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新たな自爆、新たな呪い

 偽りのウルザ陣営が魔族領に進攻している真っ最中の中、大河は『ネクロ』で待機をしていた。大河を守護するようにとレイアに厳命された不死族の現族長レヴェトも一緒である。

 本来は大河は『ネクロ』内に設置された領域にいるシーラと共にレイアたちの雄姿を観戦する予定であった。しかしシーラの視覚共有ではレイアとイージス以外の戦況を把握できない事に気が付く。すると不死族の者たちが情報伝達係に立候補してくれたのだ。


 そのため大河たちの元には、戦いが始まって以降、様々な情報が届けられていた。


「……現状、レイア様たちは優勢のようです。先発隊にクレアが混じっていると露呈する前に敵勢力と接触できたのが大きいですな」

「そうですね。敵の魔界兵団でしたっけ? それらも操れた事で想像以上にもクレア陽動隊が粘ってくれていますね」


 今回の作戦は敵勢力に損害を与える事よりも、シーラやライカロープ、エルフィードなど本来はウルザ陣営とは関係ない陣営すら取り込んだ偽りのウルザ陣営を相手の印象に残すことを優先した

 クレアというウルザ陣営内でもかなりの大物を前座としてレイアたちが、この前の宗教改革で作っておいたシーラの支配領域から転移してくる。これによってレイアたちの印象を強くする。


 そういう作戦であったため、ほぼ捨て駒同然の運用をしたクレア陽動隊の戦果には期待していなかったのだが、敵勢力と交戦するまでクレアの存在が露呈していなかったことで『精神傀儡』で戦力を増強する事に成功し、敵に援軍が到着した今もそこそこ善戦できていた。


「ただ、四魔卿が出てきましたのでレイア様方は兎も角、クレア陽動隊は時間の問題でしょう」

「そうですか……となるとそろそろ潮時ですね……結界と生命力譲渡の準備は整っていますか?」

「はい。いつでも可能です」

「でしたらレヴェトさんはクレア陽動隊に付いているゾンさんストさんに連絡して撤退させてください。俺はシーラ様たちに指示を出してから結界の方に行きますので」

「承知しました」


 ただ相手もこちらの戦力の強力さに気が付き、陣営幹部を惜しみなく投入してきている。クレア陽動隊が倒れれば、レイアたちにも危害が加わるだろう。

 その前に大河たちは動くことにした。


 レヴェトに指示を出した大河は、シーラが待機している『ネクロ』内の領域に入る。

 シーラはちょうど視覚共有をしてレイアの戦闘を観戦している最中のようであった。


[がんばれ、レイアがんばれ!]

「シーラ様。観戦しているところ申し訳ありません」

[え、あっ、はい! タイガさんどうしましたか?]

「クレア陽動隊を撤退させますので、ライカロープ様とエルフィード様にお伝えして、フォルティスさんたちも撤退させていただけますか?」

[は、はい! 分かりました。えーと、大爆発音が鳴ったら撤退でいいんですよね?]

「はい」


 熱血応援を見られたのが恥ずかしそうなシーラは、そそくさと神通話をしに行く。

 事前に作戦の流れは伝えてあったためか、シーラの神通話はすぐに終わり戻ってくる。


[はい、伝えてきました。私もレイアとイージスに伝えておきます]

「よろしくお願いいたします」

[タイガさんも、えーと……『自爆』頑張ってください?]

「はい。不死族の皆さんに開発してもらった生命力譲渡及び、新たな呪い『道連れの呪い』の実戦投入ですからね。頑張ります」


 いまだに『自爆』を頑張れというのも違和感がある優しいシーラからの激励を受けながら、大河は不死族の者たちが準備を終えている、中で『自爆』する用の結界の元に向かうのであった。

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