18話 氷漬けの町ウィンダム
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
聖王女アスカ(18話)
水と氷の国ウィンダム。
この国は、この世界の北に位置し、年中寒いところだった。
しかし、年間を通して水温が低い事と海流が早いためか、身のしまった美味しい魚介類がとれる事で有名で、流氷が浮くこともあるにも関わらず、漁業が盛んで造船技術が高い国だった。
「滅ぼされているって聞いたわりには、荒らされた後が無いわね……」
「よく、見てみるのじゃ」
「はい……え!? こ、凍ってる……」
城下町の壁が凍っていて、草、木、家、城、全てが凍っていた。
「ウィンダムってこんなに寒いの!?」
「アスカ……」
「アスカ様……」
ミツキとエリスは、少し呆れた。
「ア、アスカ殿、気候で凍ったのではなく……ほれ、氷からなにか感じんか?」
「はい? ハッ……! 邪悪な気配が……」
「ウ、ウム……おそらく魔物の仕業じゃよ」
「町を凍り漬けにするなんて許せない! やっつけに行きましょう!」
「ど、どこにじゃ?」
「え? 分かりません!」
(ね、エリスさん……アスカって天然?)
(うーん……お城に居たときはそんな事無かったと思うけど……)
「だから、ここに来て再度情報を集めに来たんじゃろ?」
「はい!」
「では、生き残りがいないか探しに行こうかの?」
「はい! 誰かいませんか~?」
アスカは、走って城下町に入っていった。
「わ、私達も中に行きましょう」
「ウ、ウム……」
「こ、凍りづけの人がいる……」
「そんな……」
町中には、この国の住民と思われる凍りづけの人が、何人もいた。
「みんな~!」
アスカが、皆の元へ走って戻ってきた。
「アスカ様、どうされました?」
「おそらくだけど、お城の門が魔法で封印されてるの」
「ほう……ならば見てみるかの」
「お願いします」
門には魔法陣が浮かび上がっていた。
「フム……確かに魔法の封印じゃな」
「解けますか?」
「やってみよう……いや、ミツキやってくれんかの?」
「え? 私?」
ミツキは、驚いて自分を指した。
「ウム、封印解除の魔法は、知っておろう? ならばあとは、どちらの魔力が強いかじゃ」
「分かった、やってみる」
ミツキは、城門に近づき手をかざした。
すると、ミツキの頭の中に魔法のプロテクトが浮かび上がった。
「なるほど、これなら解けるわ」
「開けてみましょう」
アスカが、門を開けようとしたが、ビクともしなかった。
エリスも手伝ったが、全く動かない。
「どれ……儂に任せい」
バリバリ……
大きな音を立てて、門の隙間にある氷が割れた。
ギィ……
重い音と共に門が開いた。
「す、凄い力……」
アスカとエリスは、目をまん丸くして驚いた。
「アスカ様、腕を見てください……」
「凄い……」
ルドルフの腕は、老人のものとは思えないほど太く、筋骨隆々だった。
「凄いでしょ? おじいちゃんは、魔法だけじゃないの」
「だけどね……」
「ル、ルドルフ様!?」
「ど、どうされたのですか!?」
ルドルフは、真っ白になって壁にもたれかかっていた。
「すぐ疲れちゃうの……」
「ミ、ミツキ、どうしよう?」
「あ、生きてるから大丈夫。私、見てるから中を見てきて」
「え、ええ……」
アスカとエリスは、城の中の捜索に向かった。
「無理しちゃって……」
ミツキは、ルドルフの隣に寄り添った。
「中は凍ってないですね」
「ええ……どういう事なのかしら?」
アスカとエリスは、人は1人も見つからないが、台所や扉、壁などは凍っていない事に気が付いた。
「玉座も誰もいない……」
「玉座も凍ってませんね……」
「あら? この玉座の下……何か動かした後があるような……」
「ほんとですね……」
擦ったような跡があり、隣に四角い絨毯の切れ目があった。
「もしかして……」
エリスが、絨毯の切れ目を探ると、窪みに取手があった。
取っ手を掴んで上げると、開けることができた。
中は、大人が一人通れるくらいの通路になっていた。
「これは隠し通路かしら?」
「そうかもしれませんね……一度ミツキ達のところへ戻りませんか?」
「そうね、そうしましょう」
そして、隠し通路に入るとすぐに抜け、外に出た。
「これは……どういう事かしら?」
「城の中は凍ってませんでしたね……」
「でも、人は一人もいないのよね?」
「ウム……」
アスカ達は、4人共頭を抱えて悩んだ。
「あら? ここ……」
「獣道のようになってますね……」
「それに一部刈られたみたいに短くなってる」
「辿ってみようかの」
辿ってみると、ウィンダム街道に出た。
「もしかして、王様達は脱出したんじゃ……?」
「かも知れませんね……」
「あっちはお城だから、反対の道に行ってみる?」
「そうじゃのう……今はそれしか手掛かりがない。行ってみようかの」
しばらく歩くと、看板があった。
看板には
「←ウィンダム城 タラの港町→」
と、あった。
「タラの港町!」
「どうしたの?」
「確か、プリンティアの港からタラの港町に定期船が出てたはずです。もしかしたら、そっちに王様達は逃げたのかも知れません」
「なるほど、行ってみましょう」
ウィンダム街道は、ほぼ一本道だが坂道が多く、また海が近く風が強かった。
冷たく強い風が吹き、アスカ達の体力を奪っていった。
そんな中、魔物の襲撃を受けた。
キラーウルフの群れと、キラーホークの群れだった。
キラーウルフはその名の通り、人肉が好物で、特に女の肉は大好物だった。
キラーホークは、主にそのおこぼれを狙っていて、共に人を襲う事もある。
あわせて、2~30匹はいた。
「多いわ……!」
アスカが呟き、エリスとミツキも苦しい戦いになるのを覚悟した。
「儂に任せい」
ルドルフは、両手を突きだした。
直後に狼達の真ん中で、大爆発が起こり、鳥の群れの真ん中で巨大な竜巻が巻き起こった。
魔物の群れは、爆発と竜巻で壊滅していた。
ルドルフは、同時に二つの魔法を扱えるのだ。
更に詠唱時間もアスカやミツキとは、比べ物にならないほど早かった。
「凄い……」
「まだまだ敵わないなぁ……」
「はぁはぁ……ぜぇぜぇ……」
「賢者様、大丈夫ですか?」
「いやいや……魔力は全然余裕なんじゃが、体力がおっつかんわい……歳はとりたくないのぅ……」
その後、魔王軍陸軍、空軍の生き残りに襲われたが、今のアスカ達の敵ではなく、難なく撃退した。
そして、タラの港町に到着した。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




