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獣王レグルス

 獣王レグルスは先ほどの神々との会話を思い返してため息を吐いていた。

 レグルスの主神である獣神ライカロープの元に神友からの連絡が入る。相手はレグルスとも過去何度も交流のある女神シーラであり、内容は女神ウルザを精神的に追い詰める作戦に協力してくれないかとのことであった。


「はぁ、シーラ様からの頼みとなればライカロープ様も……我も今の状況さえなければ」


 ライカロープとしては作戦に協力したい気持ちが強かったように思う。シーラは作戦の肝となる勇者について熱弁するのに必死で気が付いていなかったが、協力したいという感情が漏れ出ている様子であった。勿論レグルス自身もできることならば協力したいとは思っていた。

 しかし作戦の肝がウルザの勇者である点、そして現在この国が抱える問題などを踏まえると主神や獣王という立場を使って独断で作戦への協力を決めることは適切ではない。

 そのためやむを得ずシーラからの要請を断ったのである。


「それにしても主神を裏切る勇者か。シーラ様がお話しされておられた内容が本当であるならば、今回起こったウルザ陣営の不可解な撤退にも説明がつくが……」


 断りはしたが、シーラから伝えられた内容は驚愕すべきものであった。

 ウルザを裏切ったが改宗するのではなく敢えてウルザの勇者に留まり、システムを悪用しウルザのポイントを消費する。それだけではなくデメリットスキルと呪いを組み合わせ更にウルザを追い詰める。

 どれもレグルスにはとても思い付かないような発想の数々である、レグルスがつい真偽を疑う発言をしてしまったのも仕方がない。本来主神の神友の言葉を疑うなど不敬なことかもしれないが、誰も聞いていない自室のため思わず漏れてしまったレグルスの本音であった。

 しかし、レグルスも予想外であったが、そのひとり言を聞いている者たちがいた。

 

「シーラ様の発言を疑うなんて……偉くなったねレグルス」

「レイア、何せ坊やも一国の王だ。他神の言葉を疑うなんて訳ないさ」

「はっ!? だれ……え、レイア姐さんにイージス姐さん!?」 


 突然声を掛けられ咄嗟に声のする方を向くとそこには懐かしさを覚える者たちが立っていた


「姉さんたちがどうして……あ、ごほん。獣王である我の一室に他神の勇者が何用だ」

「何その口調」

「……坊やもカッコつけたい年頃なんだな。でも、時と場合は選んだ方がいいぞ」


一瞬、獣王としての立場から威厳あるしゃべり方をしようとするレグルスであったが、昔からの関係性から直ぐに下手にでてしまう。


「じょ、冗談ですよ姉さん。えーと本日のご用件は、先ほどのシーラ様の件ですか? それにしては随分とお早いご到着ですが」

「そう。緊急の用件だから転移で近くまで来た。もう少し警戒体制を厳重にした方がいい」

「レイア姐さんの手に掛かれば百獣ノ騎獅団の警備もザル同然ですか……言っておきます」


 転移を使ったと言っても、支配領域内への転移はライカロープの許可がいる。そのためシーラとの通話を終えてからこれまでの短時間で王の首元まで侵入者を2人通したことを意味する。

 とはいえ、2人の能力の高さを知っているレグルスは警備を任せている騎獅団の者たちを叱る気持ちにはなれない。何せ話し掛けられるまでレグルスでさえ接近に気が付かなかったのだから。


 レグルスは話をレイアたちがここに来た目的に戻す。

 

「なぜイージス姐さんまでいるのかとか色々と聞きたい事は山ほどありますが……転移まで使って来ていただいた所申し訳ありませんが、シーラ様の要請には応えられませんのでどうぞお帰りください」

「それはシーラ様から聞いた……協力したい気持ちはあるけど他の勇者や国民を納得させられないって。なんで?」

「なんでと言われましても、そのままの……」

「主神と獣王の意思がその他大勢に負けるほど獣国『ベスティア』は落ちぶれたの?」

「なっ!?」


 レイアたちは疑問に思っていたようだ。力こそ正義などの言葉が蔓延するほど単純明快な獣人族の国で、主神と王の意見が一致しているのに拒否するということに。

 確かに信頼も信用もできない神であるウルザ。その勇者が担当する作戦となれば反対するものは多いだろう。しかしそんな反対の声よりもライカロープとレグルスの声の方が強いはずなのだ。


「わざわざウルザが信用できないなんて、取って付けたような理由を並べたりも変。だから本当の理由を聞きに来た」

「そんなものは……って今のは」

「『孤独の呪い』。レグルスと、私にも掛けた。それとこの部屋に入ってくる際に結界も張ってる。これで誰もここの会話は聞けない」


 シーラが建前で断られたということは、本当の理由をライカロープがシーラに話したく無いのだろう。

 そのため『孤独の呪い』と結界を使い、主神にすら盗み聞きできない防音空間を形成する。

 すると、そこまでやられた事により、レグルスは観念したのか口を開くのであった。


「シーラ様には絶対に秘密にしてください……獣国『ベスティア』の中にウルザ陣営に情報を流している内通者がいるんです」

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