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16話 魔王軍空軍団長ガルーダの猛攻

読者の皆様、作者の大森林聡史です。

この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。

よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。

宜しくお願い致します。

 聖王女アスカ(16話)


「きゃあああっ!!」


 とっさにミツキが魔法バリアを張ったが、完全に防ぐことができず、うずくまった。


「うぁ……ぅ……」

「ミツキ!」


 ミツキは、身体中の神経をズタズタに切り裂かれたような感覚で、悶絶している。


「フハハハッ!! 我が電撃のお味はいかがだったかな!?」

「ガルーダ……!!」


 アスカは、鋭い目付きで睨み付け、魔物の名を呟いた。


「おお、恐い恐い……そんな目で睨まれると恐ろしいよ……だから仲間を呼ぶよ……」

「!?」


 スカイドラゴン、合成生物キメラ、ゴールデンイーグルが降りてきた。


(多いわ……!)


 ガルーダだけでも強敵なのに、更に3体の魔物も降りてきて、しかもどの個体も並みの魔物ではないのは明白だった。


「さて……早速だが総攻撃に移らせてもらうよ……かかれっ!」

「アスカ……私は大丈夫……前線に行って……」

「でも……あなたの傷も……」

「私は……自分で治療する……だから……早く……あの数……いくらエリスでも……」

「そうね……分かったわ! 必ず治してくるのよ!」

「うん……」


 ミツキは、回復魔法を自らにかけ治療を始めた。

 アスカはレイピアを抜いて、前線に走った。

 その頃、エリスは3対1の戦いに防戦一方だった。


「くっ……!」


 エリスは、ゴールデンイーグルの鋭い爪の攻撃を盾で防いだ。

 横から、キメラが吹雪を吐いた。

 エリスは、炎の剣で吹雪をしのいだ。

 更にスカイドラゴンが炎を吐いた。


「くっ……ダメっ!」

「エリス! 諦めないで!」


 アスカが飛び出し、吹雪の魔法で炎を迎え撃った。

 ガルーダが側面に回り込み、炎の魔法で高圧火球を打ち出した。


「きゃあああっ!!!」


 高圧火球は、アスカに直撃して、爆風で吹っ飛ばされた。


「アスカ様!!」


 エリスは、アスカを守るように身構えた。


「うう……」


 アスカは、火傷と打ち身で激痛が走り、意識がもうろうとするなか、自分に回復魔法をかけた。


「さて……行けい!」


 今度はキメラがエリスにクチバシで連続攻撃をしてきた。

 キメラは、小柄だが力も早さもあり、エリスは攻撃を盾で防ぐのが精一杯だった。

 そこへスカイドラゴンが巨体を揺らしてエリスに接近し、巨大な尻尾を振った。

 

「きゃあっ!」


 ドラゴンの力は凄まじく、盾を持ったエリスごと吹き飛ばした。

 無防備なエリス目掛けて、ゴールデンイーグルが突っ込んできた。


(やられる……)


 高圧火球が、ゴールデンイーグルに直撃した。

 ミツキが、火球を放ったのだった。


「うぬっ! やりおるわ……」


 アスカが治療を終え、エリスも態勢を整えた。


「アスカ様!」

「アスカ!」

「なんとか体制を立て直さないと……やっぱり4対3じゃ分が悪いわ……1匹でも倒さないと……」

「では狙いは……」

「キメラか鳥でしょう……ミツキ、私とエリスがなんとか奴等の攻撃を凌ぐから、魔法で攻撃して!」

「分かったわ!」


 しかし、スカイドラゴンとキメラは左右に散り、上空高く飛び上がった。


「作戦変更! 火炎放射と吹雪がくるわ! 火炎と吹雪は私とミツキが防ぎます!エリスは弓を構えて!」

「分かりました!」

「うん!」

 

 スカイドラゴンは、大きく息を吸い込んで先程よりも強力な火炎を吐き出した。

 アスカは、吹雪の魔法を発動させた。

 今度は、炎と吹雪の威力は互角で中央で大爆発を起こし、相殺された。

 キメラは吹雪を吐くかと思いきや、炎の魔法を唱え、高圧火球を打ち出した。

 

「この私にその程度の魔法が通じると思って……?」


 ミツキは、キメラの高圧火球を軽々と手で受け止め、握りつぶした。


「雷に打たれて死になさい……伝説のように……サンダーボルト!」


 上空にバチバチバチッと激しい稲妻が起こり、太い稲妻がキメラに直撃した。

 真っ黒焦げになったキメラが頭から落下し、地面に激突して、頭の骨が粉々になって絶命した。

 ゴールデンイーグルは、スカイドラゴンとキメラの攻撃の隙をつくつもりだったが、どちらの攻撃も失敗し、驚き戸惑っていた。


「そこっ!」


 そこをエリスが見逃さず、銀の弓を思いっきり引き絞り、矢を放った。


「グギャアアアッ!!」


 銀の矢は、一直線にゴールデンイーグルに向かって飛んでいき、脳天を射抜き即死させた。

 ガルーダが太陽を背にし、大きく両翼を広げていた。

 

「くらえっ! ガトリングフェザー!!」

「きゃあああっ!!」


 エリスは、とっさに盾を構えたが、逆光で攻撃がよく見えず、凌げずにガクッと膝をついた。

 アスカも盾を構えたが、攻撃がよく見えない上、盾を弾かれて、全身を傷つけられ、うずくまった。

 ミツキは、無防備で攻撃を受け、全身を深く傷つけられ重傷を負った。


「フフフ……これならば回復も追い付くまい……スカイドラゴンよ! 共に奴らに止めを刺そうぞ!」


 スカイドラゴンの口から真っ赤な炎が見え、ガルーダは魔力が集中し、上空にバチバチバチッと激しい稲妻が走り出した。


「こ、これまでなの……!?」

「……!!」

(私は……私は! みんなを……仲間を……守りたい! 私の中に眠る聖なる力よ!! 力を貸して!)


 アスカは、突然水色の目映い光に包まれた。

 目映い光は、やがて暖かい聖なる光となり、自らと仲間達を照らし、みるみるうちに傷がふさがり、体力が回復した。


「ゲェッ!! な、なんだ、これは……!? ええい! 構わん攻撃せよ!」


 ガルーダが激しい稲妻を呼び出し、アスカ達に稲妻が落ちてきた。


「させない!」


 回復したミツキが、魔法のバリアを張り、今度は稲妻を完全に防ぎきった。

 スカイドラゴンが炎を吐き出した。


「ライトニングランサー!」


 アスカは、聖なる光を収束させ、1本の槍を作り出しスカイドラゴン目掛けて投げつけた。


「グオアアアアーッ!!」


 聖なる槍は炎を貫き、スカイドラゴンの喉をも貫いた。


「なぜ……だ……」


 偵察蛾のリンプンをつけて、アスカ達を奇襲した。

 精鋭3匹を引き連れて襲いかかった。

 自身の最強の攻撃のガトリングフェザーと稲妻を放った。

 それにもかかわらず、アスカ達を倒せなかった。


「グギャッ!!」


 ガルーダの胴体にエリスの矢が刺さった。


(まともに戦ってはよくて相討ちだ……ならば……!)


 ガルーダは、真っ直ぐに向かってきた。

 

「な、何を考えてるの!?」

「と、とにかく攻撃しよう!」


 エリスは矢を連射し、ミツキは続けざまに魔法を唱えた。

 強力な聖なる力を使ったアスカは、意識がもうろうとし、思うように動けなかった。


「ぬ、ぬおおおおーっ!!」


 ガルーダは、全身に矢と魔法を立て続けにうけた。

 全身傷だらけになりながらも、山頂に降り立った。

 そのまま、アスカに一直線に向かっていく。


「いけない! 奴の狙いはアスカ様だわ!」

「行かせないよ!」


 エリスは、ジャンプして斬りかかった。

 ミツキは、高圧火球を放った。


「こ……こざかしいわっ!!」

「きゃあっ!」


 ガルーダは、両翼を大きく振り回した。

 エリスを弾き飛ばし、高圧火球をかきけし、そのままミツキも弾き飛ばした。


「うっ……」

「いた……」


 エリスもミツキも、弾き飛ばされた衝撃でうずくまって動けなかった。

 ガルーダは1歩……1歩とアスカに近づいていく……


「アスカ様! 逃げてーっ!」

「アスカ! 目を覚ましてっ!」

「エリス……ミツキ?」

「ハッ……!」


 アスカが気がつくと、ガルーダはもう目前まで迫っていた。

 目は鋭く血走っていて、少し笑みを浮かべていた。


「こ、恐い……」


 アスカは、全身がガタガタと震えて怯えた。

 初めて戦闘中に恐怖を口にした。


「アスカッ! しっかりしてっ!」

「アスカッ!」


 エリスとミツキが、必死にアスカを鼓舞した。

 アスカは、恐怖を押し殺して、ガルーダから間合いをとろうと横に飛んだ。


「姫君……どちらへ……いかれるのかな……?」


 ゼェゼェ……と大きく息を吐きながら、ガルーダは巨大な翼でアスカの行く手を阻んだ。


「くっ……!」


 アスカは、レイピアで翼を突いて抜けようとしたが、翼はビクともしなかった。


「きゃあっ!」


 隙をつかれてアスカは、ガルーダにクチバシで挟まれて、捕まった。

 ガルーダは、アスカを足で持ち直し、逃げられないように両足でガッチリとアスカを掴んだ。


「もう……逃がしませんぞ……姫君……お連れしましょうぞ……共に……あの世へ!!」

「い、嫌っ!!」


 ガルーダは、アスカを掴んだまま、最後の力を振り絞って飛翔すると、急降下していった。


「アスカ様ーっ!」

「アスカーッ!」


 エリスとミツキが、満身創痍の体を引きずって、頂上からガルーダが落下していくのを見た。

 しかし、次第に小さくなり見えなくなるガルーダの後ろ姿を見ている事しか出来なかった。


「アスカァッ!」

「アスカさまぁっ! わ、私はあなたを……あなたを……守れなかった……」

「止めて! エリスさん! あなたまで死んじゃう!」

「は、離して! アスカ様を……アスカ様を……! 助けるの!」


 ミツキとエリスは、泣き崩れた。

 特にエリスの衝撃は大きく、泣きながらアスカを助けに飛び降りようとし、ミツキが泣きながら必死に止めた。

 

「ど、どこに行くつもり?」


 ガルーダに鷲掴みにされたアスカはガルーダに尋ねた。

 しかし、ガルーダは答えなかった。

 ガルーダは既に気を失っていた。

 ぐんぐんスピードが上がり、どんどん迫る地面。

 その先に見えるのは、窪地の真ん中のマグマの海だった。

 アスカとガルーダは、真っ直ぐにそこに向かって落下していっていた。


「た、助けてっ!!!」


 音速を超えさらに上がるスピード。

 間近に迫った地面。

 鷲掴みにされた両足は、ビクともしない。

 最後に待ち受けるマグマの海。

 それを防ぐ手段がない。


「き、き、き……きゃあああああーっ!!!!!」


 アスカは、心の底から恐怖した。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。

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