名優ワンコ、タツロー爆誕!
木之本夫妻が、喫茶店『DAWAN』を開店した当初は、連日閑古鳥でした。
まぁ、わたしの貯金はそこそこ残っていた事もあり、慌てて顧客を募る必要なありませんでした。
たまに来られるトオル夫婦やスーパーのお仲間さん、ナツミにハルカ等々、新しく出来た知己からの縁を徐々に増やしていけば良い事なのです。
しかし、夫婦には苦い経験があり、一日でも早く、お客様に来て欲しいと、空回りをする日々が続いているのでした。
徐々に疲弊する木之本夫妻の身を心配し、一計を案じる必要がありました。
さて、わたしにも専用タブレットがあてがわれ、日がな一日動画サイトを眺めていると、自分を撮影した木之本夫妻の動画がかなりの量でバズっていた事を知ります。
(こんな事で、バズるのだったら、わたしをダシに客引きやればいいじゃないか!)
至極当然の帰結を持って、店舗アピール手段になるのではないかと、木之本夫妻へわたしは提案したのですが…。
「そんな…これ以上、ター君にすがる訳にはいかない。」
カスミは戸惑い
『生活のためだ。気にする事は無い。』
「し…しかし…。」
わたしが強く進言してみても、タケシまで躊躇する始末。
これでは、折角のチャンスを無駄にしてしまいます。
『それでは、『タツロー成長日記』と銘打って、定期投稿してみてはどうだろうか?』
ペットの成長日記であれば、彼らの抵抗も和らぐことでしょう。
おまけに、ここはペット同伴の喫茶店、自前のペットの成長日記などは、ペットの世話も店舗活動の一貫としてセットで売り出せ、店の評判も広がるというものです。
「そ…それなら…。」
戸惑いながらも、成長日記で有ればいいのではとカスミはタケシに語りかけ、ようやく合意に至るのでした。
さて、そんなこんなで出来上がった成長日記の輝かしい第一日目、そこに掲載された動画には『スマホを軽やかに操作するブルテリア』!!
早速動画はバズってしまい、合成画像説など諸説を含め、実に賑やかなコメントが付きまくる動画となり、『PV』や『いいね』がうなぎ登りに上昇を続けてしまいます。
おまけに舞台となったのは、喫茶店『DAWAN』。
お陰様で、動画が掲載されて以降、客足は日に日に増え始め、最近などは、店外でお客様にお待ちいただくような事態まで発生してしまいました。
「タツローや、儲かっておるようじゃのぉ~。」
『いえいえ、お奉行様のお目溢しが有っての事にございますぅ~。』
「クックックッ。そちも悪よのぉ~。」
『滅相もございません。』
今回の計画に入れ知恵をしたミユ様と、チャンネル売上の一部を上納するわたし。
スタート初期こそ、収入は僅かなものでしたが、『PV』や『いいね』がうなぎ登りになり始めた頃から、ミユ様の計画が狂い出します。
「お姉ちゃ~~ん、助けてぇ~~!」
収入が月収の半分に近づくに連れ、ミユ様の悲鳴はケイコさんの耳にも届くようになります。
「このままだと、役所を首になっちゃうぅ~~。」
「まったく、欲の皮を突っ張るからよ!」
ケイコさんにたしなめられるミユさん。
結局ケイコさんが一枚噛むことで、ミユさんの収入問題は解決!
ケイコさん自身は濡れ手に粟で副収入をゲット。
こうして、謎の三方良し理論が完成し、諸々の問題は収まるのでした。




