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ルーカスを探して(ビッシュとトーマスの冒険)1

「王子〜! どこですかな。王子〜!」

 ルーカス王子の執事と護衛、ビッシュとトーマス、彼ら二人は浅草雷門の前に来ていた。

 SNSの情報によると、どうやらルーカスに似た人物が、この浅草に来たらしい。

 二人はルーカスを追って浅草に来たのだった。

「全く、王子はどこに行ってしまったのだ。スマホを繋がらないし……」

 さっきから、ずっとスマホに連絡を入れてはいるが、ルーカスには繋がらない。

 というか一時的にブロックされている気がする。

「ビッシュ殿、どうなされるのですか?」

「決まっておる。この浅草を片っ端から探すぞ」

「御意!」

 ビッシュとトーマス、二人は雷門前でルーカスを探して調査を始めた。

「この人物を探しているんだが、知らぬか?」

 浅草に来ていた日本人に写真を見せるビッシュ。

「知らないですね」

 残念、この人は知らないみたいだ。

「この人物を探しているんだが、知らぬか?」

 今度は他の人に話しかけるビッシュ。

「知らないね〜」

 残念、この人も知らないみたいだ。

「この人物を探しているんだが、知らぬか?」 それでもビッシュは諦めない。他の人物に声をかけた。

「セミナーに入りませんか〜!」

「はい?」

「お客さん。とてもラッキーです。このセミナーに入れば、仕事も恋も上手くいく事間違いなし! 是非セミナーに入って下さい!」

 しまった。これは怪しげなセミナーの勧誘だ。

「す、すまぬ。儂は忙しい身だ。断らせて貰うぞ」

「あ、お待ち下さい〜」

 怪しげなセミナーの講習会に行っている時間など勿論ない。

 ビッシュは、そそくさと断り、その場を離れた。

「うーむ。中々、王子を見た事ある人物に当たらないな〜」

「そうですね〜」

 聞き込みを開始する事一時間弱。ルーカスの行く末は未だに分からないまま。  

 一体、どこに行ったのだろうか?

「む、今度は、あの人物に声をかけてみよう」

 ビッシュの視線の先に黄緑色の着物を着た五十代位の初老の老人が目に止まった。  自分と同じ位の年で話しかけ易い。

 ビッシュは彼に声をかける事にした。

「もしもし、ちょっと伺っても宜しいですかな?」 

「うん? なんだ」

 黄緑の着物を着た老人はどこか機嫌が悪そうだ。

 それでもルーカスを探す為には調査を怯んではいられない。

 ビッシュは話を続ける。

「あの、この人物に見覚えないですかな?」

 ビッシュは老人にルーカスの写真を見せる。

「うぁん? あ〜、見た事がある気がするな」

「なに? 本当か!? どこで見た?」 

「悪い。今、それどころじゃねーんだ。じゃあな」

 ビッシュの問いには答えず老人は、その場を去ろうとする。

「わ、ま、待ってくれ」  

 この老人はルーカスが何処に居るか知っているかも知れない。  

 その情報を逃す訳には行かないとビッシュは必死に食い下がる。

「今、それどころじゃねーってんだろ」

「お、教えてくれるだけで良い。王子は、どこに居るんだ?」

「王子? この男、王子なのか?」

「あぁそうだ。メルベール王国のルーカス王子だ」

「そういえば、テレビでなんかやってたな」

「でだ、王子の居場所どこか知らぬか?」

 ビッシュが必死に食い下がるのを見て老人は歩みを止めた。

 そして何か考え込んでいる様子。 

「うーん。お前達、丁度良いかも知れねーな」

「な、なんだ? 王子はどこにいる?」

「いや、あんたら王子の居場所を探してるんだろ?」

「あぁ、そうだ」 

「王子の居場所を教えてやっても良い」

「何? 本当か?」  

「ただし、ちょっと手伝ってくれねーか」   

「ほい。これ」  

 ビッシュは老人に大量のチラシを渡された。

 その枚数は百枚程。

 トーマスも同じ数を渡されている。

 え? これはなんだ?

「おい、これはなんだ?」

「何ってチラシだよ」

「いや、何故、儂にチラシを渡す?」

「あんたらには、これを配って貰う」

「はい?」

「いや〜、俺は落語家の三浦亭玄秀〈みうらていげんしゅう〉っていうんだけどな。今時落語は中々客が入らなくてな。チラシでも刷って配ろうかと思ったんだが、刷り過ぎてしまったんだ」

「だ、だからなんだ?」

「このチラシを配りきったら、そのルーカス王子ってのが、どこにいるか教えてやる。俺の事手伝ってくれ」

「わ、儂にただ働きをしろというのか?」

「情報って報酬があるだろう? それとも何か、ルーカス王子の居場所、分からなくても良いのか?」

「くっ、それは困る」

「だったらチラシを配ってくれ。頼んだぞ」

 背に腹は代えられない。ビッシュ達はチラシを配る事にした。


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