11話 慟哭するアスカ
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
聖王女アスカ(11話)
「うぅ……」
アスカの顔は、涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「ミツキ……?」
エリスは、抱きかかえているミツキを見ると、気を失っているだけで息はあった。
「ライデン……」
エリスも涙が、頬を伝い落ちた。
エリスは、ピラミッドに青い光がキラッと光るのが見えた。
それは、ブルーオーブがだった。
エリスはブルーオーブを拾い、アスカの元へ戻った。
「アスカ様……」
アスカは、まだ泣き止んでいなかった。
2人は子供の頃から、姉妹のように仲が良かったが、ここまで号泣しているのを見たことが無かった。
「アスカ様……行きましょう……」
「……」
「ここにいてもライデンは戻ってきません……」
「!?」
アスカは、再びわぁっと泣き出してしまった。
「どうしたら良いの……」
「う……うぅん……」
その頃、ミツキがようやく目を覚ました。
「っ……!」
ミツキが、目の当たりにしたのは、崩壊したピラミッドと、泣きじゃくっているアスカ、呆然と立ち尽くすエリスの姿だった。
「ラ、ライデンさん……ライデンさんは……どこ……?」
「!?……し、し、し……死んだわ……」
アスカは、一瞬鋭い目付きをした後、すぐに悲しげな表情になり、震えた声で答えた。
「え……? う、嘘でしょ……!?」
「嘘じゃないわよっ! 嘘だったら……嘘だったらっ! ……どんなにいいか……」
ミツキは、みるみるうちに瞳が潤み、涙を流した。
アスカは、一言一言に反応し、怒ったり、悲しんだり、感情の起伏が激しかった。
同じ事は、全く涙が止まらない事だった。
「ミツキ……歩ける?」
「エリスさん……うん、私は大丈夫……」
「アスカ様をサマーサに連れて帰るわ。嫌がっても……」
「うん……」
ここにいても危険なだけなのだ。
「アスカ様、行きましょう……」
「……」
「仕方ないわ……」
「や、止めてよ!……離してよっ! 何するのよぉっ!」
エリスは、強引にアスカを背負って帰ろうとした。
アスカは、だだっ子のようだった。
「は、離しなさい! 離せって言ってるでしょっ! 離せっ!! さもないと、ゆ、許さな…………」
見かねたミツキが、催眠の魔法でアスカを眠らせた。
「ごめんね……アスカ……」
「ありがとうミツキ……」
エリスは、アスカを背負って、サマーサに歩き出した。
ミツキも一緒に歩き出した。
エリスもミツキも、涙が止まらなかった。
その後、すぐ近くまで調査に来ていたサマーサ兵達と、合流し、彼等に守られ無事にサマーサに到着した。
「ラ、ライデン……!?」
アスカの目の前に、ライデンが笑って立っていた。
「い、生きてたのね!」
アスカは、走り出した。
ライデンに向かって。
「ま、待って!」
ライデンは、なぜかアスカに背を向けて歩き出した。
アスカは、全力で走っているが、なぜか歩いているライデンに追い付けなかった。
「お願い! 置いてかないで!」
アスカは、目一杯手を伸ばして叫んだ。
だが、ライデンは止まらなかった。
どれくらいの時間追い続けたのだろう?
アスカは、懸命に懸命に走っているが、全くライデンに追い付けなかった。
「ハッ!? ここは……!」
やがて、ある場所にたどり着いた。
そこは、胸が張り裂けそうな程、悲しい経験をした場所だった。
そこは、ピラミッドだった。
「い、いや……嫌ぁっ! 行っちゃダメよ!」
だが、ライデンはピラミッドに入っていった。
「お願い! 言うことを聞いてよ! お願いだから……ライデン……」
アスカは膝をついて、すがるように手を伸ばし、泣き叫んだ。
「さよなら、王女様」
「やめて……そんな事言わないで……」
ライデンは、急に立ち止まり笑ってアスカに別れを告げた。
アスカは、号泣し泣き叫ぶ事しか出来なかった。
次の瞬間、轟音と共にピラミッドが崩れ、ライデンは瓦礫の中に消えた。
「い、い……い……嫌ぁぁぁぁぁっ!!!」
アスカは、叫んで飛び起きた。
「ゆ、夢……!?」
アスカの言う通り夢だった。
アスカの頬は、涙で濡れ、布団は汗と涙で湿っていた。
「なんて夢なの……」
アスカは、憔悴しきって肩を落とした。
胃にズキッと痛みが走り、今にも吐き出しそうな程、気持ちが悪かった。
「アスカ様……」
「エリス……」
「大丈夫ですか……? 酷くうなされてました……」
「ライデンの……夢を見たの……」
「そうですか……」
アスカは、ひどく辛そうに答えた。
アスカの瞳がみるみるうちに潤んでいった。
「ダ、ダメよね……こんなんじゃ……覚悟はできてた……はずなのに……うっ……」
アスカの頬を、再び涙が流れ落ちた。
「エリス……」
「なんでしょうか……?」
「お願い……胸をかして……」
「はい……!」
アスカは、エリスの胸に飛び込んで、声をあげて泣いた。
これまで枯れるほど泣いたのに、まだまだ涙が溢れ止まらなかった。
エリスとミツキも涙を流した。
彼女達にとってライデンの存在は、とても頼れる兄のような存在だった。
やがて、アスカが泣き止んだ。
「ふぅ……辛いけどこれが戦いなのよね……」
「ごめんなさい……少し、一人にしてくれる……?」
「分かりました……」
「うん……」
アスカに頼まれ、エリスとミツキは外に出た。
「アスカ……大丈夫かな……?」
「大丈夫だと……信じましょう」
「そうね……」
「ライデンがいない今、これからの旅はもっと辛くて険しいものになると思うの、だから私……もっと強くなるわ……!」
「うん……!」
「お願い……ミツキも力を貸して……あなたの力が必要なの……」
「もちろん!」
「ありがとう……少しでもアスカ様の負担が軽くなるように、2人でアスカ様を助けましょう」
「うん! 私も頑張る!」
「こんな時におじいちゃんがいてくれたら、なんて声をかけるのかな?」
「どうした? 何があったのじゃ?」
「え?」
ミツキは、ビックリして辺りを見回した。
だが、ルドルフの姿はない。
「ん? 暗いのう? どこじゃここは?」
「え?……きゃあああっ!」
ルドルフが、ミツキのロングスカートの中から出てきたのだ。
「んっぎゃっ!!」
バッチーンッ!!
ミツキの平手打ちが、ルドルフに炸裂した。
エリスは、呆れた様子でその光景を見ていた。
(ルドルフ様ってエッチなのかしら……?)
「う、うむ……して何があったのじゃ?」
ミツキは、顔を赤らめたまま説明した。
「そうか……ライデンがのう……」
ルドルフの表情は、変わらなかった。
「おじいちゃんなら、アスカにどんな言葉をかける?」
「すまぬが、儂にも分からん。特にアスカ殿は、女性じゃしな。こういう時は女の方が良いじゃろう」
「そうね……」
「おっ! 儂に案がある。助っ人を連れてくる。ちょっと待っておれ」
「えっ!?」
ミツキが驚いて顔を上げるとルドルフは、魔法力で飛びさった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。
アスカもエリスもミツキもいっぱい泣かせてしまいました。
なんだか書いてて申し訳ない気持ちになりました。
こういうシーンは、書いてる方も辛かったです。




