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自爆と爆発

 今回の作戦に参加した者たちは、クレア爆弾に巻き込まれなかった者たちを除き無事撤退を完了する。

 レイアたちは魔獣の生存圏に作った支配領域から転移で『ネクロ』に帰還を果たし、フォルティスたちはライカロープがウルザやルフェルとの戦いのために設置していた隠し領域から帰還を果たしていた。


 逆に『ネクロ』の外れで『自爆』をしていた大河は、ルフェル陣営がクレアの処遇をどうするか判明するまでは動けなかったため、シーラの領域に戻って来るのは最後となった。


[お疲れ様ですタイガさん]

「ありがとうございますシーラ様……あ、レイアさんにイージスさんも戻っていたんですね。お疲れ様です」

「うん。タイガもお疲れ。クレアは…その様子だと普通に倒されたんだ」

「はい。クレアの『精神傀儡』を警戒するなら捕らえておくって選択肢もあったとは思うのですが……流石に爆発を警戒されたんでしょう」

「まあ妥当だな。私たちの所からでもハッキリと見える爆発だったからな」


 大河としても、今回の作戦でルフェル陣営への警戒心をより一層持ったこともあり、もう一度、今度は魔族領のど真ん中でクレアを爆発させ、ルフェル陣営に甚大な被害を与えたいと考えていたが、流石にルフェル陣営はそこまで愚かではなかったようだ。


「まあ作戦自体は滞りなく終わったから我慢しましょう。あとはウルザ、ルフェル両陣営の反応次第で動き方を変える必要がありますが」

「動き方?」

「はい。ウルザの方はクレアの処遇によってですね。基本的には蘇生されないと思っていますが、蘇生された場合は一定数の戦力を割いて監視しなければならなくなるかもしれません」


 クレアが不死族と行動を共にしているというのは、ウルザたちにとっては周知の事実であろう。その上で、ウルザの従属神たちがクレアの手によって操り人形に変えられた噂などを『偽りのウルザ陣営作戦』が開始される直前に不死族たちに頼みウルザの支配領域内で流れるようにしてある。

 ここまでやれば、猜疑心の塊のようなウルザがクレアを蘇生させる訳は無いとは思う。

 ただウルザが此方の作戦を看破したり、単純に怪しいクレアを許すというケースを想定しておく必要はある。もっと言えば、現時点では蘇生されないが、よりウルザ陣営が追い詰められた際にやむを得ず蘇生する場合なども考えられる。戦力で劣るシーラ陣営としては、そういった事態についても考えておく必要はある。


「……まあクレア1人のお陰で魔界兵団だけじゃなくて、四魔卿の1人カーミラの部隊とも多少はやり合えていたって話だからな。奇襲時の脅威度は本物だな」

「でもタイガは、そんなクレアを爆弾にしてカーミラも倒した」

「……まあそれは、俺の力というかレイアさんの『道連れの呪い』と、不死族の皆さんの生命力譲渡のお陰ですけどね」


 『誘爆の呪い』と異なり、『道連れの呪い』はかなりピーキーな性能をしている。道連れ対象が一番近くにいる同じ主神の勇者であるが、道連れ対象を選べるほど相手が近くにいるのであれば『誘爆の呪い』でよく、遠くの相手を道連れ対象にしようとすると、狙いとは別の勇者となってしまいかねない。

 そのため前々から目はつけていたが、今の大河では運用が難しいとしていた呪いであった。


 しかし不死族の情報網という新たな戦力を得たシーラ陣営であれば『道連れの呪い』もある程度の運用が可能となったのだ。

 そのため大河としては、クレア爆弾の功績は自分というよりも、不死族やレイアの功績だと考えていたのだ。


「でもそれを思い付いたのはタイガ。タイガが凄い」

「ありがとうございますレイアさん。レイアさんがそれだけ褒めてくれるという事は、ルフェル陣営も遠隔『自爆』の仕掛けには気付いていないと思っていいですかね?」

「いいと思うぞ。理解していたとしても、敵陣営の勇者がいると爆発するかも程度の認識だろう」


 そもそもウルザはルフェル陣営に大河のユニークスキルが『自爆』であることについて徹底的に情報統制している。

 そのため、ルフェル陣営は大河の事を爆発を起こせる勇者である程度の認識なのだ。となるとウルザ陣営の勇者を人間爆弾にしたという発想までは可能でも『道連れの呪い』と『自爆』のコンボであるという所までは行き着かないだろう。


「……その認識はその認識で使えそうですね。まあそれも、今回『偽りのウルザ陣営作戦』を見た魔神ルフェルがどう行動するか次第ですが」

「戦うか逃げるかってこと?」

「どちらかと言えば、これ以上戦力が増えるのは困ると早期に決着をつけようとするか否かですね。まあ多分、動かないような気がしますが」


 ルフェル視点では、ウルザ陣営に、ライカロープやエルフィードも加わったように見える。そうなった場合に、これ以上のウルザ陣営の拡大を阻止すべく交戦を仕掛けるのか、焦らずに情報収集や裏工作をしつつ機を待つのか。


 大河としてはじっくり待たれると取れる手が少なくなるため、動いて欲しい気持ちはある。

 しかし、今回の作戦の反応を見るに、無茶な交戦で自陣営の戦力を無闇に消費する神には思えないのであった。

 

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