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閑話 女神ウルザⅧ

 裏切り者の勇者大河が不死族の街『ネクロ』にいる。この情報が入ってきたことにより、従属神の中に裏切り者がいるという噂は、大河たちの手によって流された偽情報である可能性が高まってしまった。

 ということは、ウルザがこれまで従属神たちの中に大河を匿っている者がいると決めつけて行ったあらゆる行動は全て、大河の手のひらの上で転がされているだけであったかもしれないのだ。


[どこから。もしかしたら『ネクロ』にいるって情報もあのゴミが流した偽情報で、何かしらの罠を仕掛けてる可能性も……それにクレアをどうやって誑かしたのかも突き止めないと他の勇者たちすら……]


 これまでのウルザであれば、『ネクロ』に大河がいるという情報があるような状況であれば、罠の可能性の方が高くとも確認に行かせた筈であった。

 仮に罠であったとしても自分と他陣営にはちょっとやそっとの罠では覆せないほどの絶対的なリソースの差がある。そのため圧倒的物量で罠を破壊し、仮に多少被害が出たとしても相手が罠を仕掛ける事に割いたリソースの分、相手の状態は罠を仕掛ければ仕掛けるほど下降の一途を辿ることとなっていた。

 しかし、大河を擁するシーラ陣営の罠は、1つ1つの被害が甚大なだけでなく、そのリソースの大部分もウルザに押し付けてくるという無法っぷりであった。そのためジリ貧していくどころか、罠を成功させれば成功させるほど生き生きとし出してしまったのだ。


 そのため、ウルザは罠かもしれない大河の情報に人員を派遣する事ができない。従属神たちが自分を良く思っていないなどもあるが、一番に大河という悪辣な勇者を恐れているというのが大きい。

 単なる『自爆』によりポイントを不正使用する爆弾だと侮ることなどできない。ウルザの思考を読み切る罠もそうだが、自分の勇者の中では寵愛を受けていた方であるクレアを寝返らせる手腕など警戒しない訳にはいかないのだ。


[本当にあんなゴミを引いてしまった私はなんて不幸なのかしら。他の神が引いていれば、その神の凋落を高みから見ているだけで済んだのに]


 ただウルザは、ここまで来ても自身の非を認めている訳ではなかった。『自爆』というスキルを見た瞬間に雑に大河を放り捨てた自分の失敗であったとは認めようとせず、ただ自分の不運を嘆いているだけであった。


[それにクレアが魔神の支配領域付近にいたせいで、魔神陣営の動きも活発になっているし。もうっ! 私は何もやってないの……ん? 通話?]


 しかも大河の件に加えて、魔神ルフェルの動きも活発になってきてしまっている。大河ばかりに構っている余裕もウルザにはない。それなのに大河の爆発が脳裏にチラついて離れないため、思考のリソースを削られるのでウルザは憤ってしまう。

 そんなウルザの下に従属神の1柱が神通話を飛ばしてくる。


[突然のご連絡申し訳ありません。私は空神イクタと申します。本来ならば従属神筆頭の陽神アテラス様に連絡するのが正式な手順ではありますが、緊急の用ですので直接連絡させていただきました……]

[私に直接連絡を……それほどまでの用なのね。なら聞かせてもらおうかしら?]


 普段連絡係として起用している従属神である陽神アテラスとは別の神からの連絡に少し驚くウルザ。ただ最近の諸々の問題によりアテラスとは少し気まずい関係となっている。

 そのためこの神を押し返し、アテラスから再度話を聞くというのも億劫に感じたウルザは、珍しく寛容な態度を見せた。


[ありがとうございます。私は勇者たちに、ウルザ様の勇者であるオリガミ・タイガの捜索を行わせておりまして、つい先ほど不死族の街『ネクロ』近郊にてオリガミ・タイガを発見いたしました!]


 しかしその報告を聞いたウルザの表情は曇る。それは既に得ている情報の補足情報であったためだ。


[発見? それなら不死族の街『ネクロ』にいるという情報を既に得ているわよ]

[え、そうだったのですか! す、すみません]

[……緊急ではなかった用ね。今は無理にオリガミ・タイガに手を出すべきではないの……下がりなさい]

[も、申し訳ありません。オリガミ・タイガがシーラの勇者へと改宗していましたので判断を貰おうかと思っておりましたが、既にご存じでしたか。失礼……]

[待ちなさい! 今……なんて?]


 しかしイクタが去り際に放った一言は、聞き逃せない言葉であったため、ウルザは思わず引き留める。


[え、オリガミ・タイガがシーラの勇者へと改宗していましたのでと……]

[改宗!?]

[はい。私の勇者が鑑定スキルを使用した所、そのような鑑定結果が出ましたので]

[あのゴミが私の下から……い、いえ、これが罠の可能性も。なら確認させよ。私の眼で確認するのよ!]


 大河が改宗した。それは絶望的な自爆代や賠償代の請求から解放を、そして誘爆によってウルザの勇者たちが爆発がされることがなくなることを意味する。

 しかし今の警戒心が高いウルザは、従属神1柱からの情報を鵜呑みにはしない。

 そのため、鑑定系ユニークスキル『看破の魔眼』を所有する勇者ゴウショウに本当に大河が改宗させたのかを確認させることにするのであった。



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