第34話 「私も探索者になります」《はるるん》
※はるるんの一人称です
画面いっぱいにまばゆいばかりの虹色の光が広がり、10秒ほどで収まりました。
その時、空斗さんも、リルラさんも、ドリナさんも消えていました。
誰もいない空間を、ただマホメラが映しているようです。
(ああ、そうか。空斗さんたち、行ってしまったんですね……)
私の中に、なんとも言えない気持ちがわき上がってきました。
この気持ちをなんと表せばいいのでしょうか。
寂しさ、脱力、3人が無事異世界転移できたらしき安心感……
小学校で習ったどんな言葉も今の私の気持ちを表すのに適切ではない気がします。
(いずれにせよ、ご報告はしないと)
これ以上誰も映っていない画面とにらめっこしていても仕方がありません。
私はパソコンをシャットダウンして立ち上がりました。
子ども部屋を出て、おじいさまの書斎へと向かいます。
途中、お母様に「塾の宿題はしたのか」と聞かれましたが、今はそれどころじゃありません。
書斎の扉を叩き、「晴美です」というと、おじいさまは書斎に入るようおっしゃいました。
「お友達は無事旅立ったかい?」
「はい。3人ともちゃんと旅立ちました。最後まで、見届けられました」
「そうかい、よくやったね、晴美」
「私なんて、なにもしていません。何も、お手伝いできませんでした」
3人は私を参謀にしてくれましたが、私は最後まで役に立てたとは思えません。
当然です。
私はただの小学生。
初心者ウォッチャーをしていたから、同級生に比べれば、ちょっとだけダンジョンや配信や動画編集に詳しいだけの女の子なんですから。
そう言った私におじいさまは微笑まれました。
「さあ、それは私には分からない。だが、晴美のことを最後まで参謀にしてくれたのは彼ら自身の意思だ。きっと、晴美が役に立っていたからだと思うよ」
「そうでしょうか……」
私にはよく分かりません。
「最初は、本当に気軽な気持ちだったんです。初心者ウォッチャーなんてことをしていたら、偶然空斗さんの生配信を見つけて、本当にそれだけだったんです」
それから、まだひと月も経っていません。
それなのに、ずいぶん長い時間が経ったように思います。
「彼らはいつ戻ってくるんだろうね?」
「わかりません」
以前、空斗さんが異世界転移したときは、転移した直後の時間に戻ったといいます。
ですが、なんとなくですけど、今回はそうはならないような気がします。
いずれにせよ、私はおじいさまに言わねばならないことがあります。
「おじいさま。私は将来探索者になります。中学を卒業したら国立ダンジョン探索者学園に入学するつもりです」
「なぜだい?」
「ドリナさんは分かりませんが、空斗さんもリルラも必ず戻ってきます。その時、私も2人と対等に冒険がしたいんです。今度は画面越しの参謀なんかじゃなくて、一緒に」
「なるほど、それが晴美の希望か」
「はい……ダメでしょうか?」
恐る恐るたずねた私に、おじいさまはおっしゃいました。
「私は反対しない。ただし、自分の力で両親を説得しなさい」
私の両親……とくにお母様は反対されるでしょう。
私には官僚になって、最終的には政治家になれと日々おっしゃってますから。
でも、もう決めました。
私は探索者になります。
どんなことがあっても。
そして異世界から戻ってきた空斗さんやリルラと一緒に、世界一のダンジョン配信者を目指すんです!




