10.ラムスの館(1)館
【翡翠紋】持ちのメリッサが先導し、僕を案内してくれた。
後ろを【剣士紋】ハイエルフが付いてくる。
合計レベル49の剣士に斬りかかられては、今の僕では一撃で殺されるだろう。
信用できない相手に背を向けるというのは、ひどく気味が悪いものだ。
土がむき出しになった通路の突き当たりをハシゴで登り、上の通路に出た。
そこは、資材置き場といった感じの部屋が並んだ地下通路だった。その突き当たりを再び上にハシゴで登ると、次は牢獄がズラリと並んでいた。
・・・何だ? ここは・・・
アンモニア臭が立ちこめたそこは、首輪をはめられた男女が十人単位で牢屋に押し込められていた。
驚いたことに、奴隷と思われるエルフに亜人に人間の大半が紋持ちだ。
男も女もそれなりの紋を持った者たちだ。全員に【竜眼】が反応した。
着ている服にしても、汚れているが上質な衣服の者が目立つ。
・・・ココって、奴隷商人の館なのか?・・・
僕を勇者として召喚したペイの国にも、奴隷はたくさん存在した。
しかし、そこで紋持ちの奴隷など見たことはなかった。
奴隷商人の館に監禁されていると推測した僕は、気が重くなった。
僕は自分が奴隷になるつもりはなかった。そして、リリをこんな場所に置いてはおけないと決意を新たにした。
◇ ◇ ◇
僕たちが捕らえられていた場所は、とんでもない多重構造になっていた。
地底湖の部屋は地下5階くらいに位置していて、地下3階から地上2階まで、奴隷と思われる者たちが、幾つもの部屋に押し込められていた。
そして7階ほど上ったところで、建物の雰囲気は一変した。
貴族の屋敷といった豪華な作りの廊下が現れた。
さらに階段を登ったところで、僕はメリッサたちと別れた。
部屋に通された僕に、2人のメイド風少女が付いてくれて、湯浴みをさせられ服を着替えさせられた。
【拳闘士紋】のメイド風猫耳少女は、食事を運んできた猫耳娘だった。
もう1人の少女もレベル10の紋を持っていた。
この2人は、僕の呪いが本当に消えているか確認する役目なのだろう。身体の隅々を洗われ、薄く生えていた無精髭も剃られサッパリした僕は、館の主と対面することになった。
面会するのに湯浴みをさせるとは「何様だよ」と思ったが、それなりの実力者と対面するのだと気持ちが引き締まる。
相手の思惑が分からなければ、これから僕たちがどうなるかも分からない。
極悪奴隷商人に監禁されているとなると、厳しい状況になるだろう。




