守る覚悟
ライカロープ、そしてエルフィードの方にも寝返りの提案をしてくる神々がいたようなので、どちらにも受け入れてもらった。
この後は少し前に獣国『ベスティア』で行った内通者の炙り出しに使った手法と同じく、順々に異なった偽大河の居場所を教えていき、行動を起こすか否かで、真にウルザから逃れてきた神を選別する予定である。
「……でも、そんな悠長な事してていい? どの神々の差し金かならクレアの『精神傀儡』で聞き出せるんじゃ?」
「まあ、ある程度はそれで判別できると思いますが、俺が寝返った神の立場であるなら、その情報が正しいのかの確認を別の神にさせると思います」
「別の神?」
「はい。もし情報が誤りだった場合、裏切りが露呈して明確に俺たちを敵に回す事になる訳ですから情報を別の神に流し、確認させるんです」
ウルザ陣営の一員として敵対するのではなく、1柱の神としてライカロープ陣営から目をつけられる。しかも先行き不安なウルザ陣営に出戻って。
それだけは避けなければならないと思えば、裏切りにしてもできる限りリスクを回避した動きをするのが普通であろう。得た情報をウルザ陣営の誰かに流し確認させるのも1つの手だ。
そしてその場合、偽大河を捕らえようとしてきた者たちは流された情報を掴んだ神の信者や勇者であり、『精神傀儡』でもその奥の情報を流した神までは明らかにできないのだ。
大河の説明で『精神傀儡』だけでは確実性に欠けるということは理解したレイア。とはいえクレアが拐われた事で警戒を強めている現在、悠長にしているとどんどんリスクが高まっていくことも事実である。
「もしその情報をウルザ本人が掴んだら、ウルザ陣営の本隊が大挙してこない?」
「そうなったら……最高なんですけどねぇ」
「だよね……うん? 最高?」
「はいそうなったら、リスクを冒してでも精神誘爆のコンボで一網打尽にするだけです……ただ、流石に裏切りに敏感になっているであろうウルザに裏切った末に手に入れた情報を渡す勇気はないでしょうから、それは難しそうですね」
今のウルザが大河の情報を掴んだら、筆頭勇者などをはじめとする精鋭たちを動員し万が一にも逃亡を許さない構えを取るだろう。
しかしそれは大河からしたらピンチではなく、クレア本人すら操り人形とした『精神傀儡』と『誘爆の呪い』のコンボによってそれら精鋭たちすら操り人形にしてしまえるチャンスである。
しかし裏切りに過剰になりすぎているウルザに、仮に二重スパイとして情報を抜け取ってきたと行ったところでどんな難癖を付けられるか分かったものではないため、意図的にライカロープたちから聞いた情報をウルザに渡す神はいないだろうというのが大河の予想であった。
「……でもその場合、偽タイガの場所にタイガも来ることになって凄く危険」
「まあ、それはそうですね」
「……そうなっても大丈夫だレイア。私が守るからな」
大河たちがそんな会話をしていると、先ほどまでシーラと、とある儀式を行っていたイージスが会話に入ってくる。
「あ、改宗終わったんですか?」
[終わりました]
「これで私もシーラ様の勇者だ。だからもしタイガが危険な場所に行かなければなら無いのであれば、私の『無敵要塞』が盾になるさ」
「ありがとうございます」
「……もしそうなったら、タイガを守るのは私」
天神アマタを想ってそのままにしていた無宗教から、天神アマタを復活させるためにシーラの勇者へと改宗を終えたイージス。
これにより、レイアなどと同様、領域外での作戦行動が可能となった。
そんなイージスの守る宣言に対抗意識を燃やすレイア。
「はい。まあ多分今回は俺が出ることは無いので、お二人の守護対象はクレアになると思いますが」
「……そっか」
「なんかやる気なくなってません? 頼みますよ!」
「あー、守る守る」
「イージスさんまで? 気持ちは分かりますけど!」
そんな二人も、守る対象が憎きクレアとなると途端にテンションが下がってしまうのであった。




