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ごんちゃん!ごんちゃん!ごんちゃん!

3日目、わたしたち3人はホテルを出る。少し歩くと50代くらいの男性に声をかけられる。花柄の半袖シャツに短パン、サンダルを履いている。休日の散歩の人だろうかとわたしは思う。よく聞くとタクシーを一日貸し切りしないかとのことだった。交通機関を使うより便利だし、早いし、結果安くつくこともあると男性はいう。どうしようかとわたしたちは話し合う。予定を立ててきたけどせっかくだからお願いしようかと話しがまとまる。お願いしますとわたしたちはいう。そう! と男性は嬉しそうだった。


「金城といいます。ごんちゃんと呼んでな」


「ごんちゃん!」「ごんちゃん!」「ごんちゃん!」とわたしたちはいう。


最初は橋子の行きたいところに行く。お祭りに橋子の会いたい、ごっちゃんがいるらしい。ごんちゃんに行き先を告げる。エンジンを吹かす。


「あんたたちどこから来たの」


「さ、札幌です」


「ずいぶん遠いところから来たねえ。修学旅行かい?」


「そうです」


「沖縄はどう?」


「楽しい! 暑い!」


「今日はいい天気だから、まだまだ暑くなるよ」


あ、わたし日焼け止め塗るの忘れてたと永遠がバックをがさごそ漁っている。取り出したそれはステラプレイスで一緒に買ったものだった。わたしたちは帽子もそれぞれかぶっている。日焼け止めも帽子も大いに活躍している。


「それで、ごっちゃんってなんなの?」と永遠が日焼け止めを延ばしながら橋子に聞く。


「ごっちゃんは沖縄の人をメタボから救おうとしている御当地キャラクターなの。でも自分もメタボなの。歩くのが嫌いで脂身たっぷりのラフテーが大好きだから。矛盾した存在、それがごっちゃんなの。ごんちゃん、ごっちゃんって知ってる?」


「知らないなあ」


「くっ、まだまだ知名度は低いのかもしれないけど、これからなんだからね! ごっちゃんに頭を噛まれると健康になるってご利益があるんだよ。みんな今日はしっかり噛まれようね。ごんちゃんも噛まれたほうがいいんじゃない?」


「肝臓の数値が気になるなあ」


「やっぱり泡盛飲むんですか?」と永遠が聞く。


「いや、ビールと芋焼酎が好きさ」


「ビールはオリオンビール?」


「飲むのはスーパードライだね」


「そうなんですか」


わたしは車窓を流れる街並みを撮っている。道路の真ん中にヤシの木の植え込みがある。北海道には無い景色だ。これまでに撮影した動画はかなり溜まっている。沖縄のかけらを集めている。


「き、今日は3日目! あ、新しい、仲間、ごんちゃん!」とわたしはカメラを向ける。


「こんにちは。わたし、ごんちゃんです」


「今日は、一日、ご、ごんちゃんの運転で、沖縄を巡るよ」


「待ちに待った自由行動の日。楽しもうね!」


「ごんちゃんは平常運転です」とごんちゃんがいう。


「そう。ごんちゃんは平常に安全運転で」


「そんなのダメ。ここでごんちゃんが一曲」と橋子が無茶なことをいう。


「川はながれてどこどこ行くの~」


「ごんちゃん上手!」


「歌好きさ」ちょっと待ってな、とオーディオを操る。音楽が流れだす。


「こ、この曲知ってる!」「そうかい?」


「ごんちゃんがうまれた~この島の空を~ごんちゃんはどれくらい知っているんだろ~」とごんちゃんは歌う。私たちも歌ったり聞いたりする。タクシージュークボックス。朝からもう楽しいなとわたしは思う。

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