10話 脅威! 魔王軍陸軍団長タイタン
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
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宜しくお願い致します。
聖王女アスカ(10話)
3階から4階へ登る階段は、今までの階段よりも長く、螺旋状に登り階段が続いていた。
「光だ!」
階段の出口が見え、そこは光が差し込んでいた。
アスカ達は、階段を登りきるとそこは、ピラミッドの屋上だった。
「ついに来ましたね!」
「ええ!」
「高い……」
エリスとアスカが、ピラミッドの頂上まで登って喜ぶ中、ミツキは、ピラミッドの高さに少し怯えていた。
「見て! 台座があるわ!」
「あれは……レッドオーブと同じような宝玉ですね、ここのは青い……」
「きっとこれが、ブルーオーブなのでしょう」
アスカが、嬉々としてオーブを持っていこうと触れようとした時に、突然どこからか声が響いた。
「ここまでご苦労だったな……だがそれを渡すわけにはいかん……」
「フッフッフ……ここで待っていれば必ず来ると思っていたぞ……」
「誰!?」
「俺はタイタン。魔王軍陸軍団長だ」
魔物が、突然姿を現した。
タイタンは、サマーサで聞いたとおり、身長4メートルはある巨大な魔物だった。
「大きいわ……」
「怖い……」
「こいつ、相当できるぞ! 気を付けろ!」
「早速だが、俺の力を見せてやろう!」
タイタンは、そう言うなり床を殴り付けた。
すると、ビキビキッという音ともに、稲妻のように床にヒビが入った。
「嘘でしょ!?」
「オラァッ!!」
「きゃーっ!」
タイタンは、もう1発床を殴り付けると、床が粉々に崩れ、アスカ達は、悲鳴を上げて落下した。
「うぅ……」
「アスカ様! 危ない!」
アスカは、落下した際に受け身を取りそこねて、悶絶していた。
そこを狙ってタイタンのパンチが飛んできた。
「キャーッ!」
間一髪でエリスが、アスカの前に出て庇ったのだが、タイタンのパンチ力は凄まじく、エリスもろともアスカも吹っ飛ばされた。
「いかん!」
「ぬっ!」
タイタンの背中にチャクラムが刺さった。
タイタンは、ライデンを睨み付け、ライデンに向かった。
「そうだ! 向かってこいっ!!」
ライデンは、身構えると同時に、ミツキに、アスカとエリスの様子を見に行くように合図した。
「アスカ! エリス!」
「私は……大丈夫……エリスを見て……」
アスカは、エリスが庇ってくれたおかげでダメージが半減していた。
アスカは、ミツキが来たのを見て、自らに回復魔法をかけた。
ミツキがエリスを見ると、エリスは気絶しているが、傷はあまり深くなかった。
アスカが回復魔法を使っていて、傷が治りかけていたのだった。
「エリスさん! 目を覚まして!」
ありったけの魔力を注ぎ、みるみるうちにエリスの傷が治った。
「ハッ! 私……?」
すぐにエリスは目を覚ました。
その頃、アスカも自らを治療し、回復していた。
「ミツキ、戦況は?」
「ライデンさんが、敵を惹き付けてる」
ミツキの言葉を聞き、アスカが目を向けると、ライデンとタイタンが激しく戦っていた。
「アスカ様、作戦を立てて下さい」
「よし……挟み撃ちにしましょう。エリスとミツキはここから、私はライデンの方に回るわ」
「分かりました」
「うん」
「エリス、狙いをつけなくても良いから弓矢を連射して注意を惹き付けて。ミツキも魔法で注意を惹き付けて。その隙に私がライデンと合流するわ。その後、タイタンが攻撃してきたら防御して。その隙に反対側から攻撃するわ」
「分かりました!」
「うん!」
「よし、行くわよ!」
ライデンとタイタンの攻防は、パワーはタイタンが上だったが、スピードはライデンが上回り、攻撃すると見せかけて回避に専念していて、タイタンは決定打を与えられずにいた。
「ええい! 見かけによらず素早い奴だ!」
「あんたがノロマなのさ」
「おのれ!」
ライデンは、ニヤっと笑い挑発したが、本心は回避に精一杯で、余裕が無かった。
「ぐおっ!」
タイタンの背中に数本の矢が刺さり、更に火球が直撃した。
その隙にアスカは、ライデンの元へ走った。
「ライデン、大丈夫?」
「ああ、攻撃は受けてない」
「エリスとミツキには、挟み撃ちにすることを伝えてあるわ、私達もそうするわよ」
「分かった」
タイタンは、いまいましそうにエリスとミツキの方に向かうと、すかさずタイタンの後方から、アスカは、火の玉を打ち出した。
「ぬっ! こしゃくな!」
「みんな! 足を狙って!」
タイタンの背中に、火の玉が当たった。
大したダメージを与えられたわけでは無かったが、タイタンの動きを止めることに成功した。
「それっ!」
エリスが、矢を連射し、タイタンの膝に矢が全て刺さった。
「ぐぬぬ……!」
タイタンは片膝をついて体勢を崩した。
「冷気よ!」
更に、アスカとミツキが、強烈な冷気の魔法でタイタンの両足を凍りつかせた。
「ぬ……ぬおっ!……」
タイタンは、凍りついた足を地面から強引に剥がそうとしたが、剥がれなかった。
「今だ!」
「く、来るか!?」
タイタンはがむしゃらに両腕を振り回し抵抗したが、ライデンはタイタンの攻撃を見切って懐に入った。
「グアアアアッ!!」
ライデンが、渾身の力を込めて、大斧を振り下ろし、タイタンの胸を深々と抉った!
傷口からはおびただしい、青い鮮血が飛び散った。
「グウゥゥゥ……」
タイタンは、どう見ても致命傷を負っているように見えるが、まだ鋭い目付きをしていた。
「王女様、油断するなよ……奴にはまだなにかある……!」
「分かったわ!」
「グオオオオオオーッ!!!」
「ぐあっ!」
「きゃっ!!」
タイタンは、衝撃波を巻き起こし、アスカ達は吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「…………」
タイタンは、立ったまま全く動かない……
やがて、黒目が消えた。
「うぅ……みんな無事?」
「何とかな……」
「私は大丈夫です……ミツキが……」
ミツキは、全身を強く打った衝撃で気絶していた。
「なにぃっ!?」
「えっ!?」
「キャーッ!!」
次の瞬間、ゴゴゴゴゴーッと、全身はおろかピラミッド全体をも揺るがす、凄まじい揺れをアスカ達は感じた。
タイタンの奥の手はこの大地震で、命と引き換えに1度だけ起こす事ができた。
「す、すごい揺れだったわね……」
僅かに残っていた天井から、パラパラとかけらが落ちてきた。
「ヤバい……崩れるぞ!」
「えっ!?」
「逃げましょう!」
すぐにエリスが、ミツキを抱きかかえ、アスカ達は、急いで2階に駆け降り、1階への階段を目指して走った。
その間も揺れは大きくなり、やがてピラミッド全体が崩れ出していた。
1階への階段の前にたどり着いた瞬間、ドドドドーッと音を立てて、大きく揺れた。
「う、嘘……」
「そんな……」
先程の揺れで階段の前に、瓦礫が山のように落ちてきて積もり、完全に閉ざされてしまった。
「きゃーっ!」
巨大な岩が落ちてきた。
「は、速く……逃げろ……」
「ラ、ライデン……!」
身長の高いライデンが両腕を伸ばして、岩を受け止めたお陰で、アスカとエリスとミツキは無事だった。
「な……なにしてる……急げ……な、長くは持たん……」
岩を受け止めた時の衝撃で、ライデンは腕を痛め、重みを支えられずに、頭を打ち血を流しながら、気力でなんとか持ちこたえていた。
「で、でも……どうやって……」
「アスカ様! 横から飛ぶしかありません!」
「い、行け……」
「で、でも……あなたは……」
「だ、大丈夫だ……お、お前達が行った……ら……すぐに……行く……」
「アスカ様!」
エリスが、ミツキを抱えたまま強引にアスカを連れて、外に飛び出した。
「よ……よし……」
ライデンは、アスカ達が行ったのを見届けると、微笑し、とうとう力尽きた。
ライデンは、自分はもう間に合わない事を悟っていた。
そして、脱出する力が残っていないことも……
ドドドドーッと凄まじい音を立てて、大岩がライデンを下敷きにし、更に瓦礫が雨のように降り注ぎ、ライデンは、完全に瓦礫に埋まってしまった。
その頃、アスカ達は外に脱出することに成功し、砂漠からピラミッドが完全に崩壊するのを目の当たりにし、呆然と立っていた。
「ラ、ライデン……?」
アスカは、囁くようにライデンの名を呼んだ。
「ラァァイ……デェェェンッ!!」
アスカは、ガクッと力なく両膝がおれ、両手を地面について大きな声で叫んだ。
その両瞳には大粒の涙が浮かび、頬を伝い落ちると、もう止まらなかった。
アスカは、泣きながら何度も叫んだ。
しかし、アスカの叫びにライデンの返事は無かった……
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




