閑話休題(不可解な住民)
さて、ミッションコンプリートを果たし、木之本家新居へ帰還したわたしとタケシ。
「ただいまぁ~。」
「わん。」
玄関口で声をかければ
「おかえりなさぁ~~~い!」
「わん!」
二階からミカとカスミの返事が返ってきます。
程なくすると、軽やかな足音と共にミカとカスミが階段を降りてきました。
「お疲れ様でした。役所の方はどうでしたか?」
靴を脱いで土間から上がったところのタケシにカスミが質問してきます。
「上々♪」
満面の笑みでカスミに答えるタケシ。
さて、彼らの足元では…
「ちょっと、坊や!
何処で雌犬を引っ掛けてきたの?」
「は…はいぃ??」
青筋顔のミカの前に正座をさせられるわたし。
「このニオイは、誰のもの?」
「え?ええっとぉ~…。」
とりあえず心当たりのないわたしは、本当に思案し、ミカは焦らされてイライラしています。
そんな足元のことなど気にする風もなく、夫婦は二階に上がってしまいます。
暫しの沈黙の後、ミカは深いため息をつきます。
「まぁ、いいわ。次は注意するのよ。」
「はぁ…、分かりました。」
ようやくミカから開放され、わたしたちも人間夫婦の後に従って、二階に登るのでした。
さて、二階では夫婦がわたしたちの到着を待っていました。
全員が揃ったところで、カスミが話し始めます。
「それでは、今後の計画について説明します!
まずは、一階にあるリビング・キッチンを喫茶店に改装します。」
そうです、これは我が家の改装計画と、併せて木之本家の創業計画に関する話し合いです。
元々の建て付けが一階が喫茶店、二階が住宅だったので、改装という程ではないのですが…。
「という訳で、家の改装に併せて、わたしたちも勉強したいと思います。」
そう言って、何処から取り寄せたのか、年期の入った喫茶店の経営ノウハウ本や、コーヒーや紅茶のウンチク本に、軽食レシピ満載の喫茶店長垂涎のお料理本?などが我々の前に広げられ、不思議そうな顔でカスミを見てしまう私。
「えっ?この本たちって、あなたのお父さんの書斎に有ったものよ。」
笑顔で答えるカスミさん。
まぁ、父の書斎は書籍の魔境であり、何が出てきてもおかしくはありません…が、まさか喫茶店関連の書籍まであるとは思いませんでした。
あるいは、母との思い出として残していたのでしょうか?
もはや、その答えを知る術はありません。




