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19話 恐るべし! 呪いの寒気!

読者の皆様、作者の大森林聡史です。

この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。

よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。

宜しくお願い致します。

 聖王女アスカ(19話)


 タラの港町には、不自然なくらい兵士が多かった。

 一人の兵士に、アスカが声をかけた。


「私は、プリンティアの王女アスカ。こちらにウィンダム王はおられますか?」

「失礼ですが、あなたがプリンティア王女という証はございますか?」

「はい……」


 アスカは、レイピアを見せた。

 柄にプリンティア王家の紋章が彫ってあり、兵士は納得した。


「では、こちらへ……」


 アスカ達は、兵士に連れられ造船所に向かった。

 ウィンダム王は、造船所にいて、職人達と船を作っていた。

 王は、中年の背が高くガッチリとした体つきで、黒い立派な髭を蓄えていた。


「これは、プリンティアのアスカ姫、よくぞ参られた」

「はい……王様自ら船を作られておられるのですね」

「ああ……国を守れなかった手前、何かしておらぬと落ち着かぬのだよ」


 ウィンダム王は、苦笑いを浮かべた。

 笑っているが、その目はどこか悲しげだった。


(王様……無念なんだわ……痛いほど伝わってくる……)


 アスカは、ライデンを失った時の事を思い出していた。


「心から心中お察し申し上げますわ……」

「うむ……礼を申すぞ……」

「心苦しいかもしれませんが、ウィンダムで何が起こったのかお教えいただけませんか……?」

「うむ……」


 王が話そうとすると、兵士が発言した。


「王よ、私から話しましょう。どうか、お休みになって下さいませ」

「うむ……すまぬな……」


 王は、作業場に戻っていった。

 その後ろ姿は、どこか淋しげだった。


(王様……心より心中お察し申し上げます……)

「王様の心の痛み……伝わりました……」

「ありがとうございます。我が王に代わり心よりお礼申し上げます。王は、夜眠れぬ事もあるようで、我らもお休み申し上げておるのですが、朝早くから作業場に向かうのです……」

「それではお体を壊されてしまいますわ……」

「はい……アスカ様、どうか我らウィンダムの者をお助けください」


 兵士は、深々とアスカに頭を下げた。


「はい……それで、ウィンダムでは何が起こったのですか?」

「はい。魔王軍海軍団長クラーケンというものが、突如宣戦布告して参り、海の魔物を引き連れて襲いかかってきたのです。我らも海軍を派遣して応戦し、戦局は我が軍が有利に進んでおりました。ですが、クラーケンは、呪いの寒気という呪術を使いまして、我が海軍は次々と氷付けになりました。それだけでは収まらず、城下も凍っていったのです。城だけは、宮廷魔法使いが門に封印を施し、氷付けを免れましたが、軍は壊滅状態。落城必至と見て、脱出し、このタラの港町まで逃げてきたのです」

「そんな事があったのですね……」

「はい……どうかお力をお貸しくださいませ」

「はい、お約束いたします」

「ありがとうございます。我らに何か手伝えることがあれば何なりと申し付け下さいませ」


 アスカ達は、事情を聞き造船所をあとにした。


「そのクラーケンを倒さないと、オーブを探すどころじゃなさそうね」

「はい」

「ウム、では作戦を立てようかの」


 アスカ達は、宿で作戦会議を始めた。


「クラーケンは、ウィンダムから更に西の海にいるって言ってたわね。そして、海の魔物の大軍勢を率いていると……」

「大軍勢は、儂に任せい。我が2番目に強い魔法で一掃しよう」

「2番目……ですか?」

「1番強いのは、命と引き換えにしか使えんのじゃ。ま、2番目に強い魔法を使ってもしばらく戦えんがの」

「じゃあ、私とエリスとミツキの3人で戦うことになるのね」

「賢者様、呪いの寒気の呪術とは何でしょうか? 私達で対抗できますか?」

「アスカ殿がおれば大丈夫じゃ、聖なるオーラが守ってくれるわい」

「じゃあ、ウィンダム王に申し上げて、船を借りましょう」

「うむ、それからミツキ、アスカ殿」

「何?」

「知ってると思うが、魔法には属性がある。弱点をつくのが基本じゃ」

「はい」

「大抵海の魔物には、雷系がよく効く。濡れておるからの」

「うん」

「クラーケンにも雷が効くかは分からんが、属性を見極めて戦うんじゃ」

「はい」

「それでは、王には明日申し上げるとして今日は休もうかの……」

「おじいちゃん……なんでそこに寝るの?」


 ミツキが、睨み付けた。

 やはり、鬼のような形相である。


「休むんじゃろが?」

「おじいちゃんの部屋は、と・な・り・よ! と・な・り!」

「そうかそうか、すまん最近ボケておってな……」

「し、白々しいわね……早く出てけ! さもないとぶちのめすわよ……」

「あわわ……」


 ルドルフは、恐れおののいて隣の部屋に戻った。


「ミツキ……言い過ぎじゃない?」


 アスカは、豹変したミツキに少し青ざめていた。


「良いのよ、あのジジイは懲りないから」

「ミツキ……口まで悪くなってるわよ……」

「あら? はしたない……」


 アスカ達は、しばらく談笑した後、就寝した。

 夜もふけた頃……ルドルフがこっそりと起きた。

 ルドルフは、隣の部屋に聞き耳を立てた。

 地獄耳の魔法で、アスカ達の微かな寝息を聞き取った。


(フ、フフ……寝たようじゃな……覗きに行くぞ……)


 ルドルフは、物音を立てないように注意して部屋の外に出た。

 そして、アスカ達の部屋のドアを開けようとした。

 だが、当然のごとく鍵がかかっていた。


(この大賢者ルドルフに不可能はない……!)


 ルドルフは、鍵開けの魔法でドアの鍵をあけた。

 そして、音を立てないように静かに部屋に入った。


(ほほぅ……よく寝ておるわ……更に深い眠りにつくとよい……)


 ルドルフは、アスカ達3人に催眠の魔法をかけ、アスカ達は更に深い眠りについた。

 

(ぬぅ……暗くて誰か分からぬわ……灯りをつけるのはさすがにまずいのう……3分の2じゃな……運に天を任せるとしようかの……1番はやはりエリスちゃんがいいのう……あの豊満なバディはたまらぬわ……)


 ルドルフは3人のうち、布団の膨らみが1番大きい1人にした。


(こ、これは……エリスちゃんの胸かのう……!? い、いただいちゃうぞい!!)


 ルドルフは、勢いをつけて頭から布団にダイブした。すると……


 ガンッ!

「な……なぜ……じゃ……?」


 鈍く大きな音を立てて、ルドルフは、そのまま床に崩れ落ちた。

 エリスの胸だと思って飛び込んだのだが、胸ではなくミツキの膝だった。


「うぅ~ん……」


 それからかなりの時間が経ってからアスカ達は、目を覚ました。


「頭痛いわ……」

「私はなぜか膝が痛い……」

「みんな……おはよう……」

「おはよう……ございます……」

「なぜか……凄く……目覚め悪いわ……」


 アスカ達は、3人ともルドルフの催眠の魔法で、深い深い眠りについていたのだった。


「あれ……? 日が沈もうと……してる……」

「ほんとですね……え?」

「どうしたの……?」

「日が沈む……? ということは夕方……?」

「ウ……ウソでしょ……?」

「ほ……ほんとですぅ……」

「まぁ……いいわ……今日は……もう……寝ましょう……」

「はい……」


 アスカ達は、あまりに眠くこの日は活動できなかった。

 ルドルフは途中で起きたが、さすがにそれからいたずらしようとは思えず、自分の部屋に帰っていた。

 翌日、ウィンダム王から船を借りて、クラーケンの潜む西の海へ出港した。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。

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