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浅草4

「ううう。また怒られてしまった……」  

 誘われたから寿司を食べただけなのに、またもや警察に怒られてしまったルーカス。

 何故だ、何故、私だけが怒られるのだ。

 怒られてしまった事に若干納得は行かないが、少し落ち込んでいる様子の彼。

「げ、元気出して下さい、ルーカスさん」 

 そんなルーカスを励ます美穂。

「有り難う。美穂、気を取り直すとしよう」

 いつまでも、くよくよしてはいられない。  大鶴丸の上がり症を治す方法を考えないと。

「む、いつの間にか伝法院通りを出たみたいだな」

「そうですね」

 二人は伝法院通りを抜けて、六区ブロードウェイ商店街へと、たどり着いていた。

「む、あれはなんだ?」

 六区ブロードウェイには巨大なユニクロが入ったビルがある。

 そのビルの前に人だかりが出来ていた。

「何か、やってるぞ」

 ユニクロの前で一人の男が、けん玉を披露している。  

 そのけん玉の芸が見たくて人だかりが出来ているようだった。

「ほ、ほ、あらよっと」

 男は、けん玉を上手に扱い、様々な技を披露している。

 時には自分の上半身程の大きさのけん玉を取り出し、見事に先端に玉をはめていた。

 男が技を決める度に、湧き上がる歓声。

 確かに、男のけん玉裁きは上手い。

 これを街中で、やっていたら足を止めたくなる理由も分かる気がする。

「上手いですね。けん玉」

 男のけん玉裁きを、人だからの外から、じっと見つめているルーカス。

 む、これ行けるのでは無いか。

 ルーカスの中で一つのアイデアが閃いた。


「大道芸ですか?」

 再び、藤棚下のベンチに戻って来たルーカスと美穂。

「あぁ、そうだ。大道芸をして人を集める。そうすれば君の上がり症も少しは克服出来るんじゃないか。大鶴丸さん」

 ルーカスは自分のアイデアを大鶴丸に報告する。

 大道芸を披露して人を集める、そうする事で大鶴丸の上がり症を克服する。

 それが彼の思い付いたアイデアだった。

「大道芸で人前に出て、人前に出るという事に慣れるんだ。いきなり土俵に立つより上がり症を克服しやすいと思うのだが……」

「良いアイデアでがんす」

「やってみるでごんす」

 大鶴丸の友達は賛成してくれている様子だ。

「でも、僕に何か芸が出来るでしょうか?」

「うーむ。それは、これから考えるとしよう」

 大鶴丸は大道芸を披露する事には乗り気の様子だ。

 後は中身。何を披露したら人は集まって来るだろう?

「力士さんだから、やっぱり相撲ですかね」

 美穂が提案する。

「いや、土俵に立つと緊張するのだから別のものが良いだろう。それに、浅草には丁度良い土俵が無い」

「土俵が無いと相撲は危険でがんす」

「止めた方が良いでごんす」

「歌は、どうだ? 芸の定番だぞ」

 ルーカスは歌を提案する。芸の定番で人も集めやすい。

「僕、歌、上手いですかね?」

「ん〜、ちょっと聞いてみないと分からないでがんす」

「歌ってみるでごんす」

 それは良いアイデアだ。歌ってくれれば歌の実力が分かる。

「何か歌を歌ってはくれないか?」

「分かりました」

 大鶴丸は皆の前で歌を披露する事にした。

「あ〜、君が好きなんだ〜! とっても大好き〜」

 むー、これは……。

「どう思う美穂」

「うーん。上手くもないし下手でもないですね」

 美穂の言う通りだ。大鶴丸の歌声は上手くもないし下手でもない。

 これでは人を集めるのは難しいだろう。

「あの〜、もう一曲歌っても良いですか?」

 本人は結構乗り気みたいで、もう一曲披露してくれるらしい。

「ん? 良いぞ」

「では、行きます」

 大鶴丸は、もう一曲披露してくれた。

「あ〜、生クリームと、サバの味噌煮は意外と合う〜」

「え? なんだ。その歌詞、絶対合わないだろう」

「生クリームと、鯛茶漬けも〜」

「合わない。合わない」

 

 どうやら歌では大鶴丸は人を集める事は出来ないみたいだ。

 では、何にしよう?

「ジャグリングは、どうでがんす?」 

「やってみるでごんす」

 大鶴丸の友達がジャグリングを提案する。

 確かに、ジャグリングが出来るとなったら、しっかりとした芸だし、人も集まるだろう。

「だが、ジャグリングのピンが無いだろう」

「俺、持っているでがんす」

 大鶴丸の友達が丁度ジャグリングのピンを持っていた。

 ならば良かったのだが、何故持ってるのだろうか?

「では、やってみます!」

 大鶴丸がジャグリングのピンを三本持った。

「ほっ」

 そして合図と共に投げ始める。

「ぎゃー!」

 勢い良くジャグリングのピンを投げた大鶴丸だが、結構は大失敗。

 ジャグリングは出来ずピンは地面に落ちてしまった。

「すみません。僕、ジャグリング出来ないです……」

「ま、まぁ、気にしないでくれ。ジャグリングは多分、特訓しないと出来るようにはならないだろう」

 さて、別の案を考えよう。ジャグリングは無理で歌も無理となると……。

「火の輪くぐりは、どうでがんす?」

 大鶴丸の友達が、そんな事を提案して来た。

「いや、火の輪くぐりなんて、道具が無いだろう……」

「持っているのでごんす」

 大鶴丸の友達は火の輪くぐり用の輪っかを持っていた。  

 なんで、そんな物を持っているんだ?

「これに火をつければ、火の輪くぐりが出来るでがんす」 

「頑張るでごんす」

 そう言って大鶴丸の友人達は、火の輪くぐりの輪っかに火をつけた。  

 メラメラと、輪っかは燃え上がり、こちらまで熱気が伝わってくる。

 いや、危ないな。これ。

「お、大鶴丸さん、無理はしては駄目だぞ!」 この火の輪くぐり、成功すれば拍手喝采だが、失敗したら怪我をする恐れがある。

 ルーカスは、大鶴丸が無理をしないように言った。

「いえ、僕、やってみます!」

 一方の大鶴丸は意外とやる気みたいだ。

「な、本当に大丈夫なのか?」

「意外と出来る気がするんです。僕」

 そう言うのなら、もう止める必要は無いだろう。  

 大鶴丸は火の輪くぐりの輪っかの前に立った。 

「では、行きます!」

 地面を蹴って走り出す大鶴丸。

 そして、火のついている輪っかをめがけてジャンプした。

「ぎゃあああ!熱い、熱い!」

 結果は大失敗。火傷する恐れのある大鶴丸にルーカス達は急いで水をかけた。


「うーむ。失敗してしまったら人は集められないな〜」

 火の輪くぐりに失敗した以上、あれは危険だし、やらない方が良いだろう。

 さて、どうやって人を集めようか。


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