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積年の恨み

 レイアにシーラからの神託が届いたのは、レヴェトと打ち合わせを終え、今回の作戦に参加してくれる者たちの所に向かっている最中であった。

 レイアは、当初の予定とは異なり魔神陣営に宗教改革を行っているとバレても良いためスピード重視で作戦を行うよう指示を受けた困惑したが、急な作戦変更の理由を聞き納得する。


「なるほど。確かに客観的に見ればウルザが裏で暗躍しているように見えなくもありませんね。それを利用するのですか」

[うん。だから、レイアは不本意かもしれないけど、レイアと不死族の皆様には、目立った作戦行動をした後に魔族たちに『ネクロ』を襲わせる囮役をウルザから命令された人たちになりきって行動して欲しいってタイガさんが]

「そうすることで逆に『ネクロ』に魔族たちが攻め込んでくる事を防ぐのですね。なるほど」


 今回の宗教改革では、レイアや不死族が作戦に関わっていることは極力魔神陣営にバレないように努める予定であった。

 そうしなければ魔神陣営からシーラ陣営及び不死族が目をつけられる危険性が高く、精神的な揺さぶりの効果も減少してしまうためだ。

 大河というウルザ特効な勇者がいれば話は別だが、魔神陣営としてはシーラは零細神の一人という認識であり、今回のような作戦では駆け引きを行う前に力業で解決されてしまう可能性があった。そのため誰が暗躍しているのか分からなくする必要があった。

 しかし現段階で唯一魔神ルフェルと対等の勢力を持っているウルザであれば駆け引きの相手として成立するだろう。精神的な揺さぶりの効果も増大し迂闊に『ネクロ』に攻め込むなどといった行為も躊躇させられる。当初の作戦よりも効果も安全性も高められる変更であった


「了解しました。そうなると予定よりも大幅に作戦に掛かる時間が短くなると思います」

[うん。わかった。タイガさんにも伝えておくね]

「よろしくお願いします。では…………レヴェト、作戦を伝えたばかりで申し訳ないけど、少し作戦が変更になった」

「はい。伺います」


 こうしてシーラとの神託通話を終えたレイアは、近くで待機してもらっていたレヴェトの方に向き直り、作戦変更について報告する。

 急な作戦変更に不満そうな感情を見せる事もなく素直に変更内容を聞いていたレヴェトは、感心したように頷く。


「面白いですね。勇者とはいえ、大神2柱を手玉に取ろうとするとはなんと大胆なお方だ。しかも我々不死族の安全にも気を配るとは……」

「そう。まあ、長期的には魔神陣営に敵として認識されるってリスクはあるけど」

「いえいえレイア様。そんなことは今更ですので、リスクですらありません」

「まあそうか」


 魔族領からも程近い場所に街を構え、魔神の信者である魔獣を狩って生計を立てている不死族にとって魔神陣営は既に敵対関係にある。

 それ以外にもお互い恨み辛みは積もっているため、今更1つや2つ増えた所で変わらない。


「ならこれで問題ない?」

「勿論でございます」

「なら、皆の元に行く」

「はい。魔神ルフェル、更には女神ウルザに対して積年の恨みを晴らせる役を与えられた者たちの喜ぶ顔が目に浮かびますよ」


 ウルザに関しても、不死族の根も葉もない悪評を広めた首謀者であり、不死族全員から慕われているレイアを粗末に扱っていた彼女を憎んでいる者たちは多い。

 彼らが今回の作戦を聞けば自身の危険など考えず嬉々として作戦を行うだろうと、レヴェトは確信しているのであった。

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