますよ」

「なに!? それは本当か」

 浅草六区通りにて。道のど真ん中で寿司屋をしている主人にあったビッシュ達。

 顔写真を見せると早速主人はルーカスを知っていると言ってきた。

 これは良い情報が期待できそうだ。

「王子は何処にいるんだ? 教えてくれ」

「さっきまでマグロの解体ショーをしていたんですけどね。どこに行ったんっすかね」

「マグロの解体ショー? なんだ? なんだ、それは?」

「マグロの解体ショーってのは一匹のマグロを使って、それを解体していくショーっすけど」

「マグロの解体ショーくらい知っておる。どうして、それを王子がしているのかと聞いているのだ!」

「いや〜、何でも力士さんの上がり症を克服したいとかでね。マグロが欲しいって言うからあげたっす」

「力士の上がり症を克服? 何をやってるんだ、王子は……」

 ん? 今、なんて言った?

「今、お主、マグロをあげたって言わなかったか?」

「あぁ、そうっすよ。王子がマグロが欲しいって言うからあげたっすよ」

「ちょ、ちょっと待て……。マグロって一匹幾らするんだ……」

「ん〜、安い奴なんで十万くらいっすかね」

「じゅ、じゅ、十万!?」

 日本円で十万といえば、結構な金額になる。

 そのマグロを王子は貰ってしまったのか。

「払う! 払うから、大使館宛に領収書を切ってくれ!」

「えー、良いっすよ。自分、あげたんで」

「そういう訳には行かない! 頼む。領収書を切ってくれ!」

 その後も押し問答をしながら、何とか領収書を切って貰ったビッシュ。

「何をしてくれてるんだ、王子〜!」



 首相官邸、執務室。

 ここは首相である岸峰が書類仕事を行ったりする、仕事部屋である。

 今日も岸峰は仕事に勤しんでいた。  

 と、思いきや。

「いや〜、このランニングマシン、素晴しいね〜」

 首相である岸峰は現在、首相官邸にランニングマシンを持ち込み、緩やかなウォーキングを楽しんでいる。

 これも健康の為、仕方の無い事であった。

「岸峰総理〜、岸峰総理〜!」

 そこに秘書官である辻村が扉を開けて入って来た。

「うん。どうしたんだい? 辻村君」

「岸峰総理、え? 何をされてるんです?」

 辻村は岸峰がランニングマシンに乗っているのを不思議な目で見ていた。

「うん? これはランニングマシンだよ。通販で買ったんだ」

「いや、首相官邸に、そんな物持ち込まないで下さい……」

 辻村の説教が入り、岸峰は渋々といった感じでランニングマシンを止め、椅子に腰を落ち着けた。

「で? 辻村君、私に何の用かね?」

「岸峰総理、メルベール王国のフリン内務大臣から、お電話です」  

「ん? フリン内務大臣から?」

 現在、来日中のルーカス王子が行方不明。

 その事を嗅ぎつけ、自分に意見をしに来たのだろうか?  

 嫌だな〜、相手したく無いな〜

「面倒臭いからパス」

「岸峰総理!」

「冗談だよ。分かったよ」

 どうやら辻村は逃がしてはくれないらしい。 渋々といった感じで岸峰は電話に出る。

「はい、もしもし、岸峰ですが……」 

「いや〜、岸峰総理、お元気にしてましたか?」

「いや〜元気、元気ですよ〜、で? 要件はなんですか?」

「岸峰総理、端的に言いましょう。現在、そちらにルーカス王子が来日中ですね」

「はい」

「彼を殺して頂きたいのです」

「はい?」

「手段は問いません。ルーカス王子を殺してくれさえすれば、それで結構です」

「あの〜、私は殺人稼業はしてないんですが……」

「では、こうしましょう。ルーカス王子を殺して頂ければ、アメリカから要求されている防衛費の増額、こちらで半分負担致します。これでどうです?」

「何?」

 それは話が変わってくるな。

「本当に、ルーカス王子を殺せば、防衛費を負担してくれるですか?」

「えぇ、勿論です。内務大臣としての立場で、そう申し上げているのです」

「しかし、不思議ですな。何故、そこまでして、ルーカス王子を殺したいんです?」

「彼は母親の願いとか言って、国境を無くしたがっています」

「ほう。それはいけませんな」

「えぇ、そうでしょう。国境があるから、安寧が保たれ、平和があるのです。それを脅かす思想の持ち主、ルーカス王子は早めに殺しておく必要があるのですよ」

「なるほど、日本で殺した所で国際問題にはならないんでしょうな?」

「勿論です。我が国ではルーカス王子は日本で行方不明日本になったと報告します。最初は悲しむでしょうが、国民は直ぐに忘れますよ」 「なるほど、なるほど、悪い話では無いですね〜」

「それでは頼みましたよ。岸峰総理。私は忙しいので、これで」

 通話は、そこで途切れた。

「ふむ。防衛費半額負担か。悪い話ではないな」

「岸峰総理。何の電話だったんです?」

「辻村、あの男に電話をかけろ」



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