昨日までの日常と、明日からの日常 ミユキside
桜庭 美優さん…私と同じ語感の名前を持った女性で、多分ケイコさんのご家族。
話しを聞いているときに、右耳の髪を指で遊ばせる仕草なんて、ケイコさんと瓜二つ。
そして、ケイコさんと同じように私の将来を一緒に考えてくれます。
「それでは、娘は学校を辞めなくて良いのですか?」
お父さんは身を乗り出して、ミユさんの話しを聞いています。
「はい、留年はやむを得ませんが、退学になるような事由ではありません。」
ミユさんは、きっぱりと答えます。
「留年はともかく、この娘は通学自体がおぼつきません。
先ずは通学出来るようなリハビリの機会が欲しいのですが…。」
私の身を案じる母。
「それでしたら、お嬢さんが通われている学校の通信教育部へ編入して頂いて、勉学に励んでもらいながら、定期の登校日に参加されるのは如何でしょうか?」
確かに今復学しても、人間関係で登校が億劫になる気がします。
「その場合も、留年は確定なんだな…。」
父は肩を落とします。
「はい、お嬢さんの出席率を問い合わせたところ、やはり規定時数を満たしていない旨の返答が学校から届いています。」
「そうですか…。」
ミユさんの返答に肩を落とした父。
「ところで、お嬢さん…ミユキさんは、将来何をしたいんですか?」
「え?
えっと…ですね…」
ミユさんから突然水を向けられ私は戸惑いました。
両親も興味津々にこちらへ視線を向けてきます。
「できれば、ペットと関わりを持った仕事に就ければ…。」
何とも雲をつかむような話しに両親は落胆しますが
「素晴らしいじゃないですか!」
ミユさんは、嬉しそうに応えてくれます。
「あ…あのぉ、私はどうしたら…」
進路なんて考えた事はありませんでした。
するとミユさんが
「今は、ペット関連の専門学校も沢山あります。
ミユキさんの思い描く自分像を想像しながら、一緒に道を探しましょう。」
私に視線を向けニッコリ微笑むミユさん。
「はい!
よろしくお願いします!」
何だか頼りになるお姉ちゃんが出来たみたいです。
そんな私の顔色や所作を見ていた両親も改めてミユさんに頭を下げる。
「今後とも、よろしくお願いします。」
「はい、微力ながらお手伝いさせていただきますね。」
「ワン!」
突然、テーブルの下から犬の鳴き声。
全員が鳴き声の方に視線を向ければ、シェルティが嬉しそうにしっぽを左右に振っています。
「まぁ、この喫茶店に通われて、娘さんの将来像を思い描いても良いかもしれませんね。」
「ワン!」
ミユさんの言葉に応えて、私達の足元に箱座りするワンちゃん。
すっかり両親も気に入ったみたいで、ワンちゃんの頭を撫でていました。




