38話 相打ち⋯!?
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
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宜しくお願い致します。
38話
ライデンとエリスは、片腕を切られ、盾しか使えないドラゴンロードと、無傷のブラックドラゴンと対峙しており、間合いをはかっていた。
「どう攻める?」
「やっぱり、ドラゴンロードから倒すべきでしょう」
「そうだな、奴が守りで、ドラゴンが攻めなのは明らかだ」
「ドラゴンの攻撃は、私が惹き付けるから、あなたはその隙にドラゴンロードに止めを刺してくれない?」
「大丈夫か?」
心配するライデンに、エリスは微笑んだ。
「さっきとは逆ね……私は盾を持ってる分、ドラゴンのブレスには対抗しやすいはずよ。それに私とあなたなら、防御は私が上、攻撃はあなたが上じゃないかしら?」
「フッ……その通りだ」
ライデンも笑った。
「じゃあ、ドラゴンの攻撃は私に任せて、あなたはドラゴンロードを倒して」
「分かった! 気を付けろよ!」
「ええ」
ライデンとエリスは、左右に散り、ライデンはドラゴンロードに、エリスはブラックドラゴンに向かっていった。
「ブラックドラゴンに手出しはさせんぞ!」
ドラゴンロードは、ライデンとエリスの動きを見て、ブラックドラゴンの守りに向かい、盾を構えて、ブラックドラゴンの前に立ち塞がった。
「これじゃうかつに近付けないわね……」
ドラゴンロードは、攻撃力を失っているとは言え、強固な盾を使った防御力は未だ健在で、戦いの前半で弓矢を弾かれていることから、エリスも慎重だった。
ブラックドラゴンは、エリスに向かって紅蓮の炎を吐いた。
エリスは横に飛んで、炎を避けた。
「お前の相手は俺だ」
ライデンが、ドラゴンロードに猛スピードで接近し、グレートアクスを振り下ろした。
「くっ……!!」
ドラゴンロードは盾をかざし攻撃を受けたが、片腕では衝撃を受けきれず、よろけた。
「いける……!」
ライデンは、ドラゴンロードに盾で防がれても、斧で滅多打ちにした。
「ぐっ……ぬっ……がっ……!」
ドラゴンロードは、懸命に盾で防いだが、ライデンの強烈な攻撃に、一撃受ける事に腕に衝撃が走った。
「お前は、片腕を使えん状態だ。いつまで凌ぎきれるかな?」
ライデンは、更に滅多打ちにした。
「ぬぬ……はぁはぁ……」
(悔しいが奴の言う通りだ……このままでは……)
ドラゴンロードは、必死に盾で防いだが、腕が痺れ、盾を落とすのも時間の問題だった。
「ライデン! 危ないっ!!」
突然、エリスの声が響いた。
ブラックドラゴンが、ライデンの方を向き、炎を吐いたのだ。
「おっと!」
ライデンは、エリスの声に反応し、間一髪で飛び退き、炎を避けた。
「ええいっ!!」
エリスが、ブラックドラゴンに斬りかかった。
「グオッ!!」
ブラックドラゴンは、振り向き様に腕で斬撃を受け、鱗を斬り飛ばされ、青い鮮血が舞った。
「ガアッ!!」
ブラックドラゴンは、エリスに炎を吐いた。
エリスは、海龍の盾で防ぎ、反動を利用して離れ、着地した。
(ぬぬぬ……これではやはり勝ち目は無いか……ならば……)
ドラゴンロードは、ブラックドラゴンに目で合図を送った。
ブラックドラゴンは、意図を理解し大きく息を吸い込んだ。
「トオリャーッ!」
ライデンが再び、ドラゴンロードに襲いかかり、今度は、猛ダッシュからの飛び蹴りを放った。
「ぐっ……」
ドンッ! と、凄まじい音と共にドラゴンロードに大きな衝撃が走った。
「たあーっ!!」
エリスが、大きく息を吸い込み、隙だらけのブラックドラゴンに、炎の剣を振りかぶって斬りつけた。
「ぐあっ!」
「えっ!?」
ドラゴンロードは、身を投げ出して、エリスの斬撃をまともに受け、大きく斬りつけられた。
エリスはドラゴンロードの思わぬ行動に驚いた。
「グ、ググ……ブラックドラゴンに手出しは……させんぞ……」
ドラゴンロードは、エリスの攻撃に大ダメージを受け、吐血し、満身創痍ながらも、凄まじい気迫を見せ、仁王立ちになって立ち塞がった。
ブラックドラゴンは、更に大きく息を吸い込んだ。
ドラゴンロードは、ブラックドラゴンの方を向き、頷いた。
(よし……)
「ウオオオオーッ!!」
ドラゴンロードは、最後の力を振り絞り、盾をかざしたままエリスに向かって突撃した。
「え!?」
エリスは驚いた。
ドラゴンロードが、あれだけの傷を負いながら、まさか攻撃に転じてくるとは思わなかった。
ドラゴンロードは、盾をエリスの左半身に向かって投げつけた。
エリスは、難なく右側に身をかわしたが
「今だ!」
「あっ! きゃっ!」
ドラゴンロードは、エリスに向かって懸命に左腕を伸ばし、エリスの足を掴み、エリスは急に、足を掴まれ転んだ。
「エリス!」
「このっ! 離しなさい!」
ライデンが、エリスを救出に向かい、エリスも足を掴んでいる手を払おうと剣を振り上げた。
「今だぁっ! ブラックドラゴン!!!」
その時、ドラゴンロードがブラックドラゴンに叫んで合図した。
ブラックドラゴンは、カッと目を開き、今までの炎とは、規模も威力も違う、灼熱の炎を吐き出した。
「ゴオオオオオーッ…………」
轟音を立てて、石畳の床を溶かしながら、白っぽい超高熱の灼熱の炎が、ライデンとエリスに迫った。
「エリス! 盾をかざせ! 後は任せたぞ!」
「え!? ラ、ライデン……?」
エリスは、驚いたが、ライデンの言う通り盾をかざし、ライデンは、エリスを庇うように前に立って仁王立ちになった。
「うおおおおおーっ!!!」
「ラ、ライデン……」
ライデンは、灼熱の炎をまともに受けて、炎に包まれ、髪から、手足の指先に至るまで、全身を焦がされたが、雄叫びをあげ、両足を踏ん張って立ち塞がった。
エリスは、ライデンが盾になった事と、転ばされて身を伏せる形になっていた事が幸いし、盾をかざしていたこともあり、灼熱の炎のダメージを最小限に抑えることができた。
ドラゴンロードは、ブラックドラゴンの灼熱の炎を見ると、満足そうにニッと笑い、自らも灼熱の炎に包まれ、そのまま死んでしまった。
「フウゥゥゥ…………!!」
ブラックドラゴンは、大きく息をつき、灼熱の炎を吐き尽くした。
灼熱の炎が止み、エリスは、自分の足を掴んだドラゴンロードの手を払い、素早く立ち上がってライデンに駆け寄った。
「ライデン!」
「エリスか……?」
ライデンは、全身真っ黒焦げで、大火傷を負い、立っている事はおろか、生きているのも不思議なほどだった。
「ええ! そうよ!」
エリスは、瞳に涙を浮かべ答えた。
「そうか……ならば良かった……後は……頼む……俺は……少し……休ませて……もらう……」
「分かったわ……私に任せて……」
「フッ……」
ライデンは、黒焦げの顔でニッと笑い、そのまま倒れた。
「ライデン……」
エリスは、ライデンの前に立ち、剣と盾を構えた。
(ライデン……後は任せて……)
エリスは、ライデンの容態が心配だったが、戦闘中でその余裕はなく、涙を振り切ってブラックドラゴンと対峙した。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




