ルーカスを探して(ビッシュとトーマスの冒険)2
「三浦亭玄秀でーす。宜しくお願いしま~す」
浅草新仲見世通りにて、チラシを配り始めたビッシュ達。
「三浦亭玄秀でーす。宜しくお願いしま~す」
しかし、道行く人達は皆スルー。
中々チラシを貰ってはくれなかった。
「くそ、これでは陽がくれてしまうでは無いか」
早くルーカスを見つけないといけないのにチラシは一向に減ってはくれない。
何か策を考え無いと。
「トーマス。無言でチラシを渡しても貰ってはくれないぞ」
「しかし、ビッシュ殿、私は、こういうのは苦手でして……」
どうやらトーマスはチラシ配りが苦手で無言で手渡すだけ。
当然、道行く人達はスルーしていく。
ん〜、どうしたら良いだろうか?
「む、そうだ。お前、なんか芸は出来ぬか?」
「芸ですか?」
「そうだ。その身のこなしがあれば、何か芸位出来るだろ」
ここはトーマスの身体能力の高さを利用する。
その身のこなしがあれば何かは出来るだろう。
そうビッシュは思ったのだが。
「私に出来る事は敵を制圧するのみ。人を楽しませる芸など出来ません」
トーマスは首を横に振りながら、そう答えた。
「な、何かは出来ぬのか、バク転とか出来そうだがな」
「バク転くらい出来ますが」
「出来るではないか! それを頼む」
「しかし、私の技は敵を制圧する為に……」
「どんだけ頭が固いんじゃ! そこは臨機応変に対応せい!」
どうやらトーマスはバク転が出来る様子。
ならばと、ビッシュはトーマスにバク転をするように促す。
「はぁ、分かりました」
トーマスは渋々といった感じで了承してくれた。
よし、これで人が集まるぞ。
トーマスは、一瞬腕を足らし、ふぅと息を吐く。
そして次の瞬間。地面を蹴ってバク転を始めた。
いや、これはバク転では無い。
トーマスが披露したのはバク宙だ。
手を地面に付かず足だけで一回転する大技。
トーマスは、それを意図も容易く披露したのだった。
「おぉ、すげー」
「生バク宙、初めてみたー」
突然、バク宙を始めたとはいえ、道行く人達の反応は上々。
よし、このまま行けば人が集まるぞ。
「トーマス、もう一回じゃ」
「……分かりました」
トーマスは再び渋々といった感じでバク宙を披露する。
そして今回のは一回転では無い。
まるで扇風機の羽のようにぐるぐると何回転もバク宙を始めた。
「おー! すげー!」
「スマホで撮ろう!」
道行く人達は、すっかり足を止めて、トーマスの事をスマホのカメラで撮影している。
確かに凄い。なんで、こんな大技を持っていながら芸が出来ないなんて答えたんだ?
ビッシュが、そう思う程、トーマスの止まらないバク宙は凄かった。
「ほっ」
トーマスの演芸は、これで終わりでは無い。
彼は懐から煙玉を取り出すと、それを地面に投げつけ、彼の周りに煙が立ち込める。
そして煙が消えると、そこに彼の姿は無かった。
「なんだ? なんだ?」
「どこにいったのかしら?」
道行く人達はトーマスの事を探して周りをキョロキョロと探し始めた。
「あ、あそこにいるぞ!」
トーマスを発見した男が指を差す。
なんと、トーマスは近くにあった居酒屋の天井の上にいた。
彼は煙幕で周囲の視線を誘導した後、一瞬で、居酒屋の天井に移動したのだった。
「おー、すげー!」
道行く人達は皆、天井に移動したトーマスの事を撮影する。
再びトーマスは煙玉を地面に投げた。
そしてトーマスは元のいた場所に戻って来た。
「ブラボー!」
「最高ー!」
道行く人達は拍手喝采。
今じゃ!
ビッシュは、この隙にチラシを一気に配り終えた。




