12話 再起
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
聖王女アスカ(12話)
すぐにルドルフがある人物を連れて戻ってきた。
「えっ……? じょ、女王様!」
エリスは、慌てて臣下の礼をとった。
ミツキもエリスの臣下の礼を見よう見まねでとった。
(この方が、アスカのお母様……なんて綺麗で優しそうな方なの……)
ミツキは、羨望の眼差しでプリンティア女王を見つめた。
「エリス、久し振りですね。よくここまでアスカを助けて戦い続けてくれました」
「はっ……」
「それからルドルフ様のお孫さんかしら? アスカがお世話になっております」
女王は、丁寧に挨拶し頭を下げた。
「お、お顔をお上げ下さいませ……わ、私などにもったいないです……」
「これからもどうかアスカを助けて下さい……」
「は、はい……」
ミツキは、女王のオーラに圧倒され、緊張がピークに達していた。
「ルドルフ様、連れていただきありがとうございます」
「なんの、今回儂は何もしてやれん。女王様のお力をお借りしますぞ」
「はい……エリス、アスカはどこにいますか?」
「はい、宿屋の部屋におります。一人になりたいとおっしゃいまして……」
「分かりました……」
女王は、サマーサの宿屋に入っていった。
他の客は突然、気品のある美女が宿に来て驚いたが、まさかプリンティア女王だとは、夢にも思わなかった。
女王は、部屋のドアをコンコンと優しくノックした。
「はい……ごめんなさい、もう少し一人にして……」
「アスカ、私です。エリカです」
「えっ!?」
アスカは、驚き慌ててドアを開けた。
「アスカ……久し振りですね、少したくましくなったみたい」
女王は、優しく微笑んだ。
「お、お母様……」
アスカは、女王の姿を見たとたん、涙が溢れだし飛び付いて抱きついた。
女王は、アスカを優しく抱きしめた。
「少しだけ、アスカと二人にしてください」
女王は、そう言うと胸の中で号泣しているアスカを抱きしめたまま、部屋に入った。
部屋に入ってしばらくして、アスカが泣き止んだ。
「お母様……ごめんなさい」
「ライデンの事は聞きました……」
「はい……」
「アスカ、辛かったですね……」
母の言葉でアスカの瞳がまた潤んだ。
「私を責めないのですか……?」
「責めませんよ。なぜ責めるのです?」
「王族としても、今回の旅をするにしても覚悟は決めていたはずなのに、受け入れきれなくて……」
「王族でも、巨悪に立ち向かう勇者でも、親しい人の死を悲しみ、なかなか受け入れられないのは当然だと思いますよ」
女王は、微笑んで続けた。
「でもね、アスカ。いつまでもクヨクヨしていてはダメよ」
「はい……」
「ライデンは、あなた達を守って亡くなりました。彼の意思であなた達を守ったのです。生き残ったあなた達は、彼の意思を継ぐ義務があります」
「意思を継ぐ……」
「そうです。旅に出る前ライデンは命に変えても、あなたを守ると私に誓ってくれたのです。ライデンはあなたに何か言葉を残しませんでしたか?」
「強くなれ……自分よりも魔王よりも……と言っていました」
「その言葉忘れないで下さい。今は悲しみにくれても、泣いても良い……無理に受けとめようとせずに気が済むまで悲しみ、泣きなさい。ですが、私は必ずあなたなら……いえあなた達ならそれを乗り越えて進んで行く日が来ると信じています」
「はい……」
「あなたは一人じゃない……エリスやミツキさん……ルドルフ様……協力してくれる仲間がいます。王族だから、使命があるからと一人だけで抱え込まないで……」
「はい……!」
「離れているけど、私やユウカ、城の者、城下町のみなさんもあなたのことを見守っていますよ」
「はい……!」
「さあ、アスカ、部屋の外で仲間が待っていますよ。行けますか?」
「はい!」
アスカは、部屋の外に出た。
そこにはエリス、ミツキ、ルドルフがいた。
「みんな、ごめんなさい……迷惑かけました」
エリスとミツキは、首を横に振った。
「みんな……私は弱い……だけど、魔王を倒す旅は止めません。弱い私だけど、みんなの力を貸して!」
「もちろんです! アスカ様!」
「私も頑張る!」
「ありがとう……ライデンは生前……私に強くなれって言ったの。自分よりも、魔王よりも……私にライデンのように強くなれるかは分からない。だけど……それでも……彼の意思を継いで戦います!」
「私もライデンに教わる事は多かったです……ライデンの意思を継ぐお手伝いをさせてください」
「私もライデンさんには何度も助けられたわ……ライデンさんが命をかけて守るだけの価値がある人になってみせます!」
「よし、行きましょう!」
「はい!」
「うん!」
アスカ達3人に、ようやく笑顔が戻った。
「ふむ、どうやら立ち直ったようじゃな」
「はい! ルドルフ様、ありがとうございます。お母様まで連れてきていただいて……」
「なんの、儂は連れてきただけじゃ。礼ならば女王様に言うがよい。して、次のオーブの話をしてもよいかの?」
「はい!」
「西の国、オーランドの火山にあると聞く。しかし、この国は魔王軍空軍に侵略されておる。くれぐれも気を付けて行かれよ」
「はい」
「ではの、3人になりこれまで以上に苦しい戦いになるじゃろう……じゃが、3人で助け合う事を忘れるでないぞ。そして、無理をするな、退くときは退けば良い」
「はい!」
「では、女王様は儂が連れて帰る。そなた達は、旅を続けられよ」
「はい!」
「ミツキ、アスカ殿の力になるのじゃ」
「うん! 私もっと強くなってアスカを助けるね」
「うむ」
女王も部屋の外に立っていた。
「お母様……ありがとう、行ってきます」
「気を付けて行くのですよ」
アスカ達は宿を出た。
女王は、その背中が見えなくなるまで見つめていた。
(ライデン……今までありがとう。よくアスカを守り、戦士として育ててくれました。心からお礼を言います……そして、ごめんなさい……私の娘の為に……その尊い命を……落とすことになってしまって……)
女王の頬を一筋の涙が流れた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




