追憶と回想 その2
高校を卒業し、それぞれの進路に進んでからも、俺達は何かとツルんでいた。
四姫の面々は、短大や専門学校へ。
俺達出来の悪いヤロー共は、アルバイトがてら通っていた地場大手の土建屋さんへそのまま就職することになった。
ロックの野郎は専門学校、タツローは工業大学へそれぞれ進学した。
そして、俺達も新生活がすっかり板に付いた頃に事件が起こる。
成人式の翌日、ハルカちゃんの妊娠が発覚したのだ。
勿論、お相手はロックだったんだけれど…
この慶事が、二人どころか、俺達全員を巻き込む一大事に発展してしまう。
きっかけは、ハルカちゃんのお見合い騒動だ。
高校を卒業し短大へ進学したハルカちゃん。
その間も、電子技術専門学校へ進学していたロックとうまく付き合っていた。
まぁ、その裏では、俺達の涙ぐましい努力が有った訳だが…。
とりあえず、彼女はまだ彼氏さんを家族に紹介していなかった。
さて、そんな日々が続いたある日、ハルカちゃんに『お見合い話』が飛び込んで来る。
しかも相手は、ハルカちゃんのお父さんが経営している電気設備会社の重要客先でもある『地元有名住宅メーカー』の御曹子という…まぁ、政略結婚な訳だった。
オマケに、この御曹子っていうヤツが、とんでもないクセモノらしく、女癖の悪さも手伝って、あまりいい評判が聞こえて来ない。
最悪な事には、ハルカちゃんの意向を無視する形で、先方が勝手にお見合いをお膳立てした挙げ句、御曹子殿はその席上で彼女に襲い掛かろうとしたらしい。
すっかり気分を害したハルカちゃんのご両親は、お見合い話を反古にしたうえで、取り引き停止を申し出たらしい。
で、当のハルカちゃんといえば、自暴自棄を拗らせてしまった挙げ句、お見合い話が潰れた二週間後には、ロックとラブホに直行…見事に既成事実を勝ち取るのであった。
さぁ、これで気を悪くしたのは、件の御曹子!
坊主憎けりゃ、袈裟まで憎いと言わんばかりに、ハルカちゃんの風評被害を広げるばかりか、彼女の親父さんが経営する会社に対してまで、悪質な言動を取ってくる。
向こうの親御さんも、セガレの蛮行に乗っかる事になり、根も葉も無い言い掛かりをつけては、商売の邪魔をする。
で、彼女の親父さんの仕事が街の電気屋さんだったもので、退職していく従業員の控えとして、俺達はソコに就職した。
手弁当で勤める覚悟も含め、勤め先の親方へ相談した結果。
「頑張ってこい!」
と、呆れかえられながらも、ありがたい激を戴いた。
客先でのありもしないクレームや、悪質な嫌がらせ等、イロイロ有ったが、元々が愚連隊の俺達が、そんなことで潰れる訳も無い!
また、困った時にはタツローの知恵も借りていた。
『営業が上手くいかない?
それだったら会社の作業着で、町内会奉仕でもすればいいんじゃないか?』
俺達がハルカちゃんの事で葛藤していた高校時代、その葛藤の憂さを晴らすためにしていた活動を再提案してくるタツロー。
半信半疑だったが、客先・取引先のいかんを問わず、ただひたすらに頑張った結果の効果はテキメン!
クレームや、嫌がらせはだいぶん減少してきた。
しかし、仕事が入って来ない事には話にならない。
いよいよ彼女の親父さんの家庭にも差し障りが出てきたところで、お世話になったのが、桜庭 京子弁護士。
先生は、ナツミの親父さんが経営している会社の顧問弁護士で、俺達が必死に頑張っている姿に看過されたそうだ。
正式な裁判手続きを行い、ハルカちゃんのお腹が膨らむ前に、件の親子さん達を街から追い出す事までやってのけた。
んで、空席となった地元の住宅メーカーを立ち上げる事になったのが、俺というわけだ!
勿論、元出も無ければ人脈も乏しい俺を支える名目で、ナツミも入社。
今では、社長は父ちゃん、母ちゃん専務という事で頑張っている。
そして、時期を同じくして、ケンゴ・チーちゃん夫婦は外装内装の左官屋を始め、サトル・ユッコペアは、住宅中心の建築大工になった。




