戦闘を終えて
『不死の呪い』の効果によって爆発から蘇生した大河は、周囲を確認し先程襲い掛かってきた勇者たちが跡形も無く消失していることを確認し、ため息を吐く。
「はぁ。爆発の威力を上手にコントロールしてギリギリ倒さないようにしたかったんだけどなー。あの人たち俺のこと舐めすぎでしょ」
日々の『自爆』によって爆発範囲や威力の調整を多少は可能となって来ていた。そのため威力を弱めた『自爆』で勇者たちをギリギリまで削り、卜ドメをレイアに刺させる事で撃破ポイントを獲得する予定であった。
しかし勇者たちは、大河を見つけるやいなや速攻で斬り掛かってきたため、調節を誤り吹き飛ばしてしまったのだ。
「……俺の『自爆』を警戒して近づいて来ない所に範囲優先の『自爆』をぶつけてやるつもりだったのに! まさか無警戒に近づいて来られるなんて」
「そういう事もある」
「あ、レイアさん。すみません、勢い余って勇者倒しちゃいました」
「いいよ。1人倒せたから」
大河が1人で反省していると、どこからともなく現れたレイアが慰めてくれる。この森に侵入してきた勇者は3人組であったが、レイアが1人倒してくれたようだ。
「それに『弱き転生』で安全性は増してる。でも解呪スキルとかで『不死の呪い』が外されるリスクはあるから倒せるなら倒す方が良い」
「了解です」
「あと、私が倒した方も爆発自体に驚いてたから、多分女神ウルザからタイガが『自爆』持ちだってこと自体知らされてないんだと思う」
「あ、そういう」
レイアからそう言われると、確かに自分が吹き飛ばした方も『自爆』を知らない動きだったかもしれないと大河も思い至る。
神託を使い勇者に情報を送る際、より詳細の情報を送ろうと思えばその分ポイントを消費する。ゴミ勇者である大河を抹殺するのにこれ以上余分なポイントを使いたくなかったウルザは、情報代をケチッたのかもしれない。
「あの女、ポイントにうるさそうですからね」
「それか、一度外れ扱いして捨てた『自爆』持ちの大河に良いようにしてやられてるって勇者たちに知られたくないのかも」
「ああ、それもあるのか」
ケチ臭くプライドが高い女神のせいで『自爆』の餌食となった勇者たちは少し可哀想である。
とはいえその女神に従ってこの森にやって来たのだから、大河としても容赦をするつもりはないが。
「でもウルザのサポートが乏しい中で勇者たちはかなり正確に俺らの位置を捉えていましたよね」
「うん。おそらく『生命感知』ってスキルを使用してた」
「生命感知ですか?」
「生命反応を感知する魔法系スキル。大河の『自爆』で魔獣がいなくなったこの森だと、精度を落として範囲を広げられるから」
「なるほど。俺がやってるスキルの応用と同じですね」
「そうだね」
『自爆』と一緒にされるのは心外だろうが、原理としては同様である。勇者の1人は精度を犠牲にして『生命感知』の範囲を限界まで広げて発動していたため、迷うことなく大河の元まで来れたようだ。
「でも『生命感知』かぁー、そういうスキルもあるんですね。となるとこれからは『自爆』のペースも落とす予定ですし、スキルとかの勉強はしといた方が良いですね」
「うん。私も手伝うよ」
「ありがとうございます。……あれ? そう言えば相手は『生命感知』を使って俺の位置を特定したんですよね? なら隠れていたレイアさんは何で見つからなかったんですか?」
女神ウルザが大河や勇者の視覚を共有し、レイアが戦闘する場面を見ると計画が破綻する可能性があるため、爆煙で視界を潰し、その間に敵を倒して貰おうとレイアには木の影に隠れてもらっていた。
『生命感知』の説明通りであれば隠れていようと勇者たちに発見されててもおかしくない。しかし、それだと勇者たちが大河の元に来た際、大河が1人だと思い込んでいる様子であったことに違和感を覚える。
そのため大河がレイアに訊ねると、レイアは少し考える素振りを見せた後、聞き返してくる。
「何でだと思う?」
「何でって。あ、そういうスキルがあるんですね!」
「………そうだよ」
「やっぱり! じゃあ余計スキルの勉強はしないと駄目ですね!」
始めての勇者との戦闘を終え、『自爆』により習得しても殆どのスキルを失ってしまう自分だからこそ、スキルについて学ばなければならないと思う大河なのであった。




