ようやく
今まででトップクラスで短いです。冬アニメが一気見できるようになったのでそれで時間が・・・。というか今年のアニメ見たいのばっかりで困る。
〖フレア視点〗
サーっと全身から血の気が引いていくのが分かった。
私は最もしてはならない、したくないことをしてしまったのかもしれない。
決してわざとではなかった。
ただ、周りの帝国兵が邪魔だったから追い払おうとしただけだったのに。
力加減を間違えてしまった。
違う。そうじゃない。なぜか突如、力が劇的に上がった。だから、それまでだったらちょうどいい力加減だったのに、あたり全てを飲み込んでしまった。
・・・うそだ。
信じたくない。
«琉斗様っ!!»
「・・・ちっ。フレア。きさま王を殺そうとしたな?」
ほっ。
聞こえてきたのは黒多頭蛇の声だが、それでも琉斗様が死んでないことが分かって安心した。
「これは想定外だ。まさか王すら殺すつもりとは。」
違うっ。
心の中で大きく否定した。
炎が薄れていき、その中から黒多頭蛇の姿が見えてきた。全身を無数の蛇で覆っていて、それで防いだようだ。
「そうかそうか。ならば、」
蛇が焼け落ち、黒多頭蛇に乗っ取られている琉斗様の姿が見えてくる。
しかし、それはもう琉斗様ではなかった。
「できるだけ早く殺さねばな。」
その顔は残虐な性格を彷彿とさせ、歯のうち上下二本が蛇のような鋭いものに変わっている。琉斗様は少し色白だったが、今は真っ黒な肌だ。
そしてその目は、琉斗様の鋭いながらも優しさのある黒目ではなく、両目とも紫に光っている。
私は攻撃が来ると身構えた。
だけど、来なかった。
え?
黒多頭蛇が一歩動き出した状態で固まっている。
それはどこか苦しそうで、困惑しているようにも見えた。
「・・・なぜ。ありえない・・・。」
そう呟いていた。
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〖琉斗視点〗
もう少し、か。
俺は体にまとわりつく蛇を少しずつ引きちぎっていっていた。
最初は身動きすらできなかったが、今では手を動かせるようになっていた。
だが、この作業は本当に辛い。
蛇を一匹引きちぎるたびに、激痛が走るのだ。
全身はもちろん、感覚でしかないが魂にも来ているように思える。油断すると意識を持っていかれそうだ。
こんなことだったら死んでしまった方が楽だと思えるほどには痛い。いや、本当に死んでしまうかもしれない。なにせ、蛇を引きちぎることでどんな影響が起きるのか分かっているないからだ。
ただ、あの化け物に体を奪われた状態よりは、死んだ方がいいだろう。
それに、最初のころよりはましになっている。
この蛇は本当にまずい。苦く、臭く、ぶにっとした嫌な触感だった。口しか動かせなかった最初に比べれば、やる気が出て来る。
にしても、これ全部取り切ったらどうなるのか・・・。何もないとかは勘弁してほしいが――
俺は最後の一匹を引きちぎる。
さすがにそれはなかったな。
急速に意識が上昇していく。
そして・・・
ようやく、だ。
服の感触。風。喧騒の音。
より鮮明に伝わる炎の熱。
右目だけだったが、視界が戻る。
!!
俺は息を飲んだ。
しかし、今はまだだ。
今はまだこの感情を抑えなければ。
「お前、本当に狂ってる・・・くくっ。我が王っ。」
自分の口が動いた。
・・・変な感じだな。自分以外が自分の体を動かすってのは。
「お前には言われたくないな。化け物が。」
いったいどれほどの間意識を失っていたのか分からないが、その間の怒りを込めてそう呼ぶ。
目の前の人物が座りこんだ。
信じられないという表情でこちらを見ている。
«琉斗、様?»
「久しぶり。フレア。」
今度はできるだけ優しくそう呼んだ。
フレアの大きな瞳から涙がこぼれ出た。
ようやくです。もっと平和な話を書きたい(作者の今の心情)。もう少しです(と同じようなことを前に言ってから四か月・・・!?)。




