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第43話:軍人に与えれた最高にして最期の名誉

睡眠勇者をお手に取って頂きありがとうございます!本作品は基本的に1日3話投稿で7:10、11:10、18:10になっております。それでは、睡眠勇者夢一郎もといはレイズの冒険を読んで頂ければ幸いです!

第43話:軍人に与えれた最高にして最期の名誉

出撃から21時間後

私、グレインランド騎士団長は斥候偵察部隊からの報告を受けていた。

「騎士長、敵の数は不明ですがバリスタ、要塞砲は稼働状態で間違いありません。真正面から正直に突っ込めば勇者パーティも含めた大勢の戦闘離脱者が出ることは免れないかと」

私は飛行場の地図を見ながら、図上演習をする。駒を地図の上で右往左往させるのは私の得意分野だ。

「カービンライフル騎兵隊200名で、バリスタ及び要塞砲兵員を射殺。同時に大砲部隊を突撃させ、石壁に砲撃を実施し突破口を作る。そしてバリスタは無いが敵が1番集中してる思われる迂回ルートからの侵入コースに残りの大砲部隊とカービンライフル騎兵隊、王立聖教騎士団を向かわせる。勇者パーティ及び自警団は状況の安定までは安全地帯で待機」

斥候偵察部隊達は顔を見合せる。

「どうした?」

「騎士長……申し上げにくいのですが……」

斥候偵察部隊副隊長が言葉に詰まり悩んでいると、部隊長が口を挟む。

「我々の目測が正しければバリスタ兵員には弾除けの魔導鉱石が付けられてます」

なるほど、最悪な知らせのことこの上ないな。

「聖雷の教義団を呼んでくれ」

だが入り口に既に立っていた。

「言われなくとも。我々聖雷の教義団の総本山は2000年近く魔王との戦争を続けています。側近の取る行動は大体予測済みです。弾除けが使われてるなら、我らの雷撃が要になるのは想像できます」

しかし、私には納得できなかった。国の為に戦ってきた戦友達を雷撃で殺すなど、私には決断することが……

「少し時間をくれ……仲間達を感電死などど言う醜い殺し方はさせたくない……」

その時砲撃部隊司令官が代案書類を見せてくれた。

「騎士長、我々の騎兵輸送型105mm榴弾砲ならバリスタごと、戦友達を肉塊に変えれます。少なくとも苦痛は感じません。2つに1つお選び……」

「ならん!彼らは国の為に志願し、兵士として任務に従事してきた!兵士として最低限の名誉の戦死を……」

「騎士長、甘えたことを言うのはやめてください。我々王立聖教騎士団は砲撃部隊司令官に同意です」

私は……私は……

そんな決断を下せない、人間としては合格、指揮官としては不合格な彼の前にレイズが現れた。

「失礼します。作戦開始まであと3時間を切ったので夜食をお持ちしました。ただのビスケットとコーヒーですが……」

「あ、あぁ……悪いなレイズ君」

彼は「皆さんもどうぞ」と気前よく配ってくれて、私のテントは少しだけ温もりが蘇ったような穏やかな雰囲気になる。

「賢いレイズ君に問いたい。バリスタ兵員が弾除けの魔導鉱石を付けてるそうだ。君ならどうする?」

僕は少し考え、兵士として名誉ある戦死をきっと騎士長は求めているのだろう。

「兵士に殺させないことか、騎士長自らが下すかと僕は考えます。兵士の方の中には長年の交友関係やライバル関係だった者もいるでしょう。殺すのを躊躇い犠牲が出るかもしれません。あるいは騎士長自らが指揮官として下すのが最適かと。彼らは裏切った以上自分達の尊敬する最上司に鉄槌を下されるのであればまだ幸せなはずです」

尊敬か……サーンライト式聖剣術最終奥義……名誉の鉄槌〜ジャッジオブシルバースター〜……

「ありがとうレイズ君、私には彼らを理解する気持ちはなく、ただ自分のワガママだけを考えていたようだ。各指揮官へ、私はこれより単独で戦場へ向かい、名誉の鉄槌を彼らに下す」

各指揮官も異論はないようで、私は剣を携え、テントを出る。王立聖教騎士団長に「後は任せる」と告げ、愛馬に乗り、全速力で飛行場へと向かう。


何時間だろうか、懐中時計も見るだけの心の余裕もなく、ただひたらすら前へ、前へと飛行場へと一直線に向かっていた。

すると赤く染った空の下に飛行場が見え始めた。

私は愛馬を止めて、下馬し、司令部に帰れという合図で、顔を3回、ポンポンポンと叩く。

そして剣を引き抜き、純粋な何属性にも染まらない魔力を剣に与え続ける。腕が熱くなり、覚悟が引き締まる。そして……

「騎士長!来ないでください!我々はもはや……体の言うことが……!」

バリスタと要塞砲が静かに動き出す。

彼らは何度も「騎士長!来ないでください!」と叫ぶ。そして、バシュン!バシュン!とバリスタの凶死とも言える音よりも先に矢がこちらに、向かってくるが、この速度には慣れている。

素早く、弾き返し、彼らに向かって叫ぶ。

「貴様らに名誉の戦死をくれてやる!今までよく耐えた!!ジャッジオブシルバースター!!」

銀色の雷撃に似た流星が、弾除けの魔導鉱石の力すら超えた、私の最後の想いがバリスタ砲台ごと彼らを吹き飛ばす。シルバースター、それは軍人に与えられた最高峰の名誉勲章の1つ。私にできるのはここまでだ……

要塞砲とバリスタが爆発と共に銀色の閃光が飛行場を照らし、私は懐中時計を確認する。

「午前1時35分……英霊に敬礼……」

私は一人で飛行場に向けて、敬礼する。

さて、そろそろ部隊が着く頃だろう。私は聖水を取り出して、飲んでから目を瞑る。

人が燃えるの臭いは耐え難いが、彼らの生きた証だと思うと少しだけ懐かしさすら感じた。

飛行場を守っていた騎士達の思い出を振り返っていると、聖雷の教義団の雷が飛行場の石壁を貫く音で、現実に引き戻される。

さて、後はセレーデ勇者パーティとレイズ勇者達が奴の首を断頭するのを望むだけだ。

草むらに横になっていると、聖教騎士団長が頭のすぐ隣に立ち、一言だけ言ってくれる。

「お疲れ様です。騎士長」

彼は私の隣に座り、作戦を伝えてくれる。

「……以上です。あとはセレーデ連合勇者パーティがハリケウスを討ち取れば我々の勝利です」

「そうか……少し休ませてくれ……」

「御意……」

彼は私の隣で見張りをしてくれた。眠りにつくとクラン・スカイナイトのメンバー達が旅立つ夢を見た気がする。彼らを守れなかったのは私の失態だ……

ご拝読ありがとうございます!黒井冥斗です!ご拝読お疲れ様です!1日3話というスケジューリングなので前書きも後書きもテンプレートなのをご容赦ください。

これからも睡眠勇者をよろしくお願いいたします!レビューや評価も面白ければお気軽にして頂けると励みになります!

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