表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破滅した悪役令嬢が田舎にやって来た  作者: バスチアン
第二章 小さな復讐者と怪物の王
68/107

バリスタ


それは巨大な十字架のようにも見えた。2メートル以上あるだろうか。ダボンの身長よりもなお大きい。一般的な男性なら2人がかり、台座の部分も含めれば3人いなければ動かせないかもしれない。見た目は大きな弩弓(ボウガン)だが、その迫力はけた違いだ。

大型弩砲(バリスタ)

長大な射程と威力を誇る攻城兵器だ。


「凄い大きさね」


傍らに置かれた矢を見てシルフィーは呟く。それはもう矢というよりも槍のような太さと大きさだった。返しのついた先端は鋭い。その中央にある紫色の石はダボンも見覚えのあるものだ。


「魔石が埋めてある?」

「ああ、攻城魔道兵器だからね。(やじり)には土属性の『硬化』の魔法が、矢柄(やがら)の部分には風の『加速』の魔法がかけられている」


バリスタ本体の各部品にも魔石が埋め込まれている。台座の部分は回転式になっていて全方向に矢を放てるようになっていた。


「根元のレバーを回して巻き上げて弓を引くんですね?」

「砲弾も打ち出せるんだが矢の方が良いと思ってね」

「どれくらい連射出来るのですか?」

「熟練した兵なら1分で100本ほど、もっとも多い記録で117本撃ったという記録がある。だけどさっきも言った通り平時に必要な物でもないから、兵の練度はそれほどでもない。試させたが1分で76〜81本だったね」

「すぐに使えるのですか?」

「もちろんだとも」


そう言って、レンドは兵士達に指示を出す。場所は兵舎だ。そこは弓の練習場にもなっている。

通常の弓よりもはるかに遠い場所から狙いを定めていた。

ルナ家から来た兵士達はてきぱきとした様子でバリスタを固定し、槍の様な矢をつがう。根本のレバーを回すとギリギリと軋んだ音を立てて弓が引かれていった。

(つる)が引き絞られ十分な力が蓄えられたのを見て、レンドは挙げた右手を勢いよく振り下ろした。同時に巨大な矢が放たれる。

弦が弾かれる音と同時に風切り音が鳴る。地面とほぼ平行の軌跡を描きながら矢は飛翔する。狙いは的として置かれている板だ。深黄杉という木の板で、頑丈なことから建材として王国では広く使われている。掌ほどの厚さがある。それが3枚。等間隔で置かれている。着弾と同時に音は3回鳴った。


「凄い威力ね」


矢の威力を目の当たりにしてシルフィーは呟く。矢じりは3枚の板を貫通し、その身体を半ば以上まで埋まっていた。


「これなら竜の鱗も貫くことが出来るだろう」

「ええ、竜王は狩ったことがありませんが、普通の竜ならば問題ない威力です」


ダボンも撃ち抜かれた杉板を見て唸る。ただその後「しかし……」と前置きして尋ねた。


「これは空を飛んでいる敵を狙うことが出来るんですか?」


もちろん矢である以上、狙えるのは決まっている。だが質問の意図に気づいたレンドはにやりと笑う。


「さすがだね。確かにダボンの言う通り、このバリスタは構造上真上に撃つことが出来ない」

「どれくらいの角度までなら撃てるのですか?」

「仰角60度だ。それ以上でも撃てるが威力と精度が下がる」

「なるほど……台数は21台でしたね」

「そういうことだ。これはあくまで攻城兵器だからね」


つまりこういうことだ。この武器は空を飛ぶ敵を倒すためのものではない。城壁や陣地、隊列に向けて放つものなのだ。なので飛翔して動き回る敵を狙おうとすれば点々と狙撃位置に配置する必要がある。

数が少ないかもしれないとダボンは考えた。


「とはいえ空を飛ぶ巨大な敵と戦う武器というのは、そう多くない。こちらでも色々と調べてみたが、飛竜と、特に今回のような巨大な飛竜と戦うにはやはりバリスタが有効……というより、他に有効な武器はないらしい。強いて言えば最上級の魔道士だが、先ほど言ったように筆頭魔道士殿は協力などしてくれないだろうね。幸いと言ってもいいのかは分からないが、今回の竜王は火竜だ。素早く飛ぶ風竜だと当てにくいそうだが、火竜ならば何とか当たるだろう」

「バンのお爺様達がどうやって竜王を倒したのか、記録が残っていたら良かったのだけど」

「弓矢で撃ち落とした……とは聞いていたようですが、相当な被害が出たとも言っていましたから」

「だが、当時はルナ家の力を借りずにマンバナ村の戦士達の力だけで倒したのだろ?」


レンドはシルフィーに問う。それにシルフィーが「そのようです」と答えると、レンドは自信に満ちた笑みで言った。


「なら問題ない。どれだけ強くとも竜王は確実に倒せる魔物だ」

「そうですね……」


ダボンは押し黙る。そしてバリスタを一瞥した後、レンドに行った。


「ただ戦う以上は被害を最小にすべきです。無理をせずに確実に勝つ」

「それはそうだね」

「そのために有効な方法はいくつか思いつきました」

「本当かい?」

「ええ、今から言うものをすぐに準備出来ないでしょうか?」



バリスタは軽く調べたんですけどローマ時代のもので射程400メートルで1分間で120本発射出来るらしいです。大型のヤツは1キロとか届くらしいですね。思ったよりヤバい兵器です。

もちろん本作のバリスタはマジカル兵器なので色々と無茶が効きます(こういう時マジカルは便利だ)

仰角60度とか言っちゃいましたが、速度とか到達する高さとかは不明なので理系の人はお願いだからツッコまないでいただけると幸いです。


理系の人以外からの感想はとても歓迎していますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
耳かき小説

他にもこんな小説を書いてます
狂婚 -lunatic fairy tale-

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ