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わいわいがやがや

スカートを少し短くすると少し太ももが気になってくる。わたしは太っても痩せてもいないが、美のために痩せてみようとする。2キロぐらい痩せてみたい。バターピーナッツをぽりぽり食べるのが好きなのだったが、それも控えてみようと思う。夕飯前にわたしはジョギングをする。日を追うごとにだんだんと暖かくなって道はもうすっかり乾いている。でも影の射す所々に季節から取り残されたように冬の名残り雪があった。


わたしは河川敷まで走っていく。川の水はまだ濁って水嵩が増している。わたしはいつもの場所に立つ。対岸を見晴らす。「わ、わたしは、い、五十嵐くんが好き」と声に出す。また走って家に帰る。


化粧もしたいと思う。今までやったことがなかった。学校で化粧は禁止だが、そういう目で周りを見てみるとしている人も多い。わたしは貯金を崩して一通り揃える。机の上に置く鏡も買う。化粧品が届くと練習してみる。これがとても難しい。目と鼻と口しかないのになぜなのか。でも何とか出来るようになる。


学校の日、夜明け前に起きて化粧をする。悪戦苦闘し、雑誌に載っているような感じにできたと思う。大きく一息つく。達成感がある。恥ずかしいので家族に見られないように家を出る。


教室に入ると周りの目が気になる。はっきりと見られているような気がする。化粧の効果がもう出ているのだ。ホームルームが始まる。終わると、担任の伊藤先生から呼ばれる。ちょっと来いと言われる。職員室に行くと、なんだその顔はと怒られる。怒られ慣れていないのでわたしは動揺する。先生という者はいつも、わたしにとって支援してくれる存在だった。伊藤先生もわたしに対して怒りづらそうな気がした。授業始まる前までに落としとけと言われる。


他に仕方が無いので、手洗い場の石鹼でメイクを落とす。ごしごしと顔を洗う。早起きの成果が泡と一緒に排水口に流れていく。


すっぴんのぴかぴかした顔で教室に戻るとクラスメイトの女子に囲まれる。藤原さん攻めすぎだよー。わたし絶対怒られると思った! わたしも! アイシャドウにマスカラも盛ってるんだもんなあ。もっとナチュラルめでいかないと。藤原さん最近急にきてるよね。きてる。目覚めちゃったの? 恋なの恋? 今日は顔も濃いだった。あれは凄かった。記念の写真撮りたかったねえ。最近の藤原さんについて問い詰めたい、語り合いたい。昼ご飯いつもどこに行ってるの? 今日一緒に食べようよ。わいわいがやがやと話している。こんなことは初めてのことだった。嬉しくて頬が紅くなる。あ、予鈴。みんなは散り散りになる。

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