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急展開

 エルフィードの元勇者たちの元にレイアが向かっている間、大河はシーラの領域内で待機していた。

 本当であれば改宗などで大量のポイントを消費するシーラのためにも『自爆』戦法でポイントを稼ぎたい所であるが、いつ状況が動き大河が『ユグド』に行かなければならなくなるか分からない。そのため領域外ではシーラやレイアと連絡を取る手段の無い大河は、大人しく待機していた。

 

[タイガさん。今、5人目の改宗が完了しました] 

「了解です。流石はレイアさん、順調そうですね」

[はい。しかも尋問に精神系スキル等は使われなかったようで、まだ女神ウルザ側に『ユグド』の正確な場所はバレていないようです]


 幸いなことに尋問中の勇者たちの殆どは、同じ街の地下牢に投獄されていた。そのため予想よりも早く改宗作業は済んでいった。


「情報をリークした勇者は放置するとして、あと1人ですか。これなら万全な状態で次の作戦に進められそうですね」

[……ですが、最後の1人だけは現在、他の勇者たちが囚われていた場所にはいないため、改宗には時間が掛かるとのことです]

「なるほど」


 ただ、最後の1人は城塞都市『コンボ』から離れた場所で活動していたため、現在『コンボ』に連行されている最中なのだそうだ。

 単純に救出するだけであれば投獄されている勇者たちよりも、護送中の方が難易度は低い。しかし今回の作戦の肝は、できる限りウルザ陣営にバレないように改宗することであった。

 そのため逃走を警戒し監視体制を整えている状況の方が厄介なのだ。


「でも最後の1人なんですよね……シーラ様、レイアさんに、レイアさんの関与が相手側にバレても構わないので人質の解放を最優先にするように伝えてください。バレないようにして貰った最大の理由は勇者が殺されて此方の救出不能な状態にされる事ですので!」

[分かりました。レイアに伝えます]


 とはいえ既に勇者5人の改宗は済ませてしまっている。

 勇者の改宗はさせた側が一方的にポイントを支払う仕組みのため、ポイント収支を確認してもされた側は気が付かない。

 そのためポイントは気に掛けても、勇者を気に掛けることなどしないウルザであれば気がつくのが遅れるだろうという希望的観測が多分に含まれた作戦となっている。

 そんな作戦の性質上、一度改宗を始めてしまえばいつバレてもおかしくはない。そして今の状況で他5人の改宗がバレてしまえば、ウルザは迷わず勇者の殺害を命じるだろう。

 そうなる前に最後の1人を救出する必要がある。


 改宗がバレたとしてもレイアの関与がウルザ側にバレなければ、人質救出後に行う予定である作戦の効果も高まるのだが、そこまで贅沢は言ってられない状況のため、大河は迅速な救出を優先する。


 大河の頼まれたシーラは、レイアに神託を飛ばす。ポイントは多く掛かるが相互で会話が出来るタイプの神託である。

 それによりシーラは、レイアと会話をし大河の指示を伝えていた。しかし、


[うん、そう。タイガさんが関与がバレても良いからって……え!? あのクレアが。うん、少し待って。タイガさん!]

「はい、どうしました!」

[レイアが最後の1人の居場所を突き止めたのですが、その場所に現在ウルザ側の勇者も一緒にいるそうです]

「勇者が!」

[その勇者の名前はシンドウ・クレア。精神系ユニークスキル『精神傀儡』を所有する事で有名な勇者です。レイアが言うには、既に『ユグド』の場所がバレている可能性が高いだろうと]

「よりにもよって!」


 順調に進んでいた作戦は、レイアからの報告で急展開を迎える事となるのであった。

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