昨日までの日常と、明日からの日常 ケイコside
娘が…ミユの仕事ぶりを間近で見たのは、これが初めてでした。
私が中学一年生で産み落とした命…
養父に無理矢理抱かれ、孕まされた娘。
養母は、養父を警察へ付きだし、私と娘を孤児院へ付きだして蒸発した。
私は両親を知らない…知りたくも無い。
孤児院の院長先生からは、母娘ではなく、姉妹であることを強制された…確かに、私達にとっても最良の選択だった。
日頃は姉妹として振る舞い、ただ孤児院の院長先生の私室内だけでは、母娘として、おちちを与える事が許されていました。
後日、他の人から聞いたのですが、院長先生も私と同じような数奇な人生を送られた方の様です。
高校に入学し、私は一人暮らしを始めました。
ミユも連れて来たかったのですが、院長先生の厳命で、娘は孤児院に残りました。
「お姉ちゃん…。」
泣きじゃくる娘の顔が今でも鮮明に思い出されます。
私のような娘を増やしたくない!
私のような境遇にある娘を救い出したい!
その一心で仕事を探し、弁護士という武器だけが、私の気持ちを切り開く事が出来ると知り…後はひたすら、がむしゃらに勉強しました。
高校三年で司法試験に合格し、高卒で大手弁護士事務所に就職!
誰もが羨む、高給取りまっしぐらの日々でしたが、理想と現実の狭間でいつも苦しんでいました。
そして、社会人六年生を迎える頃には、中学生になった娘を引取り、姉妹としての生活を再開しました…丁度その頃に知り合ったのがクイーンです。
彼女は少し先の未来が見れちゃう『不思議猫』で、ミユが帰宅途中に拾ってきた猫でした。
人語を解し、念話を使って私とも会話が出来る…もともと、動物との意思疎通は得意だったんです…私。
仕事で押し潰されそうな私のモチベーションを救ってくれたのは、ミユの屈託無い笑顔であり、クイーンが相談に乗ってくれた事でした。
そして、ミユが高校を卒業し、役所勤務に就いたタイミングで、私も大手弁護士事務所を退所し、自分の法律事務所を設立しました。
友田君が事務所にやってきたのは、事務所開設の半年後。
ご両親が弁護士というサラブレッドで、高校在学中に司法試験も突破した『逸材』と言われながら、法曹界はおろか法科大学に進学せず、工科大学へ進学した変わり者です。
受け入れるつもりも、まして男性と共に働くことに忌避感を感じていた私は、彼の入所を丁寧にお断りしたのですが…。
弁護士会の圧力もあり、友田君は私の事務所に…。
しかし、私の不安は杞憂に終わります。
頼りになる奥さんを従えて、全国の判例集をデータベース化してしまい、どんな不利な裁判においても最低限の結果をもぎ取れるようになり…お陰で私達についたアダ名が『敏腕・辣腕コンビ』。
彼は頼もしい相棒となってくれましたし、私にも配慮してくれます。
彼を迎えて二年後、私は法テラス専属に移り、事務所も彼に引き渡しました。
そして、法テラス専属のかたわら、ミユの役所でのお手伝いをしはじめた時に表れたのが、木之本夫婦とタツロー達でした。




